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岐阜県の揖斐川町の春日(以前は春日村)にお茶の仕入れに行ってきました。
春日は標高は500m前後、揖斐川を中心にVの字型の谷で形成された地域です。春日の茶園は谷から数百メートル上の、なだらかなスロープに広がっており、在来種とやぶきたが中心に作られております。
お茶の在来種はつまり雑種
お茶の場合、在来種と言っても、ニホンカモシカ、大和イワナのような日本古来の固有の種を指す言葉ではありません。本来、種というからには、単一の種類を指すべきなのですが、お茶における在来種というのは様々な種類のお茶の混生を指します。むしろ「雑種」というのが最も適切な表現で、昔からの複雑交配で様々な品種のお茶が混じり合った状態の茶園を指します。複数の種類のお茶から構成されている在来種ですが、藪北のような選抜種と比べると平均的に味が濃くなる傾向にあります。藪北のような選抜種の場合、肥料の吸いが良く、成長が著しく早いことから一つ一つの細胞が大きくなりがちで、結果としてコクが少なくなる傾向があります。平均的な在来種のお茶と比べると、例え混生種であっても在来種の方が濃い味になる傾向があります。
意外と重要ではない老木
春日の茶園は沢山の老木が沢山残っていることでも知られております。なかには樹齢が200年ほどの木もあると言われております。老木ゆえに、根の表面積が大きく、養分やミネラルをより多く吸収し、若い木と比べるとコクが強いお茶が出来ると考えられております。ただし、老木によるメリットは、他の栽培条件が同じであった場合のみ適応されます。例え老木でも、肥料を与えたり、深く刈り込んで、枝の生長を早くした場合、若い木と全く変わらない性質のお茶へと変化します。私はプーアル茶の仕入れを通じて、多くの老木を見てきておりますが、老木でも、収量を上げる為の試みをおこなった場合、コクのないフラットな味わいに変化します。実際には春日の全ての茶園が、老木の特長を生かせているわけではありません。
春日のお茶の長所
私の個人的な視点で春日のお茶を観察した場合、3点特筆すべき点があります。
無肥料・無農薬栽培
春日のお茶は、自然栽培・準自然栽培が実践されており、窒素肥料や農薬がほとんど使われておりません。もちろん、全ての農家がそうしているわけではなく、肥料の袋が散見される茶園もあります。少なくとも、私がお付き合いしている農家では農薬・窒素肥料を全く使用しておりません。無肥料で育てられた、お茶はゆっくりと成長し、味が濃く、コクの強いお茶ができます。
芽数型の管理
春日には、芽数型といって、深く枝を刈り込まず、先端の枝を極力細くし、成長速度を遅くする方法でお茶を管理している農家が多く見られます。多くといっても、パット見た感じでは全体の30-50%程度の茶園です。芽数型で管理された茶園の場合、芽がしっかりとしており、芽のサイズは小さく、茶葉は全体に黄色味を帯びた色になります。この方法で作られたお茶はコクが強くなります。
ボディのあるお茶
私が春日のお茶を注目している最も重要な理由は、土に含まれるミネラルです。春日の土は、お茶のボディを強くする傾向があります。私の仮説ですが、土壌に含まれるアルカリ系のミネラルが関係しているように思います。春日のお茶はコクという点では、ベストではありませんが、ボディとのバランスが良くそれゆえに飲み応えがあります。
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