日本茶は低温でいれるべきか高温でいれるべきか

[2014.11.05] Posted By

煎茶をいれるときは60-80℃くらいの低い温度でいれるというのはごく一般的な知識であり、あらゆるお茶の本やネット情報にも大概そう書かれていると思います。しかし、私は多くの場合、煎茶は沸騰水でいれます。その理由を説明したいと思います。

1950年代以降窒素肥料の使用量増加に伴い茶葉のアミノ酸量も増加

以前の記事でも書きましたが、日本では1950年代から茶園の単位面積あたりに使用される肥料の量がそれ以前の10倍以上に増加しました。窒素肥料が多く使われるようになった結果、茶葉にアミノ酸(テアニン)が多く含まれるようになりました。アミノ酸は旨味を呈しますが、旨味は美味しさのことではありません。旨味とは、味の素の商品名で販売されているグルタミン酸ナトリウムに代表される、アミノ酸独特の味を表現する言葉です。ただ、日本では旨味と美味しさが一般に混同されており、多くの人が旨味成分が多いほど美味しい、つまり品質が高いと考えております。

現代農業方式の茶園

日本茶を低い温度でいれる3つの理由

 

1.アミノ酸の旨味を感じやすくするため

お茶を低い温度でいれる目的の一つは、アミノ酸の旨味を感じやすくするためです。アミノ酸は水溶性の成分ゆえにいれる温度に関係無く溶出されます。
ただ、お茶が高温の場合、旨味は感じられにくく、旨味を感じやすくするためには低めの温度が向いております。スープを高温で飲んだときに旨味が感じられにくいのと同じ原理です。肥料を多く与えて育った玉露を低い温度でいれるのはその典型だと思います。

2.苦味を抑えるため

カフェインをはじめとする苦味成分は抽出温度が高いため、低い温度でいれる事で、苦味成分を選択的に抽出しないようにすることができます。山西貞氏著の「お茶の科学」によると、カフェインは80℃以上で急激に抽出されやすくなります。

窒素肥料を多く与えたお茶は苦みを呈します。はっきりとした原因は説明できませんが、自然栽培のお茶と現代農業方式で窒素肥料を多く与えて育ったお茶を比較した場合、明らかに自然栽培茶は苦味が弱く、現代農業方式で作られたお茶は顕著な苦味を呈します。この関係は日本茶以外のお茶にも見られます。プーアル生茶等でも肥料栽培のお茶は顕著に苦味を呈します。お茶の苦味を呈する代表的な成分はカフェインゆえに、私は窒素肥料とカフェインの生合成が関係があるのではと疑っております。というのも、カフェインは分子内に窒素を含みます。いろんな資料を調べたのですが、20%, 50%などの減肥料のお茶とカフェイン量との関係を調べた資料はあるものの、完全無肥料のお茶のカフェイン量を調べた資料が見つかりませんでした。減肥料ではテアニン量には差が出るものの、カフェインの生合成量は殆ど差がないようです。しかし、窒素肥料を全く与えない農業である、自然栽培で作られたお茶の場合、普通に作られたお茶とカフェイン量に差が出るかどうか、とても興味があります。

3.茶葉が熱で劣化しないようにするため

低い温度で入れるもう一つの理由には、熱によって茶葉をいためないようにするという目的があるように思います。緑茶の茶葉は含まれる成分が新鮮な茶葉にちかいため、熱のダメージ(酸化)を受けやすくその為に低い温度でいれる事が推奨されます。

沸騰水でいれた方が美味しい自然栽培の日本茶

しかし、上記3つの低い温度でいれる理由を見ると、2つの理由は窒素肥料を与えて作られたお茶を前提としております。それに対して自然栽培茶の場合、ポリフェノールが一般的なお茶よりも多く含まれており、また、茶葉の苦味が少ない点から、むしろ高い温度でいれた方がお茶の香りが出やすく、お茶が美味しく感じられます。逆に自然栽培茶を低い温度でいれた場合、香りが感じられにくく、ものたら無さを感じる事があります。また、茶葉の鮮度を維持するという点においても、60-80℃で1分いれるよりも、高温(沸騰水)で短時間(10秒くらい)でいれた方が茶葉の鮮度を高く保つことが可能です。ただ、好みによって香りを抑えめに、マイルドな味わいにしたい場合は自然栽培茶を低い温度でいれるのも良いかと思います。

関連記事 RELATED ARTICLES

お茶に関する最新情報を確実にキャッチするには? SOCIAL NETWORK

1,Twitterをフォローする。2,FaceBookで「いいね!」を押す。3,メールマガジンに登録する。という3つの方法で、お茶に関する最新情報をキャッチすることができます。今すぐ下のツイッターフォローボタンや「いいね!」をクリック!

メールマガジン登録で無料サンプルをもらおう!
メールマガジンにご登録いただくと無料のサンプル茶葉のプレゼントや希少商品の先行購入など様々な特典がございます。ソーシャルメディアの購読だけでなく、メールマガジンへのご登録もお忘れなく!
  •                 

HOJO TEAオンラインショップNEWS一覧を見る

村田益規作の伊賀天然朱泥急須、宝瓶、絞り出し他入荷
村田益規氏作の伊賀天然朱泥の茶器が入荷しました。今回入荷したのは横手の急須、後手の急須(茶壺)、絞り出し、宝瓶 …
普段飲み茶にお勧め!安渓色種を発売
安渓産の「色種」という烏龍茶を発売しました。色種は複数の品種をブレンドすることで、余韻の長さ、香りの広がり等を …

最新の記事 NEW ARTICLES

意外!チョコレートと相性が良いプーアル熟茶
お茶請けを上手に選ぶとお茶を飲む楽しみがより増します。お茶に合わせてお茶請けを選ぶのであれば比較的簡単なのです …
村田益規作の伊賀天然朱泥急須、宝瓶、絞り出し他入荷
村田益規氏作の伊賀天然朱泥の茶器が入荷しました。今回入荷したのは横手の急須、後手の急須(茶壺)、絞り出し、宝瓶 …
1つの急須で沢山の種類のお茶を淹れても良いかどうか?
1つの急須を複数の種類のお茶で共有しても良いかどうかと質問されることが頻繁にあります。特に東南アジア、西洋のお …
普段飲み茶にお勧め!安渓色種を発売
安渓産の「色種」という烏龍茶を発売しました。色種は複数の品種をブレンドすることで、余韻の長さ、香りの広がり等を …
お茶の味を大きく左右する湯沸かしの選び方
お茶をいれる際、急須の材質にはこだわりがちですが、意外に見過ごされているのがやかんの材質です。やかんの材質が不 …
オクミドリ単一品種からなる朝比奈本玉露を発売
静岡県藤枝市岡部町を産地とする朝比奈玉露から、単一品種であるオクミドリのみから作られた本玉露を発売しました。名 …
なぜダージリンティの香りは華やかなのか?
ダージリンティは独特の香りがあり、この香りゆえに多くのファンを有します。このダージリン紅茶特有の香りですが、製 …
渡辺陶三作の無名異焼手作り急須各種発売
渡辺陶三氏作の無名異焼の茶器が沢山入荷しました。今回入荷したのは、秋津無名異酸化焼成、秋津無名異還元焼成、無名 …
紅茶のような甘い香り白鶯山古樹白茶2017年産を発売
HOJOの白茶の定番の白鶯山古樹白茶 2017年産を発売しました。今年は萎凋を長めに行うことで、ダージリン紅茶 …
台湾を代表する烏龍茶の1つである文山包種茶を発売
文山包種茶を発売しました。文山包種茶は台湾茶を代表するお茶の1つで、茶葉は緩く揉まれ、極めて軽く発酵をすること …

PAGETOP