プーアル茶には2種類あり、「微生物による発酵」が関与するのがプーアル熟茶、酵素発酵のみで作られるのがプーアル生茶と呼ばれます。プーアル熟茶茶は黒くて、固まっていて、何だか古~い家具のような臭いがします。雲南省にてプーアル茶と言ったら、本来、プーアル生茶を指します。但し、人気の高まりから、アジアや日本ではプーアル熟茶の需要が高く、私も毎年熟茶の仕入れを行っております。

以下、プーアル熟茶の出来るまでを簡単に説明します。
プーアル茶の原料は、高級緑茶のように芽を使用するのではなく、比較的大きくなった茶葉+芽+茎が原料として使用されます。プーアル茶の場合、大量のポリフェノールが含まれていることが非常に大切ゆえに、芽ではなく、ポリフェノール量が豊富な、少し成長した茶葉が用いられるのです。
収穫後、直ぐに熱による処理が施されます。この処理は「殺青」(日本語ではサッセイ、中国語ではサァーチン)と呼ばれ、茶葉に含まれる酸化酵素を熱で失活し、機能できなくします。もし、殺青をせずに次の工程に進んだらどうなるでしょう?茶葉はどんどん酸化され、茶色くなり、「出来損ないの紅茶」になります。酵素を失活することにより、カテキン等のポリフェノールや葉緑素を保存することが出来るのです。
その後、揉捻(茶葉を揉んで抽出されやすくする工程)や天日乾燥を経て、中間製品が出来上がります。この中間製品は「プーアル生茶」です。プーアル生茶は、シートで覆われ、茶葉は高温多湿の状態に保たれます。堆積することで納豆菌のような細菌類を初めとする微生物が増殖し、50-70℃という非常に高温になります。

1次堆積工程:細菌類による発酵が行われる。

この工程を完了した茶葉は、ほぐされ、2次堆積工程へと進みます。この工程ではカビ類や酵母などの真菌類が増殖します。

微生物は「とても不思議な性質!」を持ってます。成長が不十分なときは一生懸命に成長しようとします。でも、成長が終わると、こんどは色んな物質を生産し始めるのです。これを専門用語で「2次代謝」とよびます。(2次代謝の代表的な産物には抗生物質があります。)
パンに生えたカビも、初期の段階では不快臭も殆どしませ。この時カビは自身が成長することに注力しているため、臭いに関係するような物質は生産されません。暫く放置しておくと、異臭が発生し、また、パンはドロドロに溶けます。この時まさに「2次代謝」が行われているのです。
パンがドロドロに溶けるのは、カビが生産した酵素が関係しております。プーアル茶の中でも同じような現象が起きております。成長がほぼ終わったカビは、様々な酵素を作りだし、お茶の成分をどんどん分解していきます。ポリフェノール、タンニン、タンパク質、葉緑素、何でも分解してしまいます。
こうして出来上がったのがプーアル熟茶です。

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