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規模拡大の罠
- [2008.05.26] Written By 北城 彰(Akira Hojo)
「小売業における成功とは何か」というテーマに関し、最近いろいろと考えます。
一般的な小売オーナーの心理として、最初の店の売上げが伸び、業績が上がるにつれ、「次の店舗を作りたい」という望みが生じます。
店舗が一つしかない場合、会社を運営するためのコスト(自分の給料、従業員の給料、レンタル、工場経費)は全て1つの店の売り上げにかかっております。
このため店の売上げは殆ど利益として残ることなく、殆どが「経費」として消えていきます。このため、店は何があっても売り続けることが使命となります。
そのような低利益体質でも、何とか利益を貯蓄し、ある程度の資本となったとき、ビジネスの転換期を迎えることとなります。
多くのビジネスマンは「もう一店舗出したら、最初の店が全てのコストを負担してくれる。もう一店舗出すことで、売上げの多くが利益となり、会社は極めて豊かになるだろう」と考えます。
そして、規模拡大をめざし、2店舗目の設立を計画します。
1店舗目で成功したうえで2店舗目を設立するため、「2店舗目の規模はもっと大きくしたい」と思うのが一般的です。
例えば、私の場合、1店舗目は小さな面積の店を選びました。どの程度売れるか不安だったからです。
ただ、一店舗目がうまくいっている現在、2店舗目はその倍、又は3倍の規模にしたいと思うのはごく自然な心理です。
マレーシアの高級マーケットをターゲットとしている私の会社にとって、2店舗目を設立するとなると、当然KLCC(ツインタワーのあるところ)を狙います。
ガーデン店の3倍の店を建設するとなると、初期投資だけで1000万円は確実に必用になります。
こつこつとためた資金は瞬時に消えますが、それと引き替えに2店舗体勢が整います。「有名なショッピングモールに2店舗も自分の店を持っている」という社会的なステイタスは魅力です。
ところが、専門店の場合、店舗数を増やすことがプラスに作用するとは限りません。
2店舗目を開店すると同時に、私を含めシニアスタッフは新店舗に移動します。大きな固定費の塊である新店舗を軌道にのせるため、猛烈に頑張らねばなりません。
すると・・・
1店舗目のレギュラー客も2店舗目に移動します。更に、1店舗目のサービスの質低下も避けられず、売上げが低下することとなります。
それでも2店舗までであれば何とかフォローするのも可能ですが、更にもう一店舗と言うことになると管理の限界を超えます。
以上のパターンで失敗した会社は世の中に山のようにあります。
物凄く繁盛していた中華料理レストランが、チェーン展開したとたん業績が伸び悩み倒産する。マレーシアでは良く聞く話です。
KLにはシンガポール資本の有名な某ケーキ屋さんがあります。KLではとても名前が知れ渡っており、ケーキが美味しいことから私もよく利用しておりました。
最初の1店舗目の業績は目を見張る物があり、瞬く間に2店舗目、更に5店舗目まで開店しました。
ところが、後に開店した3店舗、立地戦略にミスがあり、週末も閑古鳥が飛び回っておりました。
3店舗の固定費は好業績のはずの2店舗にも重くのしかかり、結果的にキャッシュフローすらままならない状況になっていると思われます。
この結果、シンガポールから輸入していたケーキの料金も支払いが滞ったのか、各店舗のケーキラインアップが激減しました。以前と比べると1割くらいのケーキしかありません。
好業績だったはずの2店舗も品数が減り、まさに負のサイクルに突入です。
私は上記の状況を比較的早期に学習する機会に恵まれました。
2007年より、ハタマスの店舗を皮切りに、One Utama、そしてガーデンの店舗を開店したわけですが、自分が次店舗に移動するたびに、これまで業績の良かった店舗の業績が見る見る悪化するのを身をもって体感しました。
業績を回復するために教育をしようとすると、スタッフが辞めてしまう、放置しておくと、更に悪化すると言った極めて悲劇的な状況に瀕し、一時は「スタッフの給料を支払うために会社をやっているのだろうか?」と思ったときもありました。幸い、私の店舗はミニ店舗だったため、容易に閉店をすることが出来、現在ガーデンの店舗に集中することで再び利益体質へ返り咲きました。
以上の経験から、「今後どの様に業績を伸ばすか?」という課題に関し、以下のように思うようになりました。
1)規模拡大ではなく、販売量の拡大
2)固定費を生む投資は極力避け、固定費は最小限に抑える
つまり、「最小の固定費で最大の効果を出す」というテーマに基づき投資計画を練らねばなりません。
お茶のような専門ショップの場合、店舗数が多くある必用はなく、効果的な広告と質の高いサービス及び製品により、絶対的な信頼性を築き上げる方が大切だと思います。
ブランドが有名になれば、社会的な信頼が増し、それに伴い、お客さんの流れ、卸やコーポレートギフトの引き合いも増えてきます。
また、海外ベースのネットショップの構築や海外展示会への出展により、マレーシア・日本国外への販売も可能となります。これらの方法は、「最小の固定費で最大の効果を生むための第一歩です。
お茶屋を高級ショッピングモールに持っている利点は、社会的に成功しているビジネスマンが多く訪れてくれること。そして、一旦うち解けると、皆親身になってビジネスアドバイスをしてくれることです。
ビジネスの成功者は、常に最小の固定費で最大の効果を出す方法を考えております。それに対し、規模拡大を唱える人は皮肉にもサラリーマン系の人が多いようです。
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- an anにてジャスミンパールが紹介されました。
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