お茶の知識が無くても簡単。紅茶を自宅で手作りする方法

[2011.06.09] Written By

black tea-8

先日、自分でお茶摘みをし、自分で紅茶作りをしました。
私の住む長野県では、その昔は多くの家にお茶の木があり、自家用のお茶が作られておりました。
現在はリンゴを初めとする果樹が盛んとなっておりますが、標高が高く昼夜の温度差が大きい事から、果樹に限らずお茶も極めて高い品質の原料が作られます。
但し、いつの間にかお茶を作る文化そのものが衰退し、今ではお茶の木は土手に数本残っている(放置されている)程度となってしまいました。
私の家にも数本のお茶の木が大昔からありますが、これまでは完全に放置されておりました。これらは雑種で、いわゆる在来種と呼ばれるお茶です。
今年は雨が続いたことから茶摘みのタイミングが合わず、芽がやや大きくなってしまいました。
そこで、緑茶ではなく、紅茶にすることにしました。
紅茶作りで重要になるのは、他でもない萎凋です。紅茶作りは萎凋に始まり、萎凋に終わると言うほど萎凋が重要です。揉捻後の発酵は、正直どうでも良い程度に重要ではありません。
萎凋とはただ単に水分を除くだけではなく、最も重要なのは、脱水ストレスと外部ダメージを与えることで発酵を促すことです。
萎凋と言っても色んなやり方があり、この萎凋のやり方で香りの質が決定します。
スリランカ、インドネシア、マレーシアなどのように最近に開発された紅茶工場の場合、萎凋はただ単に茶葉を堆積し、下から空気を送っているだけです。
非常に効率的で大量生産に向く方法ですが、この方法で萎凋された茶葉の場合、花のような、或いはフルーツのような香りは期待できません。
紅茶の発祥の地は中国であり、世界トップクラスの紅茶が作られているのもやはり中国です。
中国における紅茶の作り方は、烏龍茶の作り方と非常に似ております。
萎凋は時間をかけ極めて少量ずつ行われ、様々な方法で攪拌を行うことで、萎凋中の発酵を促します。
一晩萎凋(攪拌)&発酵した時点で火を入れて、発酵を止め、その後揉んだのが烏龍茶ですが、中国の紅茶(高級な)の場合、ここで火を入れずに揉み、更に静置することで発酵を促します。
つまり、高級な紅茶作りをする場合、作り方は極めて烏龍茶のそれに近く、違いは萎凋により花のような香りを引き出した後に火を入れてしまうか、或いは、更に揉んで追加的に発酵を行うかと言ったところです。
東方美人などは、烏龍茶なので萎凋後に火を入れますが、火入れを完全に行わずに酵素を何割か残しておき、更に発酵が行われます。このことから東方美人は紅茶と言っても良いお茶です。
私の紅茶作りでも、中国紅茶のように烏龍茶の萎凋を取り入れ、攪拌と静置を何度も繰り返しました。
ただこの過程で、茶葉の酸化が完全に制御できなかったため、やや黒褐色の色が出てしまいました。
これに関しては、更なる萎凋技術の改善が必要と感じました。
黒褐色の色が出てしまった場合、いわゆる蒸れ臭がします。この香りは普通は殆ど気になりませんし、お茶に深く関わってないと中々気づかないレベルかも知れませんが、2煎目以降はより気になります。
ただ、一連の作業を通じて多くを学ぶことが出来満足しました。
今回特に学んだ点は、

1.お茶を摘むときに均一な状態の茶葉を摘まないと水分量が異なるため、萎凋時にさっさと乾燥してしまう葉と、何時までもみずみずしい葉に分かれてしまい、均一な結果が得られない。萎凋を伴う紅茶作りの場合、摘み方が特に重要であり、機械で摘まれた茶葉の場合、萎凋を大きな葉、つまり水分の少ない葉に合わせるしかないため、当然品質は落ちてしまう。

2.萎凋を行う際には、水分量と攪拌の頻度と程度が重要である点。未だ水分量が高い状態で、攪拌をしてしまうと、酵素反応が一気に進んでしまい、暗褐色の茶葉が生じてしまう。
とは言うものの、自分で作った紅茶はとても貴重です。
今回は1kgくらいの茶葉を収穫したのですが、実際に出来たのは200g以下でした。
2番茶では、プーアル生茶を作ってみたいと思います。
black tea-2
こちらが土手に生えているお茶の木:写真は収穫後に撮影しました。
black tea-5
収穫後の写真:ちゃんと手で摘みました!
black tea-4
最初に30分~1時間の日光萎凋
black tea-3
室内萎凋の初期の状態の茶葉
black tea-7
翌日、手揉み完了後の茶葉:完全に手で揉むのって想像以上に大変でした。息子も動員して揉みまくりました!
black tea-6
完成後の紅茶 (北城紅茶)

完成後の紅茶

日本茶(緑茶)、中国紅茶、白茶、プーアル熟茶、プーアル生茶、ジャスミン茶、烏龍茶という厳選された茶葉7種のお試しセット

関連記事 RELATED ARTICLES

お茶に関する最新情報を確実にキャッチするには? SOCIAL NETWORK

1,Twitterをフォローする。2,FaceBookで「いいね!」を押す。3,メールマガジンに登録する。という3つの方法で、お茶に関する最新情報をキャッチすることができます。今すぐ下のツイッターフォローボタンや「いいね!」をクリック!

メールマガジン登録で無料サンプルをもらおう!
メールマガジンにご登録いただくと無料のサンプル茶葉のプレゼントや希少商品の先行購入など様々な特典がございます。ソーシャルメディアの購読だけでなく、メールマガジンへのご登録もお忘れなく!

HOJO TEAオンラインショップNEWS一覧を見る

佐渡島の渡辺陶三作の無名異焼急須類が入荷
佐渡島の渡辺陶三氏製作の4種類の急須が入荷しました。 今回入荷したのは以下のラインアップです。 秋津無名異酸化焼成 秋津無名異還元焼成 秋津無名異炭化還元焼成 無名異常赤(酸化焼成) 以下茶器販売のページをご覧ください。 …
マレーシアで長期間熟成した鳳凰単叢烏龍茶3種を発売
当社マレーシア倉庫にて長期間熟成した鳳凰単叢3種類を発売しました。長期間お茶を熟成したことで、新茶では味わえない、非常に濃厚な香りをお楽しみ戴けます。 https://hojotea.com/item/houou.htm …

最新の記事 NEW ARTICLES

佐渡島の渡辺陶三作の無名異焼急須類が入荷
佐渡島の渡辺陶三氏製作の4種類の急須が入荷しました。 今回入荷したのは以下のラインアップです。 秋津無名異酸化焼成 秋津無名異還元焼成 秋津無名異炭化還元焼成 無名異常赤(酸化焼成) 以下茶器販売のページをご覧ください。 …
マレーシアで長期間熟成した鳳凰単叢烏龍茶3種を発売
当社マレーシア倉庫にて長期間熟成した鳳凰単叢3種類を発売しました。長期間お茶を熟成したことで、新茶では味わえない、非常に濃厚な香りをお楽しみ戴けます。 https://hojotea.com/item/houou.htm …
舘正規作の萬古焼急須が多数入荷
舘正規氏作の、萬古焼急須と湯飲みが多数入荷しました。 https://hojotea.com/item/banko.htm 産地物の土としては優秀な萬古焼の土 HOJOで販売している他の土の茶器は、すべて特注することで、 …
蘭の花のような香り!安渓産の蘭韻鉄観音を発売
安渓産の高級鉄観音、蘭韻鉄観音が入荷しました。 久しぶりに品質の良い蘭韻鉄観音を仕入れることができ、現物を手にしてほっとしています。 https://hojotea.com/item/o26.htm 中国三大烏龍茶の産地 …
鳳凰単叢老欉貢香22と獅頭黄枝香22を発売
2022年産の鳳凰単叢烏龍茶を2種類発売しました。 今回発売した商品は、鳳凰単叢老欉貢香2022と鳳凰単叢獅頭黄枝香2022です。 https://hojotea.com/item/houou.htm 鳳凰単叢烏龍茶は水 …
臨滄の名産地:鳴鳳山古樹生茶 散茶 2022を発売
臨滄永德県に位置する有名産地:鳴鳳山の春茶から作られたプーアル生茶の散茶を発売しました。 鳴鳳山とは 鳴鳳山村は中国雲南省の永德県に位置し、中心部の標高1,900メートル、年間降水量は1,400ミリメートル、平均気温は1 …
お茶に適した水を考える:水の硬度とミネラル組成とお茶の味香りの関係
お茶を淹れるのに適した水について考えてみましょう。一般的には「軟水が好ましい」とされていますが、本当にそうなのでしょうか? 硬度以外にもある、水を選ぶ上での重要な注意点も併せて紹介したいと思います。 水の硬度とは 水の硬 …
5つの異なる茶園からなる古樹白茶特別限定セットを発売
HOJOの店舗でも非常に人気の古樹白茶ですが、今年の春も生産しました。その後、香りを更に高める為に、無酸素にて数ヶ月寝かしたことで、期待通りの香りへと熟成が進み、いつでも発売できる状態に仕上がりました。 古樹白茶は、1日 …
地元でも非常に入手が困難な2つの高級鳳凰単叢を発売
非常に高級な鳳凰単叢を2種発売しました。 今回発売のお茶は、鳳凰単叢老欉八仙王2022と鳳凰単叢老欉郁金香 単株2022です。 https://hojotea.com/item/houou.htm 鳳凰単叢老欉八仙王20 …
初の伊賀天然朱泥急須入荷、宝瓶と絞り出しも再入荷
伊賀天然朱泥急須、宝瓶、絞り出し、前川淳蔵氏による作品が発表されました。これまで多くのお客様から伊賀天然朱泥急須の制作についてのリクエストをいただいており、ついに実現することが出来ました。 https://hojotea …

PAGETOP