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君山銀針は黄茶に分類され、その黄茶の中、最も高級なお茶として知られております。 剣のような外観の茶葉が、グラスの中をゆっくりと上下する様は、「まるで静かな竹林を見ているようだ」と形容される君山銀針は、中国湖南省の洞庭湖に浮かぶ君山島内の茶園で作られた茶葉からのみ作られます。
悶黄と呼ばれる黄茶独特のプロセスにより、茶葉に含まれるカテキンなどのポリフェノールを、時間をかけて酸化させます。悶黄の結果、黄茶特有の明るい黄色、清香、甘く爽やかな味が形成されるのです。
現在、君山島以外の周辺地域で作られたお茶も君山銀針として販売されておりますが、君山島と生育環境が異なる為、また、生産ノウハウの違いから、「君山島産の君山銀針」には品質的に及んでおりません。また、君山島産の君山銀針でも、緑茶タイプも生産されておりますが、日本では、それらが「黄茶」として販売されていることがあります。 HOJOでは黄茶に拘り、更に3つある黄茶タイプの中でも最高品質と言われるAAAグレード、中国政府の外国首脳陣へのギフト茶を自社標準としてラインアップしました。
記録によると君山銀針は唐の時代(618〜907年)から作られていたそうです。過去には年間生産量が0.5kgだけだった君山銀針ですが、今日でも年間に300kgしか生産されません。
唐の時代、唐の皇帝太宗の娘(皇女)である文成公主がチベットに嫁いだ際、嫁入り道具の一つとして選んだと言われております。
君山銀針は5代の時代より皇帝の献上品となり、その後も宋、元、明、清朝と引き継がれました。唐と宋朝の時代、君山銀針は黄翎毛(黄色い尾の毛)或いは、白鶴翎(白い鶴の羽毛)と呼ばれました。更に、君山銀針表面にびっしりと生えた白い毛から白毛尖(白い毛の針)とも呼ばれ、清朝になり初めて君山銀針という名称が与えられました。
君山島は中国湖南省、岳阳の北東15kmに位置する洞庭湖に浮かぶ島です。島内の茶園は、島内の大小72の山に沿って広く分布しております。君山島の茶園が特別な理由は、
これらの要素により、君山島の茶葉は豊富なアミノ酸を含み、ふっくらとした独特の形状を呈しております。
君山島は幾度と無く紛争に巻き込まれ、その都度、茶園の所有者が変わったことから、その品種は明確に分かっておりません。
最高級の君山銀針は春に出芽した1番の芽のみから作られます。1つの芽には4〜5枚の幼葉が含まれております。摘採は極めて厳しい基準に基づいて行われます。まず、芽の全長は25-30mm、幅は3-4mm、2mmの茎を一緒に摘まねばなりません。
更に、以下に示すような、10種類の品質不合格基準が設けられております。
1)過度に成長した芽、2)曲がった芽、3)中身が詰まっていない芽、4)紫色に変色した芽、5)風により痛んだ芽、6)虫食い痕のある芽、7)虫害の影響を受けた芽、8)やせすぎた芽、9)雨天直後の芽、10)朝露のついた芽
摘採は非常に厳しい基準に基づき行われるため、ベテランでも1日に0.5kgしか収穫できないそうです。因みに、0.5kgには10,000個の芽が含まれるそうです。
清明の4日前から10日後までの合計14日の間に摘まれた芽が最高品質の芽と言われております。 春1番に発芽した芽の付け根には「魚叶」と呼ばれる、芽を寒さから守るための「がく」のようなパーツが付いていることから、高級茶を見分ける使用として用いられます。
黄茶の加工で最も特徴的なのが悶黄と呼ばれる工程です。緑茶と同じように殺青された茶葉は、初包から復包から成る悶黄により、黄茶独特の色と香りを作り出します。
中国茶の殺青は日本の緑茶の様に蒸気で蒸すのではなく、釜炒りと言われる方法にて行われます。釜炒りとは文字通り、フライパンのような金属釜で炒ることです。尚、殺青の目的ですが、茶葉を加熱することでPPO(ポリフェノールオキシダーゼ)のような酸化酵素を失活するためです。
この釜炒りの温度ですが、一般的な中国緑茶の場合、釜の温度が200℃に達した時点で茶葉を炒り始めます。釜の温度が非常に高いことから、比較的瞬時に茶葉に熱が回り、酸化酵素が失活します。
黄茶の製造に於いても、まず原料である茶葉を釜炒りにより殺青します。但し、重要な点として、釜の温度は95-105℃という非常に低い温度に保たれます。そして、120-130℃まで徐々に温度を上昇し、その後、今度は徐々に温度を下降させます。
茶葉の温度は非常に緩やかに上昇するのですが、その間、お茶に含まれる酸化酵素は急速にポリフェノールを酸化します。穏やかな温度の上昇は酸化酵素の活性を最大まで高めると言われております。但し、最終的に茶葉の温度が60℃に達した時点で殆どの酵素は失活するため、ポリフェノールが酸化しすぎて紅茶化してしまうことはありません。
殺青の後、木を燃やした炎で乾燥(初烘)を行います。炎は完全燃焼、強めに調節することで木の精油が茶葉に付着しないよう注意します。尚、乾燥後は冷却をすることで、水分の分布を均一にします。
茶葉を牛皮紙に1kgずつ包み陶器に入れ、そして、湿度の高い室内に1〜2日おきます。すると、高温多湿の中、茶葉に含まれる酸化ポリフェノールは徐々に自動酸化を繰り返します。この反応には酵素が関与していない為、これは「非酵素的な酸化反応」です。黄茶の特徴である黄色は初包により形成されます。
再び茶葉を乾燥することで、水分の分布を均一にします。 また、熱をかけることで黄茶独特の香りが形成されます。 乾燥後は冷却をすることで水分を一定にします。
再び牛皮紙に包み悶黄が行われます。 初包から復包までは合計で4日間費やされ、この間に黄茶の香り・色・味に寄与する様々な物質が形成されます。 この後、乾燥することで全ての化学反応を止め、最終的な選別を経て君山銀針が完成します。
君山銀針は、そのものが「中国の文化」と言われ、中国の製茶技術の最高峰に位置するお茶です。茶葉がゆっくりと上下するのを見て楽しみ、ゆったりとした時を楽しむのが君山銀針らしい飲み方です。
具体的にはガラス製のロンググラスで飲むのが最適です。中国では高級緑茶の喫茶にはロンググラスが用いられます。君山銀針はロンググラスの中で、茎部分を下にして立ち上がり、まるで竹林で笹の葉が上下に舞うかの如く、ゆっくりと上下します。
君山銀針のこのような動きには、芽と共に摘み取られる茎に秘密があります。茎の部分には、葉に水を送る師管と呼ばれる管が走っております。茶葉に湯が注がれると、この師管が急速に水分を吸収することから、茶葉が起きあがるのです。その後、茶葉全体が水分を吸収することで、底へと沈んでゆくのです。
君山銀針は見た目を非常に重要視する為、余り強く揉捻が行われておりません。お茶を淹れる際には、高温度で長時間が適しております。具体的には、95℃で5分が目安です。
冷蔵庫に保管して下さい。冷凍庫はあまりお勧め致しません。その理由として、冷凍庫の場合、冷蔵庫よりも食品の劣化が起こりやすいためです。
冷蔵庫に保管される場合は、完全に密封した上でお茶を保管してください。そうしないと、冷蔵庫から取り出したときに環境中の水分が結露し、お茶が湿気る原因となります。尚、冷蔵庫には他の食品の香りが充満しているため、香りが移りやすく、お茶の品質を損ねるおそれがありますので厳重な注意が必要です。理想は、お茶専用の冷蔵室を用意することです。