マレーシアの陶芸家

[2009.02.20] Written By

今日はマレーシアの陶芸家が店にやってきました。
事前に約束した上で来てくれただけにかなり真剣でした。
サラワク州出身の作家なので、陶歴30年だそうです。
一見すると信楽の土に非常に近い土を使っており、皿、茶碗、急須などを製作しているそうです。
この作家の面白いところは、土は100%天然物を使用しており、日本のように合成の土は一切使用していないこと。
また、全ての作品が「登り窯」、つまり、上り坂に沿って設置された伝統的な木の窯で焼かれており、炎や灰が織りなす自然釉が美しく仕上がっておりました。
登り窯の場合、窯内部の温度分布が不均一であり、また、火の管理がとても難しいことから、作品の成功率がとても低く、極めて低歩留まりで知られております。1個の作品を作るのに、10個の作品を犠牲にしているかもしれません。
ただ、作風がやや日本を意識しすぎている傾向があり、その点がやや気になりました。
あまり日本風になりすぎると個性が無くなり、魅力が薄れます。
登り窯である限り、火は完全燃焼ではないため、大方還元気味の焼成となります。
このため、土に含まれるミネラルは還元され、お茶に対しても独特の影響を与えます。
登り窯の場合、焼成温度もかなり高温と推察することが出来ます。およそ、1200-1300℃程度の温度で焼きしめられることから、表面が収縮し、高い表面積を有します。もっとも、土の色合いからして、鉄分の含有量が低いことが推察されます。
お茶を入れて飲んでみたところ、ちょうど、信楽、備前や常滑・万古の藻がけ急須に使われる白泥と非常に近い味がしました。
お茶の味のバランスとしては、佐渡の朱泥にはかないませんが、個性ある味が感じられました。
作家は私の店で販売することを願っておられましたが、Made in Malaysiaでも登り窯なだけに安くありません。
日本の急須にかなり近い値段がしており、それだけに日本風ではなく個性と使い勝手を重視した作品を作って欲しいとお願いしました。
また、サラワク州には鉄分を極めて多く含む土があるらしく、紫泥に近い特徴を有するそうです。
マレーシア国内で産出される鉄分の多い天然の土も面白いテーマです。
面白い作品ではある物の、マレーシアのマーケットで販売することは容易ではないと感じました。
現在海外向けのWEBショップ構築を計画しておりますが、その中で紹介していけたらよいと思いました。
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