
- ホーム >
- お茶の安心と安全
現地茶園レポート、ダージリンにおける有機農法
- [2006.12.20] Written By 北城 彰(Akira Hojo)
世の中でも一般的になりつつある有機食品ですが、実際、有機農法ではどの様な取り組みにより運営されているのか、ダージリンの有機農園を例に説明したいと思います。
今回、私がダージリンティを購入した農園は徹底した有機栽培を実践しており、ドイツの認証機関から有機認証を受けておりました。
有機農園=化学肥料や農薬を使わないと言うことではありません。有機農園では、肥料も農薬も基本的には自分たちの土地に生えている植物を使い、自分たちで生産しております。例えば、肥料ですが、「牛の糞」を使っていれば、有機農法と考える人もおりますが、実はそうではありません。実際の所、牛が何を食べているか全く分かりません。もしかしたら、農薬がたくさんかかった草を食べたかもしれません。その場合、当然それら化学物質は糞にも残留し、それが肥料として散布された場合、お茶に吸収されてしまいます。
勿論、有機栽培区域内で飼育された牛の糞は、「素性が分かっている」為、使用することが出来ます。同様の考え方に基づくと、外部から入手した肥料及び農薬は、それらが完全な有機栽培品であることが証明されない限り使用が出来ません。
実際は外部に「仕入れ」を頼るのは現実的でなく、有機農園の経営者としても、外部由来品を使用していたのでは何時有機認証を取り消されるか分からず、不安でなりません。それ故、有機茶園では、肥料も、農薬も全て自分たちで生産をするのが一般的です。
私が農園を訪れた際、農園のマネージャ-は、お茶のことより、自分たちがどれだけ苦労して虫対策や肥料対策を行っているか、それについて非常に熱く語ってくれました。
私たちは、ジープにさんざん揺られ、山を登りました。ジープの揺れは凄まじく、未だギックリ腰が治りかけの私にはとても辛い道中でした。
ようやく辿り着いた先には、堆肥と、なにやら見たことがあるような無いようなハーブ類がしげっておりました。マネージャーは、農園を荒らす虫対策にはどの様なハーブが良いのだとか、どうやって堆肥を作っているとか、次から次へと説明してくれたのです。
有機栽培における最も重要なコンセプトは、Live or let Dieではなく、Live or Leaveだそうです。つまり、ウンカのように共生するか、そうでなければ、「去ってください」と言うことなのです。「害虫には、死んで頂きましょう」と言うのが従来の農業の考え方でしたが、有機農法では、害虫が嫌いな苦い植物の汁や、虫の嫌がるハーブのエキスをかける事で、害虫が嫌がって茶園に近づかないようにするそうです。
その為、農園のあちらこちらには、様々なハーブ類が作られておりました。意外だったのは、「このハーブもよく効くんですよ」と言って見せてくれた植物の1つは、日本の「ヨモギ」そのものでした。
このハーブは噛むととても苦く、虫除けになるそうです。
同様のハーブが至る所に植わっておりました。
新しく植樹された茶園の間には、やはり虫除け薬を作るためのハーブがありました。
ハーブ類は定期的に刈り取られ、裁断機で裁断した後、水の中に2週間近く漬けておくそうです。暫くすると、ハーブ類は徐々に分解され、成分が水に溶け出してきます。それらを濾過したものが農薬として散布されます。勿論、これら「農薬」では虫は死にません。虫たちは逃げていくだけです。日本における蚊取り線香と同じ原理ですね。
肥料づくりも一筋縄ではいきません。草やシーズンオフの茶を刈り取り、それらを裁断した後、堆積し、毎日のように散水するそうです。散水することで、カビや放線菌を初めとする微生物が増殖し、プーアル茶の如く、発酵していきます。発酵が進むと、草は堆肥となります。
このような装置で刈り取った草を細かく裁断します。
未だ積み上げられたばかりの草。散水を繰り返すことで、発酵を促し、堆肥にするのです。
堆肥は子供たちの遊び場とかしておりました。道路はご覧の通り、石畳です。この上をジープで走ると本当に揺れます。
これは既に発酵が十分に進んだ堆肥です。
今回の視察で、有機農園の苦労が本当に分かりました。お茶を作る以前に、肥料や農薬を自分たちで生産しなければならず、その為の作業の大変さが本当に良く伝わってきました。
実際、ダージリン地区では、長年に及ぶ農園経営により生態系が壊滅的に破壊されているそうです。お年寄りが言うには、彼らが子供の頃は、ダージリンの川には大量の魚が泳ぎ、森には色とりどりの鳥や、野生動物がいたそうです。
野生のインコの群れ。凄く奇麗でした。
ところが、近年それら失われた生態系が、もどりつつあるそうです。広大なエステート規模での有機農法を導入することで、食物連鎖が丸ごと保護され、じょじょに野生動物の数、種類が増え始めているそうです。事実、私が農園の周りを散歩していたところ、大量の野生のインコの群れに遭遇しました。野生のインコは、有機農園地区にのみ居着いているそうです。
私たちがダージリンの有機栽培茶を買うことが、間接的にダージリンの生態系保護につながっているかと思うと、少し嬉しい気がします。
1,Twitterをフォローする。2,FaceBookで「いいね!」を押す。3,メールマガジンに登録する。という3つの方法で、お茶に関する最新情報をキャッチすることができます。今すぐ下のツイッターフォローボタンや「いいね!」をクリック!
メールマガジン登録で無料サンプルをもらおう!
- メールマガジンにご登録いただくと無料のサンプル茶葉のプレゼントや希少商品の先行購入など様々な特典がございます。ソーシャルメディアの購読だけでなく、メールマガジンへのご登録もお忘れなく!
- 地元でも非常に入手が困難な2つの高級鳳凰単叢を発売
- 非常に高級な鳳凰単叢を2種発売しました。 今回発売のお茶は、鳳凰単叢老欉八仙王2022と鳳凰単叢老欉郁金香 単株2022です。 https://hojotea.com/item/houou.htm 鳳凰単叢老欉八仙王20 …
- 初の伊賀天然朱泥急須入荷、宝瓶と絞り出しも再入荷
- 伊賀天然朱泥急須、宝瓶、絞り出し、前川淳蔵氏による作品が発表されました。これまで多くのお客様から伊賀天然朱泥急須の制作についてのリクエストをいただいており、ついに実現することが出来ました。 https://hojotea …
最新の記事 NEW ARTICLES
地元でも非常に入手が困難な2つの高級鳳凰単叢を発売
- 非常に高級な鳳凰単叢を2種発売しました。 今回発売のお茶は、鳳凰単叢老欉八仙王2022と鳳凰単叢老欉郁金香 単株2022です。 https://hojotea.com/item/houou.htm 鳳凰単叢老欉八仙王20 …
初の伊賀天然朱泥急須入荷、宝瓶と絞り出しも再入荷
- 伊賀天然朱泥急須、宝瓶、絞り出し、前川淳蔵氏による作品が発表されました。これまで多くのお客様から伊賀天然朱泥急須の制作についてのリクエストをいただいており、ついに実現することが出来ました。 https://hojotea …
自然栽培の老木から作られたプーアル茶、烏木龍古樹生茶2021を発売
- 烏木龍古樹生茶2021を発売しました。 このお茶は生産後マレーシアで2年間無酸素保存することで、熟成が進み、甘い香りへと成長しました。 昔ながらの農業が行われている烏木龍村 烏木龍は、永德県に位置する村の名です。この村は …
2023年産の大雪山野生白茶を発売!
- 2023年産の大雪山野生白茶を発売しました。 https://hojotea.com/item/w11.htm 特注だから出来る鮮やかな緑色の茶葉 大雪山の野生白茶は、野生のカメリアタリエンシスから生産される希少な白茶で …
2022年産の鳳凰単叢蜜桃香と老欉獅頭黄枝香を発売
- 2022年産の鳳凰単叢烏龍茶を2種発売しました。 今回発売したお茶は鳳凰単叢老欉獅頭黄枝香 2022と鳳凰単叢蜜桃香 2022です。 1年間熟成し、夏を2回経験したことで、お茶の熟成が進み、非常に香りが濃厚になりました。 …
2022産、鳳凰単叢老欉を2種類発売
- 2022年産の老欉鳳凰単叢を2種類発売しました。 https://hojotea.com/item/houou.htm 今回発売したお茶は、鳳凰単叢老欉草蘭香2022と鳳凰単叢老欉姜母香2022 これまで約半年間、無酸素 …
无量山古樹白茶 2018、マレーシア5年熟成の餅茶を発売
- マレーシアで5年間熟成した无量山古樹白茶2018を発売しました。 このお茶は2018年に発売した当時も非常に人気が高く、極めて短期間で売り切れてしまったお茶です。 実は当時仕入れた半分を年間を通じて温度が高く熟成に最適な …
マレーシアクアラルンプールMidvalley Gardens店の新装開店
- マレーシア・クアラルンプールのMidvalley Gardens Mall店は、改装が完了し、7月11日から新装開店を迎えました。改装工事にあたり、友人をはじめ多くの方々からのサポートに心から感謝しております。新しい店舗 …
2023年産中国緑茶、蒙頂甘露と西湖龍井を発売
- 2023年産の蒙頂甘露と西湖龍井茶を発売しました。 何れも4月に入荷したのですが、無酸素で1-2ヶ月暫く置くことで、更に香りを高め発売しました。 蒙頂甘露 蒙頂甘露は中国四川省を代表する緑茶の一つであり、その形状から「毛 …
佐渡島、渡辺陶三作の急須・茶壺・宝瓶を発売
- 佐渡島の渡辺陶三氏の製作した茶器を3種類発売しました。 今回発売したのは、以下の商品です。 1. 秋津無名異酸化焼成 急須、茶壺、宝瓶 https://hojotea.com/item/tozo_akitsu.htm 秋 …
- HOJO通販新着
- 特集
- メールマガジンバックナンバー
- お茶の種類
- お茶の産地
- 茶器・急須
- お茶のコラム-雑学-歴史-文化
- お茶を楽しむ
- お茶の作り方-製法
- お茶の品質を決める各種要素
- お茶の成分と効能
- お茶の安心と安全
- 食品
- お茶ビジネスの運営・記録
- 趣味活動
- お茶のランキング-おすすめ
- お茶に関する動画
- お茶に関するQ&A
- メディア掲載

- an anにてジャスミンパールが紹介されました。
- an an 「マガジンハウス出版」 No.1865、2013年7月24日号「夏のお取り寄せ」特集で弊社のジャスミンパールが紹介されました。
- マレーシアの全国紙 “Star Newspaper”に掲載して貰いました。
- 先日、マレーシアの全国紙「Star Newspaper」でHOJOの特集をしてくれました。 Starはマレーシアで最も購読数の多い新聞で、マレーシアのメディアでは最も影響力の大きな新聞です。 新聞の内容は、茶器によりお茶 …

住所:Lot No. T-215, 3rd Floor, Mid Valley City, Lingkaran Syed Putra 59200 Kuala Lumpur