アジアの南部鉄器事情

[2008.07.08] Written By

現在日本に戻っております。
予定していた雲南省行きは、マレーシアに戻る途中に変更しました。おそらく、今月の末から来月の上旬にかけて行くことになりそうです。
実は先日東北地方へ行って来ました。
マレーシアで販売している南部鉄瓶ですが、店の認知度の上昇に伴い、最近は引き合いも多くなりました。
そこで実際に産地を訪れて鉄瓶の作り方・作り手を良く理解したいと思い、遙々岩手県まで行って来ました。
日本での需要はやや減少傾向と思われる鉄瓶需要ですが、逆に海外での需要が増えております。
これまで鉄瓶はお茶マニアの間では憧れの茶器として位置づけられておりました。
お茶愛好家の間では、鉄瓶の極めて顕著な水質改変により、お茶の味が円やかになる事は知識としてはよく知られておりました。
元々水の味が美味しくないアジア地域では、水にこだわり、より美味しくお茶を飲みたいと思うお客さんが多く、その為に「いつかは鉄瓶」という思いがあるのです。
但し、これまで海外で販売されていた鉄瓶には極めて偏りがありました。
まず、南部鉄器を生型による合理的な大量生産をしている「岩鋳」という会社がありますが、この会社の優れたマーケティング戦略により、海外では鉄器=岩鋳と信じられているくらい岩鋳は名声を確立しておりました。
「南部鉄器をおもちですか?」とお客さんに聞くと、「私は南部鉄器は持っておりませんが、岩鋳を持っております。」と返答されるくらいです。勿論、岩鋳も南部鉄器なのですが。ただ、岩鋳製の鉄瓶の場合、内部をホーロー仕上げにしているため、水に対する効果はまったくありません。
次に、海外で多く見かける鉄瓶には、京都・近江スタイルの豪華な彫り物・象嵌や蝋型による立体的で派手な装飾ものが多いようです。それら鉄瓶の殆どが亀文堂や龍文堂などの古い骨董物が多く、全てが台湾の業者から輸入されております。
台湾の業者は日本製の骨董品の価値にいち早く気がつきました。このため、早くより、日本の骨董品店やオークションで古い鉄瓶を買い集め、それを再生することで高値にて販売しております。マレーシアで売られている亀文堂の鉄瓶などは30万円近くする物もあります。Yahooオークションなどを見ていると、信じられないくらい悪いコンディションの鉄瓶も良い値段で落札されております。これら取引の多くが再加工を前提とした、台湾の業者もしくは、国内のパートナーによるのではないかと推察されます。
私は基本的に新品の鉄瓶を取り扱い、幅広い値段帯の商品を提供したいと考えておりました。
このため、今回の出張では、日本を代表する老舗から合理的手法により半工業的に鉄瓶の製作をしている業者まで、数社を訪問しました。
つづく
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