国産手作り急須の販売開始

[2010.11.02] Written By


これまでずっと日本でも国産の手作り急須を売りたいと思っておりました。
昨日ようやく販売サイトを完成することができたので、販売を開始しました。
https://hojotea.com/categ/teaware.htm
私の場合、急須はお茶を淹れる道具であり、水の味を美味しくする道具だと考えております。
HPで紹介している急須類は、何れも、私が作家にお願いして、特別な土で作って頂いている作品です。
日本の急須の場合、見た目が赤ければ「朱泥」と呼ばれますが、市場に流通している朱泥急須の多くがベンガラという酸化鉄の微粉末により赤い色に仕上げられております。
但し、このベンガラを用いた場合、ベンガラの融点は非常に低く、約700℃付近で融解し始めます。結果として、表面に釉薬を塗ったような結果となり、例え赤い色をしていても、お茶の味は殆ど変化しません。
反対に、天然の朱泥の場合、鉄の粒子が「結晶」の状態で存在するため、融点が非常に高く、1200℃付近で焼いても、全てが溶け落ちることなく、ミネラル粒子による多孔性を保持しております。
しかしながら、天然の朱泥でも、鉄分以外の微量ミネラルの存在が味に大きな影響を与えます。例えば、中国の宜興や日本の佐渡島では色んな種類の朱泥が産出されます。
酸化鉄の粒子を多く含んでいれば、どれも焼成後には赤く発色します。但し、土によっては、微量成分として、銅、マグネシウム、亜鉛、マンガン、クロム等を含んでおり、それらの微量ミネラルの種類により、同じ朱泥でも味が美味しくなったり逆に不味くなったりします。また、同じ作家であっても、複数の土を使い分けていることが多く、使用する土によって味が良くなったり逆に悪くなったりもします。従って、ただ赤い天然の土を選べば良いと言うことではなく、文字通り味を良くする土を選ぶことが重要です。現実は市場に流通している「赤色の急須」の多くが、味を殆ど良くしません。
次に焼き方ですが、宜興の茶壺は非常に低い温度で焼かれております。
土は高い温度で焼けばより焼きしまります。焼きしまるとはどういう事かというと、つまり、ミネラルの粒子が溶けているのです。
フライパンに砂糖を入れて、加熱すれば、砂糖はどんどん溶け、最終的には液体になります。鉄の粒子に関しても同じ事で、高い温度で焼くほどにより多くの粒子が溶けます。
溶ければ溶けるほど、表面積は減少するため、急須の性能も落ちます。つまり、簡単に言うと、焼く温度が低ければ低いほど、土は高い性能を発揮します。
但し、温度が低ければよいかというと、そうでもありません。温度が低すぎた場合、まず土の香りが残ります。次に、急須が非常に脆くなります。粒子が溶けてないと言うことは、構造がしっかりとしてないわけで、当然、壊れやすくなります。
このため、あまり性能のみを追いかけるわけにも行かず、強度と性能のバランスを取る必要があります。
私が販売している急須は、以上の点を研究した上で、素材を注意深く指定し、作って頂いている特注品の急須です。
中国茶や台湾茶、紅茶も美味しく淹れられるように急須の素材とデザインに配慮しております。
モデルは定期的に更新されますので、興味のある方は、眺めてみてください。

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