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色ガラスで顕著に変化するお茶の味
- [2015.09.11] Written By 北城 彰(Akira Hojo)

お茶をいれるとき、「どの材質でいれるとお茶本来の味わいを感じる事が出来るだろうか」という議論になることがあります。
一般的に、ガラスが一番ニュートラルだと思われておりますが、「実は必ずしもそうではない」という話をしたいと思います。
ガラスとは
ガラスとは正式にはガラスという材料があるわけではなく、ミネラルを加熱することで、それが液体化したものが冷えて固体化した物をガラスと呼びます。このため、使用するミネラルによってガラスには何千と種類がありますが、一般的にはケイ酸塩を主成分とするケイ酸ガラスをいわゆるガラスと呼ぶそうです。詳しくはネットの情報などをご参照ください。
ガラスも水に溶けイオンが溶出する
急須などの陶器にお茶をいれると良くも悪くも味が変化します。コクやボディを高めることで味の立体感を増す素材もあれば、逆にコクやボディをカットし、渋味を呈する急須まで様々です。これには陶器から溶出するミネラルイオンが関係していると考えられております。
それに対して、ガラスの場合についてはニュートラルと思われがちです。ガラスの急須でお茶をいれたり、グラスでお茶を飲んでいる限り味は変化しないというのが一般的な考え方ではないかと思います。しかしながら、実はガラスでもお茶の味が変化します。
ガラスからはミネラルは全く溶出しないと信じて疑わない人も多いかと思いますが、実はイオン(Naイオン)は溶出します。以下にガラスからイオンが溶出することに触れているリンクを紹介します。
「ガラスと水」中島硝子工業株式会社
http://www.ngci.co.jp/tech/tech_kn23.html
「実験器具に用いられる素材の特徴」公益社団法人 日本分析化学会
http://www.jsac.or.jp/bunseki/pdf/bunseki2011/201101minifile.pdf
「イオンクロマトグラフィーQ&A 溶離液の調製」島津製作所
http://www.an.shimadzu.co.jp/hplc/support/faq/ic/ic1.htm
「ガラスの耐水性」(独) 産業技術総合研究所 山下勝 氏
http://www.newglass.jp/mag/TITL/maghtml/102-pdf/+102-p045.pdf
「ガラスより水中へ溶出するアルカリ・イオンの溶出量と溶出時間および溶出温度との関係式(第2報)」矢田部 俊一
http://ci.nii.ac.jp/naid/110000216271
色つきのガラスは飲み物の味を劇的に変化する
ガラスでも切り子やビール瓶のような色つきのガラスの場合、色を付けるために、他の金属を加えます。「日本硝子工業会」のページによると、ガラスに色を付けるためには以下のようなミネラルが添加されます。色つきのガラスの場合、着色に用いられた金属の影響で、味は更に劇的に変化します。
色 着色剤
紫 マンガン+銅、コバルト
青 コバルト、銅
緑 クロム、鉄、銅(緑系統の色はクロムが一般的)
緑(蛍光) ウラニウム
黄 銀、ニッケル、クロム、カドミウム
茶 鉄+硫黄(還元剤として炭素を一緒に使う)
黄赤 セレン+カドミウム
赤 金、銅、コバルト、セレン+カドミウム
赤紫 ネオジム、マンガン
黒 濃い色を出すいろいろな着色剤を混ぜ合わせる
(Mn,Cr,Ni,Co,Fe,Cuなど)
乳白 ふっ化カルシウム、ふっ化ソーダ、りん酸カルシウム
私の経験上、色つきのガラスは顕著に味に影響します。もしご家庭に青いガラスがあれば、それでお茶を飲んでみてください。信じられないほど、コクがなくなり、同時に舌に残る渋味が強く感じられます。上の資料によると、青いガラスにはコバルトや銅が添加されております。
アルミ缶だけでなくビール瓶も味に対して影響する
缶ビールと瓶ビールと比較すると、瓶ビールの方が美味しいですが、それは、缶ビールの殆どがアルミ缶であり、アルミが味に悪影響を与えるためです。ペットボトル入りのコーラ、お茶、日本酒などをきれいに洗ったアルミの缶に入れて飲んでみると、アルミの影響が良く理解できます。もっと簡単な実験方法としては、二つの同じ容器にいれたお茶やジュースを準備し、その一方にアルミのプルトップを入れてみてください。アルミにより、コクもボディも切り捨てられ、代わりに非常に強い渋味が舌に残ります。余談ですが「コク・喉越しが云々」と言っている缶ビールの宣伝を見ると、悲しくなってきます。
逆に瓶ビールは美味しいというのは多くの人が認めるところではないかと思います。瓶はガラスなので味に影響しないと考えられておりますが、前述したとおり、そうではありません。もし、機会があれば、ビール瓶にお茶やコカコーラを入れ、再度、グラスに注ぎだして無処理のものと比較してみてください。「え?」と驚くほど味が変わります。コクがカットされ、代わりにボディと渋味が増します。つまり、工場で作りたてのビールと瓶に詰められた直後のビールの味は既にその時点で異なるのです。酸化を防ぐために茶色の色を付けているのですが、透明な瓶を紙で覆うなど別の方法を考えたら、ビールはもっと美味しくなるはずです。
クリスタルガラスはボディと渋味を増す
クリスタルガラスには一般的に酸化鉛が含まれております。クリスタルと普通のガラスでワインやお茶の味を比較すると、味が異なる事に気がつきます。クリスタルはボディを非常に高めます。例えば、台湾の阿里山茶をクリスタルで飲むと、まるで凍頂烏龍茶のような味になります。また、ブルゴーニュのワインをクリスタルのガラスで飲むと、ボルドーのワインのようなフルボディの味に変化します。クリスタルは飲み物の味と香りの広がりが増し、飲み物の味わいが非常にふくよかになります。ただ、クリスタルの場合、良いことばかりではありません。クリスタルを通すことで、口に残る渋味が形成されます。お茶をクリスタルで飲むと、口に残る渋味が非常に気になり、私はあまり楽しむことができません。ただ、ワインをクリスタルで飲んだ場合、ブドウの渋味とクリスタルによる渋味がうまいことシンクロし、意外に気になりません。なお、同じクリスタルでもメーカーによって味に違いがあり、ボディや渋味の程度にもメーカー毎に差があります。
まとめると、ガラスでも微量のイオンが水に溶出します。色ガラスの場合、着色に使われている金属イオンが味に影響します。ガラスとはいえども、味のことを意識しながら選ぶことが大事だと思います。因みに、ガラスの中でもホウケイ酸ガラス(パイレックスの商品名)はイオンの溶出量が非常に少ないガラスです。
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