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お茶をブレンドする本当の意味
- [2015.09.30] Written By 北城 彰(Akira Hojo)
お茶に限った話ではありませんが、お茶をブレンドするというと、香りを組み合わせることで新たな香りを生み出すことを想像される人が多いのではないかと思います。しかし、私がブレンドを行う場合は香りだけでなく味を非常に重要視します。
お茶の個性を理解して組み合わせることで味の再設計
お茶をブレンドする際には、個々のお茶の味の特徴を把握する必要があります。例えば、お茶ごとに、ボディが強いお茶、コクが非常に強いお茶、ボディもコクも強いお茶、逆に、ボディもコクも弱いお茶の4種に大別することが出来ると思います。(勿論中間もありますがそれはここでは省略します。)お茶に精通したプロがブレンドをする場合、異なる味のお茶を組み合わせることで、味を再設計することがブレンドの主たる目的です。
コクが強いお茶
例えば、コクの強いお茶、つまり、余韻の強いお茶と言うのは素材の質が非常に良いお茶と定義することが出来ますが、コクが強くてもボディが弱い場合、一般受けしにくい傾向があります。私のラインアップで言うならば、周新強古樹生茶、月ヶ瀬在来煎茶、野生春芽2014、宮廷金毫、天池梨山茶などが思い浮かびます。これらのお茶は自然栽培や準自然栽培で作られており、味の余韻がとても深くて極めて品質の良いお茶なのですが、ボディが弱い為に、香りや味の華やかさには欠けます。事実、中国ではお茶がある一定レベルのコクを満たしていた場合、値段はボデイの強さに比例して高くなる傾向があります。ボディが強いと、香りの広がりが増すため、同じ香りでもより豊で華やかに感じられ、より多くの人、あまりお茶に詳しくない人にも受け入れられやすいのです。
ボディが強いお茶
これに対し、ボディが非常に強い反面、相対的にコクが弱いお茶もあります。例えば、高山紫茶2014年、独木春古樹生茶2012年、雁が音などがそれにあたります。これらのお茶は香りに広がりがあり、味も香りも非常に華やかに感じられる反面、余韻は軽めゆえ、サッパリしたのみ心地に感じられます。
コクとボディを互いに補う
コクが強いがボディの弱いお茶と逆にボディが強いがコクが弱めのお茶をブレンドした場合、コクとボディがお互いに補われ、味の相乗効果により奥行きがあり豊かな飲み心地のお茶に変化します。
例えば、コクが非常に強い反面、ボディが軽めの月ヶ瀬在来煎茶と、ボディが強い雁が音や朝宮煎茶をブレンドすると、香りや味の広がりも奥行きもバランスが良くなり、飲んだときの満足感が増します。
このように、ボディとコクのバランスを考慮しつつブレンドを行うと、お茶の個性が豊になり、お茶がとても楽しくなります。
3種類のお茶を使いより経済的なブレンド
私の場合、客様からの依頼で実際にお茶のブレンドを行う場合、①香りのみを純粋に担当するお茶、②コクを担当するお茶、③ボディを担当するお茶と、それぞれの役割を明確に切り分けます。一つのお茶に多くを求めないようにすることで、低いコストで万人に受けるお茶を生み出すことが出来ます。例えば、ダージリン、東方美人、鳳凰単叢烏龍茶、ローズ、ジャスミンパールに、コクとボディを高める為に自然栽培系のプーアル生茶を2種類ほど組み合わせると、まるで超高級茶のような味わいになったりして面白いです。
急須選びもお茶のブレンドと同じ考え方
実は、急須も同様の考え方で選択することが出来ます。例えば、ボディは非常に強いもののコクが弱めの高山紫茶や雁が音と、コクは高める物のボディを高めない野坂土を組み合わせた場合、ボディとコクのバランスが取れた味わいのお茶をいれることができます。また、コクは非常に強い物のボディが軽めである、月ヶ瀬在来煎茶、天池梨山茶、宮廷金毫のようなお茶を、ボディを高める土である、渡辺陶三氏の秋津無名異土や清水謙氏の無名異土と組み合わせた場合、ボディが広がり、お茶にもともとあったコクと相成って、非常に豊で「分かりやすく美味しい」お茶になります。
なお、HOJOでは現在ブレンドした製品は殆ど扱っておりませんが、今後、徐々にブレンド茶も紹介していきたいと思っております。また、業務用のお茶については、要望に応じてブレンドを行ないます。
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