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農薬のない安全な中国茶を仕入れる方法
- [2006.06.18] Written By 北城 彰(Akira Hojo)
2006年5月29日より農薬のポジティブリスト制が施行されました。私たち食品の輸入に携わる業者としては、非常に深刻な問題であり、確実な方法にて残留農薬の管理に臨まねばなりません。
残留農薬を管理するためには、日本における法律を良く理解し、それに基づき農園レベルで農薬を管理することの出来る業者を捜すことがキーになります。中には、有機茶を専門とする業者も多く見受けられますが、現時点では世界レベルで有機茶のレベルは極めて低く、お茶本来の特徴が全く失われてしまっているのが現状です。その為、有機の有無にかかわらず、品質と安全性の両立が求められます。
展示会で農薬を管理できる生産者捜し
これまで2種類の方法で業者の開拓を行ってきました。1つめは現地で催される展示会に参加する方法、もう一つは日本で催される展示会に参加する方法です。日本へ輸出を目論んでいる業者にとっては日本の展示会に参加することが日本におけるお客さんを開拓する一番の近道です。私としても、日本の展示会に遙々来る業者であれば、当然、日本の法律を熟知しており、当然、農薬のポジティブリスト制に関してもクリアーしていると考えておりました。
しかしながら、実際はそうではありませんでした。
ポジティブリスト制への取り組みを質問すると、多くの業者が、「過去に日本やヨーロッパ向けに輸出しているのだから大丈夫」と言い切るのです。事実、中国茶にはEUグレードと呼ばれるお茶が存在します。しかし、本年度から施行される新基準はこれまでの基準と比べ遙かに厳しくなっており、更に、規制対象農薬によってはヨーロッパよりも厳しい管理値が設けられております。
中国政府も独自の対策を実施
中国政府は各国の高まる安全意識と法律に対応し、CIQと呼ばれる仕組みを導入しました。基本的にEU向けと日本向けの製品が対象となります。この仕組みでは、使用する農薬を限定し、更に、製品段階での抜き取り検査が行われます。私も勿論CIQ 対応の製品を輸入する予定ですが、このCIQにおいても、農園における管理がどのレベルまで徹底できているかについてはやや不明な部分があります。多くの業者が、CIQを免罪符のように用い、CIQ準拠=日本への輸出は問題ないと判断しているようです。自分自身で農薬管理基準を勉強することなく、「良く分からないからCIQ対応の製品を買えばいいだろう。」という考え方になるのは危険です。
農薬基準を条件に取引
農薬の管理を各業者により徹底して貰うため、私の会社では、各業者に誓約書を出して貰うことにしました。内容は輸出するお茶が日本のポジティブリスト制に対応しており、万が一違反事例が生じた際には、製品の積み戻しを無償で行うという内容です。
この依頼を開始したところ、業者の対応に異変が生じました。今まで、大丈夫と言い続けていた業者が突然、「御社のような少ない購買量に対して農薬を保証するのは面倒だ」等々、言い出しました。勿論、検査等にかかる費用は全て私たちが負担するわけだから、業者にとって損は生じません。要するに、保証することが出来ないだけなのです。
そんなわけで、何社かの会社が私の基準を満たせないことが判明しました。同時に、より信頼できる会社もスクリーニングされ、ポジティブリスト制に対応した原料調達の仕組みが徐々に完成しつつあります。
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