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皇帝が翡翠でお茶を飲んだもう一つの理由

[2008.05.15] Written By

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お茶の味に影響を与える茶器はたくさんありますが、先日、意外な材料がお茶の味に影響を与えることを知りました。

 

翡翠でお茶の味が変わるか実験

店に来店したお客さんとの会話で、「中国の皇帝は翡翠の杯でお茶を飲んでいたのだから、翡翠もお茶の味に影響を与えるのでは?」という話になりました。私は、「また眉唾な話を・・・」と半信半疑に聞いておりましたが、何でもお客さんが翡翠の茶碗を持っており、私の店で実験をしたいというので、「じゃあ是非」という話になりました。

 

お客さんが持ってきたのは、深緑色をした翡翠の茶碗でした。翡翠には2種類の石がありますが、今回持参の茶碗はジェダイト(硬玉)タイプの翡翠でした。
実験は以下の手順ですすめました。

  1. 緑茶、白茶、黄茶の順番でお茶を淹れ、それぞれをピッチャー(茶海)に受けます。
  2. ピッチャーのお茶は、それぞれ①紫泥の茶碗、②翡翠の茶碗、③ガラスに入れ30秒ほど放置した後、セラミックス製の茶碗に注ぎテイスティングをします。

 

翡翠の茶碗でお茶がまろやかに

結果は私の想像を良い意味で裏切ってくれました。たったの30秒間放置しただけなのにもかかわらず、翡翠にいれたお茶の味はあきらかに変化しておりました。味はあきらかに円やかになり、コクが出て、後味が増しておりました。比較するなら、萬古焼の急須と南部鉄器の中間くらいのまろやかさになっておりました。後ほど、烏龍茶でも同じ実験を行いましたが、烏龍茶の場合、味は円やかになる物の香りも同時に減少することから好みが分かれそうです。

今回の実験結果を見ると、歴代皇帝が翡翠のカップを使用した理由が分かるような気がしました。

Jade1.jpg

水の味を美味しくする石

山や渓流の水はとても甘く美味しいですが、これも多くのミネラルと触れ合う事による水質の改変と関係しているのではないかと思います。
今回の実験により、天然の石は水の味に変化を与えるという点を深く理解することとなり、この分野に大変興味を持ちました。今後、より多くの石を実験し、成分と味の変化の関係を検証していきたいと思います。翡翠以外にもお茶の味に変化を与える石は必ずあるはずです。まずは身近の石から試してみたいと思います。

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