萬古焼急須作家の舘正規氏訪問

[2008.07.16] Written By

IMG_3401.jpg

三重県四日市市にて舘正規氏を訪ねました。今回は急須の製作工程をじっくり見せて頂くことが出来ました。
実際に舘さんの制作光景をみて思ったことは、轆轤をひく速度が信じられないほど速いことです。
私自身たの産地の製作風景を見たことがありますが、こんなにも早い人は見たことがありません。
作り始める前に完璧なまでに作品のイメージが頭にあるためか、動き出すと一瞬にして形が出来上がり、そして「はい終わり!」と言って終わってしまうため、ビデオを撮影する暇もないほどでした。
言い方を変えると、作り方に勢いがあります。作りの勢いは、完成した作品にも反映されており、舘さんの急須の場合、静的な道具がとても動的に感じられ、急須からオーラが発せられているような感じがします。
舘さんのもう一つの得意技は「飛び鉋」という技法です。
急須の表面に幾何学的な彫り模様を付ける手法ですが、他の作家でこれ程に飛び鉋の技を高めた作家は今も昔も見たことがありません。飛び鉋の技法は誰にでも出来る物の、技の差は素人目にも分かるくらい歴然としております。
飛び鉋には薄く加工されたブリキ板が用いられ、轆轤で回転している急須表面で金属板を振動させることで連続的で幾何学的な模様を彫り込みます。
実物を見たことのある人には直ぐに分かってもらえますが、舘さんの飛び鉋は非常に三次元的で奥行きが感じられます。極めて二次元的になりがちな飛び鉋の技法を舘さんは革命的に進化させたと思います。
まず、舘さんが飛び鉋による加工をしているとき、その音が凄いと思いました。
本当に蝉が鳴いているような「ビーン」という真の通った音がし、音を聞いただけで、彫りの深さが想像出来ました。
IMG_9869a.jpg
飛び鉋により仕上げられた表面
一連の作業を見学させて頂いた後、思い切って、「轆轤を触らせて下さい」とお願いしてみました。
見ているとあまりに簡単そうなので、「少しだけなら出来るかも?」と思いました。
私も少年時代は美術が大好きで、他の教科は駄目でも美術だけはAクラスの成績だったのでした。

 

舘さんは丁寧に指導して下さりました。
まず、座り方が重要だそうです。体をピタリと安定させることが陶芸の基本であり、その為には座り方が重要なポイントだそうです。
そして、始めたのですが・・・・。
土って、これ程扱いにくいと思いませんでした。「萬古の土は扱いやすいんですよ」と舘さんは言いますが、私にとっては一筋縄ではいきませんでした。簡単に表現すると、堅柔らかいのです。物凄く堅く、加工しにくく感じられるのですが、ふとした瞬間に物凄く柔らかくなり、粘土をコネコネするといったイメージとはまったく違いました。

 

素人が触ると、土表面の水が保持出来ません。土と手の間に水分を維持することで、作品を滑らせ造形が出来るのですが、水が枯渇すると、手と土の摩擦が急激に増し、土はビチッと切れてしまいます。
舘さんは一回水を付けたらその水を枯らさないように、上手に保持してます。また、作品を仕上げる速度が速いため、水が乾く暇がありません。
私の場合オロオロとやっているため、水が直ぐに枯渇し、次から次へとドーナッツが生産されました。本当にそこの部分がブチッと切れドーナッツが量産されてしまうのです。
更に、土は一旦柔らかくなり、動き出したら一気に形にしないと、チマチマ時間をかけてと形を作ることは出来ません。作りたい作品のイメージが曖昧な私の場合、そこで悩んでしまい、再びドーナッツが生産されるのでした。
今回は本当に色んな体験をさせて頂きました。舘さん、本当に有り難うございました。

日本茶(緑茶)、中国紅茶、白茶、プーアル熟茶、プーアル生茶、ジャスミン茶、烏龍茶という厳選された茶葉7種のお試しセット

関連記事 RELATED ARTICLES

お茶に関する最新情報を確実にキャッチするには? SOCIAL NETWORK

1,Twitterをフォローする。2,FaceBookで「いいね!」を押す。3,メールマガジンに登録する。という3つの方法で、お茶に関する最新情報をキャッチすることができます。今すぐ下のツイッターフォローボタンや「いいね!」をクリック!

メールマガジン登録で無料サンプルをもらおう!
メールマガジンにご登録いただくと無料のサンプル茶葉のプレゼントや希少商品の先行購入など様々な特典がございます。ソーシャルメディアの購読だけでなく、メールマガジンへのご登録もお忘れなく!

HOJO TEAオンラインショップNEWS一覧を見る

東洞庭山産、無農薬無肥料の碧螺春を発売
碧螺春(Biluochun)は中国を代表する緑茶の一つで、その優れた品質と独特の風味で有名です。HOJOでは、無肥料無農薬栽培による、余韻の長い碧螺春をお届けします。 https://hojotea.com/item/g …
マレーシアで8年熟成の白鶯山古樹白茶2017を発売:トロピカルフルーツの香り
白鶯山古樹白茶2017を再度発売しました。同じ名称の商品をこれまでも販売しておりましたが、以前販売していたロットの商品は日本で熟成したお茶でした。今回発売する商品は8年間マレーシアで熟成をしたお茶になります。マレーシアの …

最新の記事 NEW ARTICLES

単株茶を含む2022年産の鳳凰単叢老欉を3種類発売
単株を含む、鳳凰単叢の老欉を3種発売しました。今回発売したお茶は以下の三種類です。何れも標高1200mの茶園産の茶葉原料から作られており、濃厚な香りと深い後味がする素晴らしいお茶です。 鳳凰単叢老欉夜来香 2022 鳳凰 …
東洞庭山産、無農薬無肥料の碧螺春を発売
碧螺春(Biluochun)は中国を代表する緑茶の一つで、その優れた品質と独特の風味で有名です。HOJOでは、無肥料無農薬栽培による、余韻の長い碧螺春をお届けします。 https://hojotea.com/item/g …
マレーシアで8年熟成の白鶯山古樹白茶2017を発売:トロピカルフルーツの香り
白鶯山古樹白茶2017を再度発売しました。同じ名称の商品をこれまでも販売しておりましたが、以前販売していたロットの商品は日本で熟成したお茶でした。今回発売する商品は8年間マレーシアで熟成をしたお茶になります。マレーシアの …
雲南省の稀少茶、大雪山野生白茶2024を発売
大雪山野生白茶2024の散茶を発売しました。 このお茶は、私達が実際に現地雲南省の産地に滞在し、現地で生産管理しながら作り上げたお茶です。 雲南省における野生茶の定義 これまで何度も説明しておりますが、雲南省 の人々は例 …
HOJO独自の新製法で実現した香り高い紅茶:雲南での挑戦
雲南省に1.5ヶ月滞在した期間中、良質な白茶やプーアル茶の生産はもちろん重要な課題でしたが、今回の大きな目標は、小ロット生産にも対応した新しい紅茶の生産方法を開発することでした。 一般的に雲南紅茶といえば、当店のラインア …
2024年の雲南省お茶シーズン:予想外の気温と収穫の混乱
長い雲南省の仕入れを終え、現在マレーシアのクアラルンプールに滞在しております。輸入したお茶の評価や海外用のお茶の発送など細かな手配が必要なため、クアラルンプールの会社に来月まで滞在予定です。 今年はシーズンの最初である3 …
2024年の白茶:理想的な天気と現地滞在で品質は上々
私たちが雲南省で力を入れているお茶の一つは白茶です。白茶は昔から、福建省と雲南省で作られてきました。 福建省の白茶は製茶はよく管理されている反面、慣行農園方式で肥料を用いた農業をしているため、原料の質に関して、私は満足で …
雲南のおもてなし文化:食事に込められた思い
中国では、挨拶代わりに「你吃饭了吗?」、つまり、「ご飯食べた?」と言うのが一般的ですが、雲南省にいると、色んな局面で、「吃饭」「吃饭」、ご飯食べていきなさいと言われます。ただ、長く雲南省に携わると、これらのご飯への誘いは …
野生茶を求め雲南省臨滄市南西部の山村へ
現在、雲南省臨滄市の南西部にてお茶の仕入を行っております。 当店にとって重要な商品の1つに野生茶があります。野生茶は製茶はもちろんですが、原料確保が一番大きな課題です。 今回、新たに野生茶が有る場所があるらしいと言う情報 …
雲南省のお茶産地にてプーアル茶、白茶、紅茶の生産
3月24日から中国の雲南省臨滄市の南西部、永德、鎮康県にてお茶の仕入れ、生産を行っております。 雲南省は世界一と言っても過言で無い極上の原料がある反面、生産に対する管理が甘いため、出来合のお茶を仕入れたのでは、理想とする …

PAGETOP