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中国茶で人気の安渓産鉄観音 中焙火の販売を開始
- [2018.10.24] Written By 北城 彰(Akira Hojo)
中国安渓の鉄観音の中焙を発売しました。品質と日本の農薬基準の両方を満たす商品が見つからず、これまで長年にわたり手頃な値段帯の鉄観音を販売できませんでした.。しかし、過去何回も安渓に足を運ぶことで、農薬管理を徹底している生産者と出会うことが出来、遂に発売にこぎ着けることが出来ました。今回発売するお茶は中国で非常に人気がある中焙火ですが、近将来、重焙火についても発売を予定しております。
鉄観音という名称はお茶の名前
鉄観音は非常に有名なお茶ゆえ、多くの人が一度は耳にしたことがあると思います。鉄観音とはお茶の作り方の名称ではなく、鉄観音種というお茶の品種から作られたお茶の事です。例えば、リンゴにフジ、紅玉、王林と、様々な品種があるのと同じく、お茶にもいろんな品種があり、鉄観音はその中の一つです。鉄観音の特徴は、他の品種と比べると成長速度が遅く、それゆえに、後味が強く、余韻の長いお茶です。また、鉄観音種の特徴として、半発酵に製茶することで、蘭の花のような香りがします。
武夷山、安渓、台湾と烏龍茶が伝播
安渓は厦門の北部に位置する県で、鳳凰鎮と武夷山とならぶ中国の3大烏龍茶生産地の1つです。1706年に崇安県令王梓によって書かれた「茶説」によると、「武夷山の烏龍茶の人気の高まりに伴い、安渓で武夷山の烏龍茶の製法が模倣されている」ことが記載されております。ただ、別の史実として、安渓出身者が武夷山でお茶作りに従事しており、彼らが地元である安渓に戻って、烏龍茶を作り始めた、とも考えられております。その証拠に、武夷山のお茶生産者の中には、安渓の方言である閩南語を話す人がおります。烏龍茶の製法が安渓に伝播した後、安渓では、包揉(茶葉を粒状に揉捻する方法)のようなオリジナルの加工法の開発等、安渓のお茶は独自の進化を遂げ、現在、安渓は中国国内外でも非常に人気のある烏龍茶の産地です。安渓はまた、東南アジアに展開する華僑の故郷の1つでもあり、また、台湾人の多くの故郷は安渓をはじめとする泉州や厦門です。歴史的に、安渓のお茶作りの伝統は閩南民族の移民と共に台湾へと伝播し、それが現在の台湾烏龍茶の基礎となっております。
良い鉄観音は標高の高い茶園産
他のお茶の例に漏れず、鉄観音についても標高が高いほど品質が優れたお茶が出来ます。標高というと、ダージリンや台湾の高山茶ばかりが注目されがちですが、実は、あらゆる種類のお茶に関して、標高はお茶の品質を左右する非常に重要な要素です。標高が高くなることで、余韻が長くなり、苦味が減少します。また、香りの質が良くなり、単純に香りが強く感じられます。今回紹介する、鉄観音中焙火は中国福建省泉州市安渓県の大坪村で作られたお茶です。茶園は1000m-1300mの標高に位置しております。
蘭の花の香りと香ばしさを両立した中焙火
中焙火とは、お茶のを中程度に焙煎したお茶の仕上げ方の呼称です。清香タイプの鉄観音も有名ではありますが、中国で最も人気のあるのは、中焙火のスタイルではないかと思います。中焙火の鉄観音は蘭の花のようなフローラルな香りと、香ばしさの両方を有し、万人に受けるお茶に仕上がっております。食前、食中、食後など様々なオケーションにお勧めします。
仕入れたロット毎に農薬を分析
福建省のお茶は中国国内での需要が高いため、これまで農薬に関しては使いたい放題に近い状況でした。この為、HOJOでも10年以上、鉄観音を取り扱ってきませんでした。ただし、近年、中国でも輸出を意識し、EUや日本向けの農薬基準適合したお茶を作る農家が散見されるようになりました。私が仕入れをしている農家では、日本政府が発行した、農薬のガイドラインに基づき、農薬の管理を行っており、また、確認の為、当該ロットについてはドイツ系のSGSという検査機関で分析をすることで、日本の農薬基準に合致していることを確認した上で仕入れを行いました。
鉄観音の美味しいいれ方
鉄観音にはいろいろな淹れ方がありますが、2つの方法を紹介します。
まず、方法を問わず必ずやっていただきたいのが、急須(蓋碗)に沸騰している湯を注ぎ入れ、10秒間予熱してください。
200-400mlの大型の急須を用いる場合
茶葉を急須にいれたら、1度熱湯を注ぎ入れ(この時は100ml程度でOK)10秒間静置して茶葉を予熱後、湯を捨ててください。茶葉を加熱することで、香りの質を高めることが出来ます。1煎目は熱湯を注ぎ入れ、2分ほど蒸らします。2煎目以降は、熱湯を注ぎ入れたら数秒内で注ぎだしてください。
工夫式の淹れ方
100-200mlの小型の茶器に、5g程度の茶葉をいれます。工夫式の場合、茶葉の余熱(洗茶)を2回行います。余熱が完了した茶器に、茶葉を投入し、沸騰水を注ぎ入れ10秒間余熱します。更に、もう一度、沸騰水を注ぎ入れ5秒間予熱します。そして、1煎目は熱湯を注ぎ入れ、10秒間蒸らします。薄めが好みの場合、5秒でも可です。2煎目以降は、湯を注ぎ入れたら数秒内で注ぎだしてください。短すぎると思われがちですが、2煎目以降は熱湯を通すだけで意外にしっかりと味香りがあります。
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