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お茶が苦いのはなぜか?
- [2016.09.12] Written By 北城 彰(Akira Hojo)
お茶の苦味を示す物質は何でしょうか?この答えを求めてネットや書籍を調べると、偶にカテキンをはじめとするポリフェノールが苦味を呈するという説明を目にすることがあります。しかし、私の経験上、ポリフェノールが多く含まれるお茶は苦味が少なく、逆にポリフェノールが少ないお茶のほうが苦味を呈します。私はお茶の苦味はカフェインと考えております。
高級茶(高品質なお茶)になるほど苦味が少ない
お茶、特に高級茶を扱っていると、質が上がれば上がるほど苦味が弱くなる点に気がつきます。烏龍茶の産地である、安渓、鳳凰山、台湾などでは顕著でお茶をテイスティングすると、良いお茶は苦味が殆ど無く、逆に、汎用のお茶は上手にいれないと苦く感じられます。プーアル茶についても同じで、質が高くなるほど苦味が感じられません。緑茶、プーアル茶、烏龍茶、紅茶などのお茶の種類に関係無く良いお茶は苦味が少ないのです。
窒素肥料を与えると苦味が増す
自然栽培茶は一般のお茶と比べて苦味が少ないですが、お茶の成分を比較分析すると、窒素肥料が使われてない茶園産のお茶にはポリフェノールが多く含まれ、逆に、窒素肥料の施肥量が増えるとお茶に含まれるポリフェノールの量は減りアミノ酸量が増します。窒素肥料を与えることでアミノ酸が増加するのは、余剰に吸収した窒素をアミノ酸(窒素化合物)の形で一時的に蓄積しているためと推察しております。実はカフェインもC8H10N4O2の化学式で表されるとおり、分子内に窒素(N)を含有します。窒素肥料を与えたお茶は、無肥料の茶園産のお茶と比べ苦味が強いため、窒素を多く与えるとカフェインも増加すると推察されます。
窒素肥料の有無とお茶の成分と味の関係
以上をまとめると以下のような関係になります。
ポリフェノールは苦味の本体ではない
窒素肥料無施肥のお茶はポリフェノール含量が多いにもかかわらず、苦味が弱いという事実から、ポリフェノールは苦味の本体ではないと言えます。
私は純粋なカフェインの標準サンプルを入手し、舐めてみたことがありますが、カフェインは非常に強い苦味を呈します。カフェインは窒素化合物である点、カフェイン自体が非常に苦い物質である点を考慮すると、お茶の苦味の本体はカフェインと考えてほぼ間違いないと思います。また、カフェインは窒素肥料の施肥量が増すことで増加することから、カフェインがより少ないお茶を求めようと思ったら肥料の施肥量が少ないお茶を探す必要があります。窒素肥料と、お茶の余韻は反比例関係にあるため、つまり、苦いお茶=余韻が弱く、余韻の強いお茶は苦味が少ないと言う関係になります。高品質なお茶を飲むと眠気が覚めるどころか、むしろ眠くなると言われており、実際、私もそう感じております。睡眠障害にならないのはカフェインが少ないという事実ゆえなんだと思います。
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