緑茶は無農薬なら良いお茶なの?おいしい緑茶のポイントを徹底解説!

[2019.05.17] Written By
緑茶(日本茶)無農薬・有機栽培茶園
大量の虫が舞っている無農薬により生態系に優しいお茶作りが行われている茶園

無農薬や有機栽培だけが、おいしい緑茶のポイントなのでしょうか?

実は誤解の多い有機栽培について解説します。また、おいしい緑茶を作る条件についても紹介するので、緑茶選びの参考にしてください。

緑茶は無農薬が良いって本当?有機栽培の誤解

無農薬で有機栽培の緑茶には「おいしい」「体に良い」といったイメージがあります。しかし、それは本当でしょうか?農薬を使わないという点で、無農薬・有機栽培の緑茶は安心ですが、それが必ずしも味や成分に良い影響を与えるとは限らないのです。

無農薬や有機栽培について、多くの人が誤解しているポイントを解説します。

「有機栽培だからおいしい」わけではない

緑茶は有機栽培だからおいしくなる、というわけではありません。むしろ、多くの有機栽培緑茶は、通常の栽培方法で作られた緑茶と、おいしさの点でそれほど大きな違いはみられません。

その理由は、肥料にあります。有機栽培では化学肥料の窒素を与えることはありませんが、動植物由来の有機質の窒素肥料を与えることがほとんどです。

窒素は植物を大きく育てるための肥料です。お茶畑に窒素肥料を入れると、植物の細胞が大きくなり、茶葉はどんどん成長します。有機肥料か化学肥料かということは関係なく、窒素が与えられるとお茶の木の成長は促進されます。

大きく成長するのは良いことのように思うかもしれません。しかし、細胞自体が大きくなると、その細胞は脆く壊れやすい状態になります。その結果、肥大化した細胞からできた茶葉は、味が薄く、水っぽくてコクがありません。

有機栽培だからおいしいとは必ずしもいえないのは、このような理由があるからです。

「有機栽培だから体に良い」わけではない

緑茶の成分に注目が集まっています。緑茶に豊富に含まれているカテキンなどのポリフェノールが、抗酸化作用といった体に良い働きをすることが分かってきたからです。

緑茶のポリフェノールは、アミノ酸の一種であるテアニンから作られます。テアニンは茶葉が成長する過程で日光を浴びることで分解されポリフェノールへと生合成されます。しかし、有機肥料であっても窒素を与えられてしまうと、茶葉は自身の成長のため細胞壁の合成などに忙しく、テアニンのようなアミノ酸は豊富に合成できるものの、その次段階であるポリフェノールを作ることができません。

ポリフェノールが少ないお茶と言うことは、つまり、健康への影響もあまり期待ができないことになります。有機栽培の緑茶だから体に良いと、必ずしもいえない理由は、ここにあります。

無農薬の緑茶がおいしくなる条件

「有機栽培の緑茶だからおいしい」わけではないのは事実です。だからといって、無農薬の緑茶が全ておいしくないわけではありません。条件を満たせば、無農薬のおいしい緑茶ができます。

では、おいしい無農薬緑茶の条件には、どのようなものがあるのでしょうか?

おいしい緑茶には育つ時間が必要

おいしい無農薬緑茶を作るには、じっくり時間をかけて育てることが大切です。時間をかけることで茶葉内にたっぷり含まれるミネラルが、のど越しや味の厚みを増し、おいしさのもとになります。

窒素肥料を与えると、有機肥料でも化学肥料でも、お茶の木はあっという間に成長します。しかし、それでは、含む成分はそのままに、サイズが大きくなっただけです。

味わい深くコクの感じられる緑茶にするには、細胞のサイズではなく密度が重要になります。細胞がぎゅっと詰まっている茶葉は、ポリフェノールとミネラルも高密度になり、それが深い味わいにつながるのです。

そのためには、窒素肥料で大きく育てるのではなく、じっくり時間をかけて茶葉を成長させることが必要となります。

また、時間をかけて成長させることを繰り返し、何年も生きたお茶の木は、地面にしっかり根を張ります。根を張るということは、根の表面積が増えるため、若い木よりも多くのミネラルを吸収できるということです。

そのため、緑茶は時間をかけて育つほど、おいしく成長します。

おいしい緑茶が育つのは自然のままの環境

おいしい無農薬緑茶を作るには、山野草のような自然な形でお茶の木を成長させることも大切です。厳しい環境下で育ったからこその香りや奥ゆきのあるおいしさが感じられる緑茶になります。

無農薬も有機栽培もとても良い取り組みではありますが、それだけでは、おいしい緑茶作りの条件を満たしません。環境にも配慮し、できるだけ自然に育てることで、お茶本来の味わいが出てくるのです。

おいしい緑茶にする仕上げも大切

おいしく育ったお茶をおいしい緑茶にするには、仕上げも大切です。そのため、HOJOではあえて茎を取り除かずに仕上げている商品もあります。

日本茶では、緑茶は茎を取り除いて仕上げるのが一般的です。その理由は見た目を重視しているから。緑色一色の緑茶の茶葉は、確かにきれいです。しかし、茎を含まない分シャープな香りになります。

茎はミネラルが豊富でとても甘く、緑茶の味と香りにふくよかさをプラスしてくれます。優しく花のように香る緑茶に仕上げるなら、茎はあえて入れたままにするのが良いでしょう。

おすすめの無農薬&窒素肥不使用の緑茶『月ヶ瀬在来煎茶』

おいしくなる条件を満たした無農薬の緑茶があります。『月ヶ瀬在来煎茶』です。

お茶の実から数百年の時間をかけて成長した茶樹は、春日の土壌からミネラルをたっぷり吸収し、育ちます。農家の肥料への工夫も見事です。

全ての条件が整うことで、自信を持っておすすめできる無農薬の緑茶ができました。

樹齢数百年のお茶の木からできる極上茶

『春日在来煎茶』は、安土桃山時代からある樹齢数百年の茶樹から作られます。

岐阜県の春日は、当時、文化の中心地に非常に近い土地でした。お茶文化が花開く時代に合わせ、多くの茶園が開発された歴史がある場所なのでしょう。今でも、数百年前からあるお茶の木が、そこここの茶園にあるのです。

長い年月をかけて成長したお茶の木は、地中深くまで根を張っています。春日の土壌に含まれるミネラルを、若い茶樹より多く吸収し、より厚みのある味わいの緑茶になるのです。

在来種が混在する茶園は高級中国茶産地とそっくり

春日に残るお茶の老木は、在来種といいます。簡単に説明すると、中国から伝わったお茶がそのまま残っているもののことです。

今でこそ、お茶は「やぶきた」「さえみどり」「くりたわせ」など、品種ごとに分けて育てられていますが、それもお茶の歴史から考えるとごく最近のことです。春日に茶園が作られ始めた頃は、品種などなく、さまざまなお茶が複雑に交配していました。

そのため、同じ茶園内にある在来種でも、茶樹によって葉の形や大きさが全く違うのです。もちろん、緑茶にしたときの味や香りも違います。

こうした茶園の状態は、中国の高級茶産地の特徴とよく似ています。

また、在来種は烏龍茶のように花のような香りが感じられるのも特徴です。そのため『春日在来煎茶』は、かすかに花のような香りがする緑茶に仕上がっています。

茶園単位で買い取るからおいしい!

『春日在来煎茶』をおいしい緑茶に仕上げるため、HOJOでは茶園単位で買い取りしています。

春日のお茶の老木は、おいしく質の良い緑茶ができるのですが、混ぜ合わせることで個々の良さが消えてしまう難しさがあるからです。

高品質のお茶を、おいしいままに届けたいという思いから、試飲して規準に合う緑茶かどうかチェックしています。その上で、茶園にあるお茶を全て買い取り、毎年同じ品質になるよう調整しているのです。

おいしい緑茶を作るのは、環境・時間・仕上げ

「有機栽培だからおいしい」「無農薬だから体に良い」ということは必ずしもいえません。緑茶のおいしさは、お茶の木が育つ環境と、育つまでの時間と、おいしさを引き立てるための仕上げによって決まるからです。

有機栽培や無農薬も大切ですが、プラスして、こうした条件があることも知って緑茶を選びましょう。

HOJOではこれらの条件を満たすおすすめの無農薬緑茶を紹介しています。おいしい無農薬の緑茶を飲みたいなら、ぜひチェックしましょう。

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