今では入手が非常に困難な常滑の天然朱泥茶器

[2012.08.12] Written By

IMG_0225.jpg

今では貴重となった常滑の本朱泥

これまで味を追求した茶器として清水謙氏と渡辺陶三氏による野坂シリーズを販売してきました。
私はこれらの性能には正直大変満足しております。ただ同時に、興味から常滑の土も取り扱いたいと思っておりました。
常滑の土で私が注目していたのは、本朱泥と言われる常滑の田土です。しかし常滑の場合、開発が進み、今では田んぼから採れる本朱泥はブレンドなしの状態では極めて入手困難な土となっております。

本朱泥を評価

また、同じ常滑本朱泥でも、採取する場所によってミネラル組成が異なるため、性能には雲泥の差があります。
実は昨年、作家の前川淳蔵氏と共に他県の土の調査を行っていたところ、思いがけず常滑の土に出会いました。
昔常滑で採取された土が、50年に渡り保存されていたのです。早速、性能をテストしたところ非常に強い喉越しが確認出来ました。
一般に新し産地で味を良くする土を探索・開発するときは、共に仕事をする作家さんに焼いたサンプルピースを作って貰い、それに基づいて味の評価を行います。
IMG_0243.jpg
私は以下の手順で評価を進めます。
土の種類決め→土の粒子径と味の関係の評価→焼成温度と味の関係→還元による評価
今回、入手した土は、酸化焼成の作品については、僅かですが舌にざらつきが感じられました。
このざらつきは鉄以外の特定のミネラルの存在により生じます。
渋味が余りに強い場合は、その時点で土をあきらめるのですが、比較的弱めのざらつきだったため、還元処理をする事でざらつきが軽減されると思いました。
一般に、酸化焼成の方がざらつきが生じやすく、同じ土でも還元することでざらつき感は収まります。
案の定、還元焼成の茶器はざらつきをおさえることが出来ました。
野坂シリーズと比べる喉越しは僅かに弱いように感じますが、それでも論理的科学的アプローチで見つけ出した土だけのことはあり、相当に高い性能です。お茶がとろりと円やかになります。
この茶器は少し低めの値段帯で販売できそうなので、値段と性能のバランスが非常に良くお薦めです。

IMG_0223.jpg
IMG_0229.jpg
IMG_0230.jpg
IMG_0232.jpg

日本茶(緑茶)、中国紅茶、白茶、プーアル熟茶、プーアル生茶、ジャスミン茶、烏龍茶という厳選された茶葉7種のお試しセット

関連記事 RELATED ARTICLES

お茶に関する最新情報を確実にキャッチするには? SOCIAL NETWORK

1,Twitterをフォローする。2,FaceBookで「いいね!」を押す。3,メールマガジンに登録する。という3つの方法で、お茶に関する最新情報をキャッチすることができます。今すぐ下のツイッターフォローボタンや「いいね!」をクリック!

メールマガジン登録で無料サンプルをもらおう!
メールマガジンにご登録いただくと無料のサンプル茶葉のプレゼントや希少商品の先行購入など様々な特典がございます。ソーシャルメディアの購読だけでなく、メールマガジンへのご登録もお忘れなく!

HOJO TEAオンラインショップNEWS一覧を見る

東洞庭山産、無農薬無肥料の碧螺春を発売
碧螺春(Biluochun)は中国を代表する緑茶の一つで、その優れた品質と独特の風味で有名です。HOJOでは、無肥料無農薬栽培による、余韻の長い碧螺春をお届けします。 https://hojotea.com/item/g …
マレーシアで8年熟成の白鶯山古樹白茶2017を発売:トロピカルフルーツの香り
白鶯山古樹白茶2017を再度発売しました。同じ名称の商品をこれまでも販売しておりましたが、以前販売していたロットの商品は日本で熟成したお茶でした。今回発売する商品は8年間マレーシアで熟成をしたお茶になります。マレーシアの …

最新の記事 NEW ARTICLES

単株茶を含む2022年産の鳳凰単叢老欉を3種類発売
単株を含む、鳳凰単叢の老欉を3種発売しました。今回発売したお茶は以下の三種類です。何れも標高1200mの茶園産の茶葉原料から作られており、濃厚な香りと深い後味がする素晴らしいお茶です。 鳳凰単叢老欉夜来香 2022 鳳凰 …
東洞庭山産、無農薬無肥料の碧螺春を発売
碧螺春(Biluochun)は中国を代表する緑茶の一つで、その優れた品質と独特の風味で有名です。HOJOでは、無肥料無農薬栽培による、余韻の長い碧螺春をお届けします。 https://hojotea.com/item/g …
マレーシアで8年熟成の白鶯山古樹白茶2017を発売:トロピカルフルーツの香り
白鶯山古樹白茶2017を再度発売しました。同じ名称の商品をこれまでも販売しておりましたが、以前販売していたロットの商品は日本で熟成したお茶でした。今回発売する商品は8年間マレーシアで熟成をしたお茶になります。マレーシアの …
雲南省の稀少茶、大雪山野生白茶2024を発売
大雪山野生白茶2024の散茶を発売しました。 このお茶は、私達が実際に現地雲南省の産地に滞在し、現地で生産管理しながら作り上げたお茶です。 雲南省における野生茶の定義 これまで何度も説明しておりますが、雲南省 の人々は例 …
HOJO独自の新製法で実現した香り高い紅茶:雲南での挑戦
雲南省に1.5ヶ月滞在した期間中、良質な白茶やプーアル茶の生産はもちろん重要な課題でしたが、今回の大きな目標は、小ロット生産にも対応した新しい紅茶の生産方法を開発することでした。 一般的に雲南紅茶といえば、当店のラインア …
2024年の雲南省お茶シーズン:予想外の気温と収穫の混乱
長い雲南省の仕入れを終え、現在マレーシアのクアラルンプールに滞在しております。輸入したお茶の評価や海外用のお茶の発送など細かな手配が必要なため、クアラルンプールの会社に来月まで滞在予定です。 今年はシーズンの最初である3 …
2024年の白茶:理想的な天気と現地滞在で品質は上々
私たちが雲南省で力を入れているお茶の一つは白茶です。白茶は昔から、福建省と雲南省で作られてきました。 福建省の白茶は製茶はよく管理されている反面、慣行農園方式で肥料を用いた農業をしているため、原料の質に関して、私は満足で …
雲南のおもてなし文化:食事に込められた思い
中国では、挨拶代わりに「你吃饭了吗?」、つまり、「ご飯食べた?」と言うのが一般的ですが、雲南省にいると、色んな局面で、「吃饭」「吃饭」、ご飯食べていきなさいと言われます。ただ、長く雲南省に携わると、これらのご飯への誘いは …
野生茶を求め雲南省臨滄市南西部の山村へ
現在、雲南省臨滄市の南西部にてお茶の仕入を行っております。 当店にとって重要な商品の1つに野生茶があります。野生茶は製茶はもちろんですが、原料確保が一番大きな課題です。 今回、新たに野生茶が有る場所があるらしいと言う情報 …
雲南省のお茶産地にてプーアル茶、白茶、紅茶の生産
3月24日から中国の雲南省臨滄市の南西部、永德、鎮康県にてお茶の仕入れ、生産を行っております。 雲南省は世界一と言っても過言で無い極上の原料がある反面、生産に対する管理が甘いため、出来合のお茶を仕入れたのでは、理想とする …

PAGETOP