上手に発酵された紅茶と、発酵に失敗した紅茶とでは香りの違いには雲泥の差があります。発酵がうまく制御できている紅茶は甘い香りがするのに対し、発酵がうまく制御できなかった紅茶は酸っぱいような、蒸れたような香りがします。

発酵の状態は茶葉の色に表れる

発酵の優劣は、お茶の水色にも表れます。発酵がうまくいったお茶は黄色、逆に、発酵がうまくいかなかったお茶は茶色をしております。色が違うのは水色だけでなく、お茶をいれた後の茶葉の色も発酵の制御の優劣が反映されます。じつは、発酵が上手に制御できているお茶と、そうでないお茶とでは、含まれる成分にも雲泥の差があります。

ゴールデンリングの正体はテアフラビン

紅茶の成分はタンニンと言われますが、タンニンという言葉は余り意味がないため無視した方が賢明です。と言うのも、タンニンとは植物成分が酸化して複雑に結合してできた物質の総称であり、タンニンという物質があるわけではないため混乱の元です。
上手に作られた紅茶にはテアフラビンという物質が豊富に含まれます。テアフラビンには複数の種類があります。テアフラビンは茶葉に含まれる酸化酵素の働きでフラボノイド(ポリフェノール)が2つ、または3つ合体(重合)して形成されます。この物質は明るい黄色をしております。質の良い紅茶をいれると、カップの縁にはゴールデンリングができますが、このゴールデンリングこそがテアフラビンの正体です。

テアルビジンは紅茶における失敗の象徴

テアフラビンはカテキンなどのフラボノイドが2−3重合(結合)してできた物質ですが、酸化が進みすぎたばあい、テアフラビン同士が結合し、その結果、特定の分子構造を持たない巨大な物質が形成されます。これは業界ではテアルビジンと呼ばれております。分かりやすく言うと、酸化発酵により生じるテアフラビン以外の褐色の物質はなにもかも、全てテアルビジンと呼ばれます。つまり、テアルビジンとは特定の物質を指す名称ではありません。このテアルビジンは茶色を呈する物質で、不特定の物質からなる混合体の「総称」です。テアルビジンが生成されると、香りは酸臭を伴い、蒸れたような不快な香りがします。

良い紅茶とは、発酵が途中で止まっている状態

質の良い紅茶に含まれるテアフラビンは、ポリフェノール(カテキン)→ テアフラビン → テアルビジン(タンニン)と生成していく過程の中間的な物質ゆえ、ちょっと制御を間違えると「行き過ぎ」てしまいます。じつは紅茶作りというのは非常に難しく、テアフラビンのみを優先的に作るためには、発酵に関係する萎凋、揉捻、発酵、乾燥を芸術的なレベルで制御する必要があります。

茶葉の色による発酵の優劣
上記の理論はお茶の茶殻の色に反映されます。紅茶の茶殻の色を観察することで、そのお茶が上手に発酵しているかどうかは一瞬で見極める事が出来ます。酸臭を伴ったり、蒸れ臭を伴う紅茶の場合、茶殻を見るとたいてい黒褐色をしております。

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