伊賀天然朱泥茶器の開発の進捗

[2015.07.08] Written By


これまで伊賀の朱泥を使った茶器の開発を行ってきました。7月までに発売する予定で計画を進めてきたのですが、技術的な問題に直面したことから発売予定が遅れております。

急須を試作したところ問題に直面

既に土の選定が終わっており、精製方法を試行錯誤することで、味に関しても調整が終わっておりました。ところが、実際に急須の試作を行ったところ、ある問題に直面しました。

お茶をいれて放置しておいたところ急須の下半分が湿った。

お茶をいれて静置しておくと、急須の表面が徐々に湿り、僅かにお茶が浸み出てくる問題に直面しました。宜興の茶壺でもお茶が浸潤する茶器はあり、お茶マニアによってはこれらの現象を逆に良しとする人もおりますが、私としては、出来れば、もっと焼きしめることで湯が染み出してくる問題を解決したいと思っております。伊賀の朱泥の場合、もともと琵琶湖の底に堆積した朱泥そうゆえに、砂質の粗土が含まれており、耐火温度が高いために1150℃前後の温度で焼いただけでは、焼シメが足らないようです。その後、温度条件を変えるなど、何度か試作を行ったのですが、まだ、完全に問題が解決できておりません。

伊賀朱泥

左手前の怪しげな2つのカップは私が実験用に作ったもの

この対策としては以下の方法を検討中です。

1.焼成温度を上げる・焼成時間を延長する

この方法は一番手っ取り早い方法ですが、焼成温度が上がれば上がるほど、より多くの粒子が融点に達し、溶ける訳なので、陶器の多孔性はやや低下しますします。ポテンシャルが高い土ゆえ、正直多少多孔性が低下しても性能の点ではあまり問題ないのですが、私が懸念しているのは焼成温度を上げた場合、色がえんじ色になってしまうことです。更に、焼成温度を上げると、萬古焼のような小豆色に近い色合いへと変化します。折角の朱泥なので、私としては出来るだけ、朱色に仕上げたいというのが本音です。

2.酸化焼成をあきらめて還元焼成で仕上げる

還元焼成の場合、酸化よりも焼きしまります。また、還元にすることで、朱色を気にすることなく温度を上げられるため、温度を自由に調整することが可能です。実際の仕上がりは黒または小豆色になると思われます。

3.精製方法を検討する

より粒子を細かくするべく、異なる精製方法を検討するのも一案です。ただし、これには実験に時間がかかる事、また、精製を重ねるということは非常にコストもかかります。

今後、上記3つの案をより精査し、良い方法を見いだしたいと思っております。天然の土というのは、非常に扱い難い面もありますが、反面性能は突出しております。出来るだけ早く発売にこぎ着けたいと思います。伊賀朱泥の茶器の発売を心待ちにされているお客様には申し訳ありませんが、もう暫く時間をいただけますでしょうか。

日本茶(緑茶)、中国紅茶、白茶、プーアル熟茶、プーアル生茶、ジャスミン茶、烏龍茶という厳選された茶葉7種のお試しセット

関連記事 RELATED ARTICLES

お茶に関する最新情報を確実にキャッチするには? SOCIAL NETWORK

1,Twitterをフォローする。2,FaceBookで「いいね!」を押す。3,メールマガジンに登録する。という3つの方法で、お茶に関する最新情報をキャッチすることができます。今すぐ下のツイッターフォローボタンや「いいね!」をクリック!

メールマガジン登録で無料サンプルをもらおう!
メールマガジンにご登録いただくと無料のサンプル茶葉のプレゼントや希少商品の先行購入など様々な特典がございます。ソーシャルメディアの購読だけでなく、メールマガジンへのご登録もお忘れなく!

HOJO TEAオンラインショップNEWS一覧を見る

東洞庭山産、無農薬無肥料の碧螺春を発売
碧螺春(Biluochun)は中国を代表する緑茶の一つで、その優れた品質と独特の風味で有名です。HOJOでは、無肥料無農薬栽培による、余韻の長い碧螺春をお届けします。 https://hojotea.com/item/g …
マレーシアで8年熟成の白鶯山古樹白茶2017を発売:トロピカルフルーツの香り
白鶯山古樹白茶2017を再度発売しました。同じ名称の商品をこれまでも販売しておりましたが、以前販売していたロットの商品は日本で熟成したお茶でした。今回発売する商品は8年間マレーシアで熟成をしたお茶になります。マレーシアの …

最新の記事 NEW ARTICLES

単株茶を含む2022年産の鳳凰単叢老欉を3種類発売
単株を含む、鳳凰単叢の老欉を3種発売しました。今回発売したお茶は以下の三種類です。何れも標高1200mの茶園産の茶葉原料から作られており、濃厚な香りと深い後味がする素晴らしいお茶です。 鳳凰単叢老欉夜来香 2022 鳳凰 …
東洞庭山産、無農薬無肥料の碧螺春を発売
碧螺春(Biluochun)は中国を代表する緑茶の一つで、その優れた品質と独特の風味で有名です。HOJOでは、無肥料無農薬栽培による、余韻の長い碧螺春をお届けします。 https://hojotea.com/item/g …
マレーシアで8年熟成の白鶯山古樹白茶2017を発売:トロピカルフルーツの香り
白鶯山古樹白茶2017を再度発売しました。同じ名称の商品をこれまでも販売しておりましたが、以前販売していたロットの商品は日本で熟成したお茶でした。今回発売する商品は8年間マレーシアで熟成をしたお茶になります。マレーシアの …
雲南省の稀少茶、大雪山野生白茶2024を発売
大雪山野生白茶2024の散茶を発売しました。 このお茶は、私達が実際に現地雲南省の産地に滞在し、現地で生産管理しながら作り上げたお茶です。 雲南省における野生茶の定義 これまで何度も説明しておりますが、雲南省 の人々は例 …
HOJO独自の新製法で実現した香り高い紅茶:雲南での挑戦
雲南省に1.5ヶ月滞在した期間中、良質な白茶やプーアル茶の生産はもちろん重要な課題でしたが、今回の大きな目標は、小ロット生産にも対応した新しい紅茶の生産方法を開発することでした。 一般的に雲南紅茶といえば、当店のラインア …
2024年の雲南省お茶シーズン:予想外の気温と収穫の混乱
長い雲南省の仕入れを終え、現在マレーシアのクアラルンプールに滞在しております。輸入したお茶の評価や海外用のお茶の発送など細かな手配が必要なため、クアラルンプールの会社に来月まで滞在予定です。 今年はシーズンの最初である3 …
2024年の白茶:理想的な天気と現地滞在で品質は上々
私たちが雲南省で力を入れているお茶の一つは白茶です。白茶は昔から、福建省と雲南省で作られてきました。 福建省の白茶は製茶はよく管理されている反面、慣行農園方式で肥料を用いた農業をしているため、原料の質に関して、私は満足で …
雲南のおもてなし文化:食事に込められた思い
中国では、挨拶代わりに「你吃饭了吗?」、つまり、「ご飯食べた?」と言うのが一般的ですが、雲南省にいると、色んな局面で、「吃饭」「吃饭」、ご飯食べていきなさいと言われます。ただ、長く雲南省に携わると、これらのご飯への誘いは …
野生茶を求め雲南省臨滄市南西部の山村へ
現在、雲南省臨滄市の南西部にてお茶の仕入を行っております。 当店にとって重要な商品の1つに野生茶があります。野生茶は製茶はもちろんですが、原料確保が一番大きな課題です。 今回、新たに野生茶が有る場所があるらしいと言う情報 …
雲南省のお茶産地にてプーアル茶、白茶、紅茶の生産
3月24日から中国の雲南省臨滄市の南西部、永德、鎮康県にてお茶の仕入れ、生産を行っております。 雲南省は世界一と言っても過言で無い極上の原料がある反面、生産に対する管理が甘いため、出来合のお茶を仕入れたのでは、理想とする …

PAGETOP