金螺は広西で作られる紅茶の中でも、特に面白いお茶です。

金螺はどれだけ長い時間淹れても全く渋味を呈しません。この為、胃が弱い方でも安心して飲んで頂けます。
このお茶は、条件が合うと、乾燥棗（デイツ）のような、干しぶどうのような乾燥フルーツ系の香り、或いは、ローズのような甘い香りがします。

条件とは何かというと、第一に使用する水です。水によっては、この乾燥フルーツ系の香りが強く出たり、花の香りが強く出たりします。このお茶は使用する水によって香りの質が大きく変わる特徴があります。

もう一つの条件は、熟成です。真空パックの状態で、夏を挟んで熟成することで香がより強くなります。未開封の状態で、常温にて1−2年置くことで非常に強い香りへと変化します。
（開封した状態で長期間熟成させた場合、酸化臭が生じます。この場合、オーブンで100℃以下の低い温度で長目に加熱することで再生をすることが出来ます。）

但し、新鮮な状態で飲んでも十分強い香りがして楽しむことが出来ますのでご安心ください。
値段と品質とのバランスがよく、とてもお薦めのお茶です。

金螺は金芽・広西紅茶と並び広西を代表する３代紅茶の１つです。
非常に優等生の金芽、コストパフォーマンスの高い広西紅茶に対し、極めて香りが個性的なのが金螺です。
金螺の香りの秘密は、鳳凰単叢烏龍やキームン紅茶と同じ、ベイキング技術が関係しております。
金芽や広西紅茶と同じように発酵させた茶葉を、低温で長時間火を入れる事で独特の香りが形成されます。

但し、金螺は100社近い生産会社が作っており、品質はかなりピンキリです。勿論、金螺と言う名称だけで選ぶのは意味がありません。

HOJOでは、春一番摘みのお茶のみを仕入れております。このお茶は年間を通じて作られるため、どの季節に摘まれたお茶かによって味も香りもが大きく変わります
５月以降に摘まれた茶葉は、サイズも大きく、黒い部分が多くなり、カタツムリ状の渦巻きのサイズも大きくなります。
遅い時期に摘まれたお茶は、水分が少ない為に発酵が上手く制御できません。この為、蒸れ臭などを消すために概して火が強く入れられており、花のようなフルーツのような香りがしません。
また、茶園の土質も味に大きく影響をします。亜鉛が多い土などは春一番に摘まれたお茶でも、渋味が出ます。

 

金螺は中国広西壮族自治区で生産される大変いお茶です。このお茶は広西壮族自治区で発見された凌雲白毫 (Ling-Yun Bai-hao)という品種から作られます。この品種は広西壮族自治区産の茶品種の中で最初に国家級の優良品種として認められた品種であり、清の時代より緑茶の生産に用いられておりました。その緑茶は1950年代にはモロッコを初めとする海外マーケットに輸出されました。モロッコ国王ハッサン2世が中国を訪問した際、贈り物として送られたのも本緑茶だったと言われております。国王はこの贈り物を大切に保管し、大切なお客さんにのみ振舞ったと言われております。

写真左は凌雲白豪種の茶葉。右の写真の右側にある茶葉が凌雲白豪種、左は一般的な在来種。凌雲白豪種は茶葉がシワシワでまるでシソ科の植物の葉のようです。

 

凌雲白毫はその後、紅茶に用いることで、優雅な香りと、飲み心地よい口当たりの両立ができることが見いだされ、広西壮族自治区地方では積極的に紅茶生産が行われるようになりました。

 

金色の部分はお茶の芽を大覆っている産毛の部分です。毛にお茶の成分が付着し発酵することでテアフラビンが形成されて黄色になるために金色に見えます。毛を除去すると、中の茶葉自体は茶色（黒）色をしております。カップの縁には明確なゴールデンリングが形成されます。ゴールデンリングとは、紅茶の成分の一つ、テアフラビンという名の黄色の色素が多く含まれていることを示しており、この色素は紅茶の芳醇なボディの主要成分であることから、ゴールデンリングの形成は良質な紅茶の代名詞として使われます。

金螺の収穫は春と秋に行われます。お茶の性質は春と秋とでは全く異なります。雨量が極めて減少する晩秋と春、環境中の空気が極めて乾燥し、茶葉は呼吸活動が低下するため、成分が蓄積され花のような甘い香りを放ちます。HOJOでは春摘みのお茶のみを仕入れております。

美味しい飲み方

使用する水

 

身近な水と言うことで、水道水をお薦めいたします。水道水を使用される場合は、消毒用の塩素を取り除くため3～5分沸騰させてください。但し、例え沸騰しても塩素を完全に除去することは出来ません。可能な限り、活性炭フィルター付きの浄水器を用い、水中の塩素を除去してください。そうしないと、お茶の香り成分と塩素が共に反応し合い、本来の香りが楽しめません。また、塩素は微生物を殺菌するためにいれられております。殺すのは健康に害のある微生物だけでなく、私達の腸にすむ善玉菌も同様に殺菌してしまいます。また、細胞レベルでも様々な害が報告されており、アレルギーの原因にも成り得ます。

蒸留水や逆浸透膜水の場合、ミネラルを全く含まないために、お茶の味がフラットになりがちです。出来るだけ水道水等、ミネラル水をご使用ください。

尚、ヤカンに付着した水垢（スケール）は決して除去しないでください。クエン酸洗浄などを行うことで、従来のお茶の味が得られなくなってしまいます。


一端使用される水の種類を決められたら、今後、水の種類を変えないように同じ種類の水を使用し続けてください。水の種類が変わった場合、スケールからミネラルが大量に溶出し、暫く使っていると、お茶の味が劇的にまずくなります。同じ水を使用し続けることが、お茶を美味しくいれるための秘訣です。

 

 

茶葉の量

通常、40mlの湯に対し1gの茶葉を用います。つまり、200ｍｌの湯が入る急須の場合、200÷40＝5gとなります。同様に300mlの場合8gの茶葉を用いてください。玉露の場合、濃い目に入れることで、青のりのような旨味を楽しみますが、実際は、やや薄めにいれた方が癖が無く、毎日飲み続けても飽きません。その場合、茶葉と湯の比率を1対50にしてください。