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雲南省でプーアル茶の仕入れを行っていると意図せず面白い紅茶に出会うことがあります。雲南蜜香紅茶とであったのも高山帯にてプーアル茶の探索を行っている過程でした。このお茶を始めて飲んだとき、甘い香りに感激しました。蜜香とはダージリンセカンドフラッシュのマスカテルフレーバーと呼ばれる香りと全く同じなのですが、コクの深さ、味のやわらかさが、夏摘みであるダージリンとは比にならないレベルでした。雲南省の紅茶の場合、発酵の制御に失敗して発酵が進みすぎている紅茶が過半数を占めますが、驚くべき事にこのお茶は極めて高い製茶技術により作られておりとても澄んだ甘い香りがするお茶でした。「誰が作ったんですか?」という問いに、少数民族のおじさんが「私です」と言ってはにかみ笑いしておりました。まさにダイヤモンドの原石を見つけ出した気分でこのお茶を仕入れました。
完全無農薬・無肥料はもちろん、お茶の木の周りに生えている雑草も除去しない、放置型の自然栽培が行われている村の場合、茶の木の周りには沢山の昆虫が生息しており、この中にはお茶の新芽を好むウンカも見られます。ウンカに汁を吸われたお茶の葉は、人間で言う抗体のような物質を作り出します。
この物質はファイトアレキシンと呼ばれ、発酵工程を経ることで酸化され、まるでマスカットのような甘い香りを生み出します。因みに、蜜香ですが、数ヶ月から1年間お茶を熟成させると蜜香がより強く感じられるようになります。
蜜香についてですが、実はお茶が摘まれる時期が夏に近づくほどに蜜香は強くなります。これは、ウンカの発生と関係しており、季節が進むほどより多くの虫が発生するためです。 事実、ダージリンセカンドフラッシュも東方美人も収穫は6月に行われます。ただ、お茶の品質は早いほど良く、季節が進むほどに落ちてゆきます。夏に摘まれた山菜はえぐみがあり、美味しく無いですが、全く同じ事がお茶にも言えます。
以下のグラフは、品質と蜜香の強度の関係を表しております。尚、このグラフは関係を理解して頂くために、私経験則に基づき適当に作成した物です。尚、季節が秋になると品質は再び上昇します。
仕入れをするときは蜜香を取るか、品質を取るかという点について深く考慮する必要があります。このお茶の場合4月に摘まれたお茶の方が蜜香は強く感じられましたが、3月摘みのお茶が圧倒的に品質が高く、結果的に3月摘みのお茶を仕入れました。3月は極めて早い季節と言うこともあり、蜜香は弱めですが、茶葉そのものの品質が高く、飲んだときの満足度としては4月摘みよりも上だと判断しました。
産地はは雲南省の南西部、臨滄市におけるミャンマーとの国境付近です。ちょうど、ラオス、ミャンマー、タイで構成される、旧麻薬の三角地帯に隣接する地域に位置する茶園です
前述したとおり、このお茶は少数民族が所有する自然栽培(放置栽培)のお茶から作られております。無農薬はもちろん、肥料も与えず、剪定も行わず、お茶の木は自然の植物のように放置されており、お茶は生体系の一部として周りの自然と同化しておりました。
生態系の一部と化したお茶の木は極めてゆっくりと成長し、その結果、光合成を積極的に行う必要もなくなるため、木1本当たりがつける茶葉の数が極端に少なくなります。成長が遅く、木当たりの茶葉の数が非常に少ないことから、1枚1枚の茶葉にはミネラルが豊富に含まれており、健康的な茶葉が形成されます。
自然栽培のお茶に関して何よりも強調したい点は、味がとても濃く、余韻に強い甘みが感じられる点です。例えるなら山で採れた山菜をを食べているかのような濃厚な味が感じられます。例えば、野のふき、タラの芽、天然ワサビ、天然の三つ葉は栽培物と比べ何が違うのでしょうか?天然の山菜や野菜の場合、ミネラルが豊富に含まれているため、味が濃く、食べた後の味香りに余韻が感じられ、口の中に甘味が残ります。自然栽培茶をいれると、水質そのものが全く異質に感じられます。水がきめ細かくなり、喉の奥にスーーーと入っていく感覚、また、お茶が体に染みこむような不思議な感覚を体験することが出来ます。
放置型自然栽培茶園は茶園と言うよりも「藪」です。
自然栽培茶はまた、お茶を飲んでいると、体がふんわりと心地よい気持ちになり、手足など隅々が温かく感じられ、時として眠くなります。これはお茶酔いとも呼ばれ、血行が良くなることで感じられる現象と言われております。血行が良くなると言うことは便秘気味や冷え性の人には朗報です。
身近な水と言うことで、水道水をお薦めいたします。水道水を使用される場合は、消毒用の塩素を取り除くため3~5分沸騰させてください。但し、例え沸騰しても塩素を完全に除去することは出来ません。可能な限り、活性炭フィルター付きの浄水器を用い、水中の塩素を除去してください。そうしないと、お茶の香り成分と塩素が共に反応し合い、本来の香りが楽しめません。また、塩素は微生物を殺菌するためにいれられております。殺すのは健康に害のある微生物だけでなく、私達の腸にすむ善玉菌も同様に殺菌してしまいます。また、細胞レベルでも様々な害が報告されており、アレルギーの原因にも成り得ます。
蒸留水や逆浸透膜水の場合、ミネラルを全く含まないために、お茶の味がフラットになりがちです。出来るだけ水道水等、ミネラル水をご使用ください。
尚、ヤカンに付着した水垢(スケール)は決して除去しないでください。クエン酸洗浄などを行うことで、従来のお茶の味が得られなくなってしまいます。
一端使用される水の種類を決められたら、今後、水の種類を変えないように同じ種類の水を使用し続けてください。水の種類が変わった場合、スケールからミネラルが大量に溶出し、暫く使っていると、お茶の味が劇的にまずくなります。同じ水を使用し続けることが、お茶を美味しくいれるための秘訣です。
通常、50mlの湯に対し1gの茶葉を用います。つまり、200mlの湯が入る急須の場合、200÷50=4gとなります。同様に300mlの場合6gの茶葉を用いてください。
沸騰している湯を急須に入れてください。
そのまま、10秒間静置してください。これにより、茶器が暖まります。
私達の実験によると、沸騰水を茶器に入れるだけで20℃温度が下がります。
つまり、熱水で暖めているつもりでも、実は80℃になっているだけです。
1煎目:10-20秒くらい
2煎目以降:1秒内
お茶は必ず最後の一滴まで注ぎだしてください。
更に、蓋を取り、茶葉を冷却することで、2煎目以降に備えましょう。茶葉を冷却することで、茶葉の劣化を防止し、何度もお茶をいれても美味しく飲むことが出来ます。
常温にて保管されることをお薦めいたします。
お茶は湿度に弱く、水分を少しでも吸収した場合、即劣化が開始されます。
水分は以下のような状況で意図せず吸収されますのでご注意ください。
実際、茶葉が劣化する最大の原因は4と5のようです。
冷蔵庫に保管した場合、袋の内部は冷えており、テープなどでしっかりとシールしていても、かなりの率で外気が中に進入し、結露を起こします。茶葉を結露してしまった場合、2-3日で香りが劇的に変化します。
出来る限り、常温で保管し、しっかりと乾燥した部屋でシールをすることで湿度を避けて保管してください。開封したら数ヶ月内に消費してしまうのが理想です。
未開封で真空包装されている商品につきましては、1年以上の保管が可能です。更に熟成を進めたい場合、常温にて、未開封のまま(真空包装のまま)保管してください。尚、購入直後のままの品質を維持されたい方は冷蔵庫にて保管してください。冷蔵庫に保管された場合は、必ず、24時間かけ常温に戻してから開封するようにしてください。半日もおけば大丈夫と思われがちですが、茶葉は大変表面積が大きく、天然の断熱材と言っても過言ではありません。手で触ってみると、既に常温に戻っているように感じられますが、内部は冷えており、十分に温度を常温に戻すには24時間必要です。尚、一端冷蔵庫からだし、開封された後は、常温にて保管してください。秋~春は外気の温度が低いため、常温保存をしても数ヶ月以上美味しい状態を維持することが出来ます。
市販の商品で、真空状態を作り出すことの出来るタッパーがございます。普及品ではありませんが、お茶の保存には最適ですので、それらの特殊容器を求められるのも良いかと思います。
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