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銀の急須はお茶の味にどう影響するのか?銀の長所と短所
- [2021.02.03] Written By 北城 彰(Akira Hojo)

近年、海外のお茶愛好家の間で銀の急須が流行っております。
銀の急須は見た目が非常に豪華ですが、味の点では注意が必要です。
本コラムでは、銀の急須がお茶の味にどう影響するか解説します。
銀器は毒殺を未然に防ぐ役割も!
銀器はヨーロッパを中心に昔から使われておりました。銀のポットなどは映画のシーンなどでもよく見かけますね。
銀器は高価なため、財力の象徴でもありましたが、銀器が好まれたもう一つの理由として、ヒ素による毒殺を察知できたためとも言われてます。ヒ素は無味無色無臭で水溶性ですが、銀器に料理を盛り付けた際、銀が黒変することで、ヒ素の混入が検知できたという話です。実際にはヒ素と銀が反応していたわけではなく、当時のヒ素には不純物である硫黄化合物が含まれており、それが銀と反応していたそうです。
アジア海外における銀急須のブーム
近年の銀急須のブームの発端は、私が知る限り、日本の東京銀器の急須の影響が非常に大きいと思ってます。
2010年くらいから、東京銀器の急須などが台湾の茶藝雑誌で盛んに紹介されるようになり、台湾の富裕層のお茶愛好家に支持されておりました。銀器は見た目が非常に美しく、写真映えも素晴らしく良い事から、瞬く間にその存在が認知され、それが東南アジアや中華圏での銀器ブームに火を付けました。更に、近年になり、更に欧米のお茶愛好家の間でも認知度が高まった感じです。
因みに、現在世界に流通している銀器は日本製もありますが、多くは中国製です。中国製と言ってもかなり質が高く、細部まで非常に精巧に作られている印象です。

銀器でいれたお茶の味の特徴
銀の急須のお茶への影響ですが、最大の特徴はボディ(ふくよかさ、広がり)を非常に強力に高めることです。
しかしながら、同時に銀器は後味(余韻、コク)を完全に消し去ります。
また、舌にこびりつくような(膜を張るような)渋味を呈するのも銀器の特徴です。
このような銀器の味の特徴は銅と非常に似ております。

多くの人は意識してないかと思いますが、味には横の感覚と縦の感覚があります。
横の感覚はふくよかさ、ボディ、味や香りの広がりを指します。この感覚は中国語では口感と呼ばれ、英語ではBodyです。
一方、余韻(後味、コク)は縦の感覚、奥行きを指します。この感覚は中国語では回甘、英語ではAftertasteです。
詳しくは上のイラストをご覧ください。
銀器が紅茶を美味しくすると感じられる理由
質の低いお茶は元々余韻が殆ど無いため、銀が余韻を消すとは言え、無い余韻はそれ以上減りません。銀器でいれても、ゼロの余韻はゼロのままゆえ、失うものはありません。
一方銀急須でいれた場合、ボディが増すため、お茶の質が上がったように感じられます。
渋味に関しても同じで、質の低いお茶の多くは春摘みではありません。この為、お茶自体が渋味を呈するため、銀器で生じる渋味は余り気になりません。
このような事実から、質の低いお茶を飲んでいる人が銀器を使うと、お茶の質が上がったかのように感じられます。銀器でボディ(味・香りの広がり)が高まる事で、特に紅茶はとても華やかに感じられます。例えば一般的なダージリン、アッサムやセイロンティは茶葉自体の余韻が軽いため、銀器で質が上がったと感じる人は多いはずです。
質の良いお茶に銀器を使うと余韻が消滅
しかしながら、質の高いお茶は余韻を楽しむものです。
中国や台湾で高級茶と呼ばれるお茶は例外なく、余韻と値段が相関関係にあります。より高いお茶を求めると言うことは、余韻に対してお金を支払っていると言っても過言ではありません。
これはお茶だけにとどまらず、料理も同様で、良い素材にはコクがあります。美味しいスープにはコク(後味)がありますよね?
これらの質の良いお茶や料理に銀器を使用した場合、最も大事な余韻が消え去るため、幾ら味の広がりを増幅しても、素材の価値が失われます。
また、感度の鋭い人は、銀器によって生じる渋味も気になるかとおもいます。
以上の理由から、お茶を販売する私の立場からすると、HOJOのお茶を飲む際は銀器はお勧めいたしません。HOJOではお茶の余韻を非常に重要視してお茶選びをしているためです。私が現地まで赴いてお茶探しをしているのも、余韻の長い後味の濃いお茶を探すためです。
例えば、HOJOの商品の中でも鳳凰単叢老欉やプーアル茶の単株茶は、ひときわ余韻が長いお茶です。もし、これらのお茶を銀器でいれた場合、余韻は見事に消え去り、量産品に近い味香りへと変化してしまいます。
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