• ホーム >
  • お茶の品質を決める各種要素

お茶の渋味=タンニンというのがお茶業界では常識のように考えられておりますが、実はタンニンを原因とするお茶の渋味はごく一部です。
お茶の渋味には2種類有り、もう一つの渋味にはミネラル(金属)が関係しております。

タンニン作用を有するポリフェノール

夏に摘まれたお茶は無条件に渋味を呈します。空腹で飲むと、胃がむかむかして吐き気を催すことがあります。世の中多くの人は紅茶=渋いものと思っているのではないでしょうか?「紅茶は胃が弱いから苦手」という人がおりますが、これは紅茶が悪いわけではなく、低品質な紅茶の多くが夏から秋に摘まれた紅茶であるためです。夏の紅茶には、夏茶特有のポリフェノールが含まれております。このポリフェノールは体のタンパク質と結合する性質があり、それによって渋味、収斂作用が感じられます。このようにタンパク質と結合する「作用」を有するポリフェノールのことをタンニンと呼びます。
タンニンとは、ポリフェノールの一種であり、タンパク質やアルカロイドと結合して不溶化する性質(作用)を持つ物質群の総称です。

お茶の場合、番茶や秋摘み茶にはエピガロカテキンガレートに代表されるタンニン的な性質を示すポリフェノールが含まれております。このポリフェノールには「ガレート基」という特有の部分があり、これが口の中のタンパク質や胃壁と結合することで、不快な渋味や腹痛が感じられます。尚、春茶に含まれるポリフェノールはタンパク質との結合をしないことから、春茶のポリフェノールをタンニンとと呼ぶのは不適切です。春茶から作られた紅茶は全く渋味を呈さず、空腹時に沢山飲んでも全く胃に負担をかけません。

舌にこびりつくような渋味の原因は特定のミネラル

お茶の渋味にはもう一つ別の種類の渋味があります。それは舌の表面にこびりつくような渋味です。分かり易い例としては酸化した煎茶や玉露の渋味がそれに相当します。この渋味は胃の調子を崩したりはしません。ただ単に、舌に何かがこびりついたような、舌に膜を張ったような不快感が何時までも持続するのがこの渋味の特徴です。

この舌にこびりつくタイプの渋味ですが、酸化したお茶以外に、お茶の殺青温度が高い場合、また、肥料を沢山与えて栽培されたお茶も同様の渋味を呈します。
この渋味はタンニンとは全く関係のない渋味で、渋味の原因となっているのは茶葉に含まれている特定のミネラル(金属)です。

酸化した緑茶の渋味はマグネシウムが原因

ミネラルが渋味を呈するという話は今一イメージできないのではないでしょうか?
身近な例では、缶ビールをはじめとするアルミ缶に入った飲料は同様に渋味を呈します。もし機会があれば、是非同じ銘柄の瓶ビールと缶ビールを同時に飲み比べて味を比較してみてください。缶ビールを飲んだときは舌につくようなざらつきが感じられるはずです。(ペットボトル入りのコカコーラと缶入りのコカコーラでも良いです。)

私は仕事柄、様々な種類のなミネラルとお茶の味にどう影響するか調べ、把握しております。鉄、銅、アルミ、亜鉛、錫、銀、金、チタン、マグネシウムなどのミネラルを水やお茶に添加し、テイスティングすることで、それぞれのミネラルと味の関係が評価できます。マグネシウムを評価した際、酸化したお茶と同じに味であることに気がつきました。マグネシウムを添加した緑茶は、まさに酸化した緑茶の味そのものでした。この現象を発見したことにより、私は酸化したお茶の渋味の原因は「マグネシウム」と考えるようになりました。

マグネシウムは葉緑素の中心物質

緑茶にマグネシウムはどのような形で含まれているかご存じですか?
それは他でもない葉緑素です。葉緑素はクロロフィルAとクロロフィルBという物質ですが、これらの物質の分子中心部にはマグネシウムが結合しております。マグネシウムは葉緑素の分子の一部なのです。

中心にあるMgがマグネシウムです。

クロロフィルは非常に酸化しやすい物質であり、酸化するとフェオフェチンという物質に変化し、マグネシウムが抜け出します。
クロロフィルに入っている状態のマグネシウムは手が塞がっているため、味に対して何も影響しませんが、遊離の状態のマグネシウムは不快な渋味を呈します。

玉露の茶園

酸化した緑茶が渋いのは、クロロフィルが酸化することで生じた、遊離のマグネシウムが原因と考えられます。
同様に殺青で熱を加えすぎた緑茶もクロロフィルが酸化するため、マグネシウムが溶出して渋味を呈します。蒸し時間が長い、深蒸し茶が浅蒸し茶よりも渋味を呈するのも同様の理由と考えられます。
玉露や抹茶は、被覆をすることで、葉緑素を人為的に増やしているため、酸化すると他の種類のお茶よりも渋味が強く感じられます。

紅茶や烏龍茶におけるマグネシウムと味との関係

尚、紅茶や烏龍茶のような発酵茶の場合、当然クロロフィルは酸化しております。ただし、発酵によって生じた重合ポリフェノール等の物質がマグネシウムと結合(金属錯体)を形成するために、マグネシウムの手が塞がり、渋味を呈さなくなると推察しております。事実、酸化した紅茶や烏龍茶は酸化した緑茶ほどではないものの渋味を呈します。

肥料を与えたお茶が渋いのもマグネシウムが関係

肥料を与えた緑茶が渋いのも葉緑素のマグネシウムが関係していると考えられます。肥料を与えると、植物は勢いよく生長しようとします。植物が生長するためには、より活発に光合成を行う必要があり、お茶はより多くの葉緑素を生合成します。
肥料を与えると、野菜や観葉植物が青々とするのと同じで、肥料を与えたお茶も非常に濃い緑色へと変化します。尚、肥料により大量の葉緑素が合成されると、お茶は急性のマグネシウム不足になります。一般のお茶農家では肥料に加え「苦土」を与えますが、この苦土こそマグネシウムの別名です。

自然栽培茶園:茶葉が非常に黄色い点が特徴

逆に自然栽培茶や放置茶園の場合、肥料を全く与えないため、お茶の成長は遅くなり、その結果、葉緑素は非常に少なくなります。自然栽培茶が黄緑色をしているのはこの為です。自然栽培茶の渋味が少ないのは葉緑素の量、つまり、マグネシウム総量が少ないためと推察されます。

日本茶(緑茶)、中国紅茶、白茶、プーアル熟茶、プーアル生茶、ジャスミン茶、烏龍茶という厳選された茶葉7種のお試しセット

関連記事 RELATED ARTICLES

お茶に関する最新情報を確実にキャッチするには? SOCIAL NETWORK

1,Twitterをフォローする。2,FaceBookで「いいね!」を押す。3,メールマガジンに登録する。という3つの方法で、お茶に関する最新情報をキャッチすることができます。今すぐ下のツイッターフォローボタンや「いいね!」をクリック!

メールマガジン登録で無料サンプルをもらおう!
メールマガジンにご登録いただくと無料のサンプル茶葉のプレゼントや希少商品の先行購入など様々な特典がございます。ソーシャルメディアの購読だけでなく、メールマガジンへのご登録もお忘れなく!

HOJO TEAオンラインショップNEWS一覧を見る

東山生茶・白毫銀針・茉莉銀針の3種類のお茶を発売
東山生茶2023、白毫銀針、茉莉銀針の3種類のお茶を発売しました。 東山生茶2023 https://hojotea.com/item/d63.htm 東山生茶2023を発売しました。東山生茶は当店でも非常に人気の高いお …
大雪山野生茶(生茶)2023年・2024年産 同時発売
大雪山野生生茶の2023年産と2024年産を発売しました。 2023年産については、マレーシアの倉庫で1年間熟成しております。 https://hojotea.com/item/d27.htm   雲南省でも入 …

最新の記事 NEW ARTICLES

東山生茶・白毫銀針・茉莉銀針の3種類のお茶を発売
東山生茶2023、白毫銀針、茉莉銀針の3種類のお茶を発売しました。 東山生茶2023 https://hojotea.com/item/d63.htm 東山生茶2023を発売しました。東山生茶は当店でも非常に人気の高いお …
大雪山野生茶(生茶)2023年・2024年産 同時発売
大雪山野生生茶の2023年産と2024年産を発売しました。 2023年産については、マレーシアの倉庫で1年間熟成しております。 https://hojotea.com/item/d27.htm   雲南省でも入 …
佐渡無名異焼作家の渡辺陶三作:野坂粗土還元急須が入荷
野坂粗土還元焼成の茶器を発売しました。 今回入荷したモデルは、茶壺(後手急須)、フリーカップ、マグカップの3点です。 https://hojotea.com/item/tozo_nosaka_reduction.htm …
佐渡島の渡辺陶三製作:野坂粗土酸化焼成の茶器が入荷
佐渡島の陶芸家、渡辺陶三氏による「野坂粗土酸化焼成」の茶器を発売いたしました。 https://hojotea.com/item/tozo_nosaka.htm   野坂は佐渡島の沢根にある地区名で、相川金山に …
2300mの野放茶園産、高山白茶を発売
高山白茶を発売しました。 このお茶の茶園には、次の2つの特徴があります。 1. 標高2200-2300mに位置する茶園 2. 完全に野生化したお茶の木で構成される野放茶園 非常に理想的な環境ゆえに、お茶の品質も素晴らしく …
標高2100mの無農薬・無肥料茶園産の高山紫茶2024
2024年産の高山紫茶を2種類発売しました。 https://hojotea.com/item/d53.htm 2種類とも、同じ生産者が同じ地域内に保有する茶園の茶葉ですが、茶園の位置が異なり、また、生産日も異なります。 …
大雪山野生茶(普洱生茶)2024の散茶を限定発売
大雪山野生茶は、雲南省臨滄市永徳県の大雪山に自生する野生のカメリアタリエンシスから作られたプーアル生茶です。 野生茶とは 野生茶とは、樹齢が高いお茶や野生化したお茶ではなく、山に自生している天然のお茶を指します。 過去に …
鳳凰単叢烏龍茶の産地、潮州市鳳凰鎮を訪問(2024)
先月、鳳凰単叢烏龍茶の産地である潮州市鳳凰鎮へ、仕入れと生産者との打ち合わせを兼ねて出張しました。ちょうど台風の時期と重なり、山から潮州に戻れなくなるなどのハプニングもありましたが、無事に仕入れを終えました。鳳凰鎮にはこ …
前川淳蔵作の伊賀天然朱泥急須、宝瓶各種入荷
前川淳蔵作の伊賀天然朱泥の茶器が入荷しました。 今回入荷したのは、丸型宝瓶、急須、絞り出し、茶海です。 https://hojotea.com/item/maekawa_iga.htm 数百年前に古琵琶湖の湖底に沈殿した …
佐渡島:渡辺陶三作、無名異上赤茶壺と宝瓶が入荷
渡辺陶三氏作の無名異常赤急須および宝瓶が入荷しました。今回の入荷品は、後手タイプが中心です。 https://hojotea.com/item/tozo_joaka.htm 非常に稀少な上赤 「上赤」は、佐渡島の相川金山 …

PAGETOP