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自宅で美味しいお茶が作れる!紅茶の作り方
- [2015.10.08] Written By 北城 彰(Akira Hojo)
お茶の質が良いのは春の一番茶ですが、紅茶を作るのであれば秋摘み茶もお勧めです。そこで、自宅で専門的な道具を必要とせず、簡単に、しかもプロのように上手に紅茶を作る方法を紹介したいと思います。
紅茶作りで大切なのは発酵ではない
紅茶作りというと、「発酵」にばかり眼が行きがちです。ただ、紅茶を作る上で発酵工程は意外に重要度は低く、むしろ、素人とプロ間での差が生じにくい工程と言えます。
素人が、或いは、紅茶作りに慣れてない人が大失敗するポイントは、他でもない「乾燥工程」です。この乾燥工程をヘアドライヤーや天日乾燥でやった場合、100%紅茶を上手に作る事は出来ません。言い方を変えれば、100%失敗します。
発酵度の調整は好みに応じて
紅茶作りですが、ダージリンファーストフラッシュのように発酵度を抑えた緑色の紅茶もあれば、しっかり発酵を行い、ゴールデンリングが出来るような発酵度の高い紅茶まで様々です。発酵を軽めに行うか深く行うかは作る人の好みですので、余り重要な問題ではありません。ただし、発酵には水分と温度が関係するため、萎凋時間と発酵時間が変わってきます。最初から、どのような紅茶を作りたいか明確なイメージを持って臨むことが重要です。
萎凋工程(お茶の水分を抜く)
萎凋工程とは、簡単に言うと、お茶を萎れさせる工程です。具体的には、日陰で、風通しのよい場所に竹のザル、穴が沢山空いた平コンテナなどにお茶を薄く並べ、時間をかけてゆっくりと水分を落としていきます。窓を開けて風を通しても良いのですが、私は扇風機で少し距離のあるところから風を当てます。重要なのは茶葉が重ならないように薄く並べることです。重なっていると、その部分だけ水分が飛びにくくなり、萎凋に斑が生じます。
萎凋をする時間ですが、紅茶を深く発酵したい場合は1日くらい、ダージリンファーストフラッシュのように、微発酵にしたい場合は2日間くらいやります。萎凋の目的は①茶葉をしおらせる事で揉みやすくする、②脱水状態に置くことで酵素を刺激し、③発酵により花のような香りを引き出す、水分を落とすことで次工程の発酵工程を安定させる等の目的があります。以下、3つのポイントを覚えておくと良いと思います。
- 萎凋を長時間するほど甘い香りが生じる
- 萎凋を長時間するほど水分が失われるため発酵しにくくなり、ファーストフラッシュのような微発酵紅茶に向く
- しっかりと発酵した紅茶を作りたい場合、萎凋を長くやり過ぎない。
萎凋を長時間やると、脱水ストレスにより、お茶の酵素が発酵を始めます。ちょうど、大根を乾しておくと、タクワンの甘い香りが生じるのと同じような原理だと思ってください。
揉捻工程(お茶をもむ)
萎凋が完了した茶葉は揉むことで、細胞を壊し酵素とお茶に含まれるポリフェノールを反応させ発酵を促進する必要があります。お茶を揉むときは、少しづつ揉むのではなく、ドンブリかボール一杯の茶葉をまとめて玉にし、洗濯板で選択をするような要領で揉むと良いです。私は滑り止めの付いたまな板や、和紙、製茶用の竹ザルの上で揉みます。揉みが甘いと、その後の発酵に斑が生じます。初めて紅茶を作るときは、上手くもめないと思います。しかし、安心ください。色々手こずって、「何とか揉むことが出来た」…..程度の仕上がりでも、この後の乾燥をきちんと管理することで、十分に美味しい紅茶が出来ます。揉んだ後は、茶葉をしっかりとほぐしてください。一旦乾燥して固まると2度とほぐせなくなります。
発酵工程
揉み終わった茶葉を発酵させる工程です。発酵と言っても、家庭で作る程度の小規模であれば、ボールにいれた状態で置いておけば十分です。
ただし、そのまま置いておくと、上面の茶葉が乾燥してしまいます。そこで、濡れたタオルなどをボールの上にかけておくことがポイントです。勿論、濡れタオルが茶葉に触れていると、その部分のみ水分が高くなり、発酵が進んでしまうため、茶葉には触れないようにすることが重要です。発酵工程では茶葉が茶色になるまでやる必要有りません。実際、次工程で熱を加え過程で、更に、発酵が進みます。ファーストフラッシュのような紅茶を作りたければ数時間、ダージリンオータムナルのような紅茶が作りたい場合、半日も発酵すれば十分でしょう。
発酵止め (超重要)
紅茶作りの最も重要なポイントはこの工程に集約されます。発酵が完了した時点ではお茶の酵素はまだ生きているため、酵素を失活させ、これ以上発酵しないようにロックする必要があります。
もし、このまま茶葉を乾燥機した場合、温度の上昇と共に酵素活性は最大となり、お茶は急激に発酵してしまいます。こうなると、もやは発酵と言うよりも過発酵であり、質の低い紅茶に見られるテアルビジンという茶色の色をした色素(タンニン)が急速に形成されます。
ご家庭で紅茶を作る場合、オーブンを使う必要があります。オーブン内の温度を120-140℃に設定し、十分に予熱をしておきます。ここに薄く広げた茶葉をいれ、10分間だけ加熱します。茶葉には水分が含まれているため、この時点でお茶の水分が100℃に到達し、酵素は一気に失活します。茶葉は10分経過した時点で即オーブンから取り出す必要があります。10分程度であれば、お茶に含まれる水分の潜熱のお陰で、100℃を超えることはありませんが。水分が無くなった時点で茶葉は焦げます。
乾燥
発酵止めをしっかりやってさえおけば、その後茶葉はどういう方法で乾燥しても全く問題有りません。家庭であれば、ヘアドライヤーを使う、風通しのよいところで、エアコン直下で乾す等々色々方法はあります。オーブンで乾燥した場合、風がないため、乾燥効率がよくなく、また焦げる可能性があるためお勧めしません。電子レンジの場合も、茶葉の水分減少に伴い、熱がかからなくなるため乾燥方法としてはお勧めではありません。
火入れまたは無酸素保存による熟成
プロが紅茶を作る場合、この後に火入れ工程があります。火入れ工程とは、70℃くらいの温度で4−5時間熱を加えることで、お茶の青臭さを除去し、甘い香りを引き立てます。火入れの際温度を上げすぎると焦げてしまうため、必ず、80℃以下にて管理する必要があります。ただ、この工程なしでも、十分に美味しい紅茶が出来ますが、火入れをしない場合、やや青さが香りに感じられたり、舌に僅かな渋味が感じられます。火入れを行う代わりに、脱酸素剤と共に封をして半年から1年ほど温かいところに置いておいても、火入れと同様の効果があります。
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