ダージリンファーストフラッシュの茶殻
ダージリンのファーストフラッシュは紅茶にもかかわらず茶葉が緑色をしております。ファーストフラッシュの茶葉が緑色をしている理由ですが、意外に多くの人が勘違いしているため、改めてその理由を説明したいと思います。

 

ダージリンで緑色をしているのはファーストフラッシュのみ

ダージリンティは春3-4月頃に摘まれるファーストフラッシュと、5-6月頃に摘まれる2ndフラッシュ、そして9-11月頃にかけて摘まれるオータムナルの3種類に分類されます。2ndフラッシュとオータムナルは茶葉がオレンジ〜茶色をしており、文字通り紅茶と呼ぶに相応しい外観をしております。それに対し、春3-4月に摘まれるファーストフラッシュの茶葉は緑色をしており、お茶の水色も緑茶や烏龍茶、白茶のような乳白色をしております。
ダージリンファーストフラッシュの水色

 

ファーストフラッシュが緑色をしているのは意図的にそうしている為

この理由として、茶葉に含まれる成分の違いが原因という意見がありますが、それは正しくありません。中国でもほとんどの高級紅茶は春に摘まれた茶葉から作られますが、しっかり発酵されていることから、テアフラビンを豊富に含み、ゴールデンリングができるほどに深い色合いに仕上げられます。ダージリンのファーストフラッシュが緑色をしているのは、生産者が意図的にそうしているためです。ファーストフラッシュでもオータムナルのようにしっかりと発酵させて、オレンジ〜茶色の茶葉にすることが可能です。また、逆に、秋に摘まれたお茶でも製法のコントロールによりファーストフラッシュのように緑色の茶葉にすることが可能です。

ダージリンオータムナルの茶殻

ダージリンオータムナルの茶殻

 

ファーストフラッシュが緑の理由

ファーストフラッシュの製法は他のシーズンに作られるダージリンティの製法と異なる点があります。

 

萎凋で水分量を落とすことで、発酵がゆっくりに

まず、萎凋時間が非常に長いという点です。萎凋とは茶葉を静置、または、風をあてることで、茶葉をゆっくりとしなびさせる工程です。その目的は、第一に水分量を下げ、茶葉を揉みやすくするためです。ただし、水分量が下がれば下がるほど、茶葉に含まれる酵素は発酵しにくくなります。酵素が発酵を行なうには水分は欠くことができません。萎凋により水分が下がった場合、揉捻(茶葉を揉んだ)後の発酵があまり進みません。ちょうど、乾燥してしなびてしまったリンゴは切ってもあまり茶色くならないのと同じ原理です。

ダージリンティの萎凋

ダージリンティの萎凋

 

短めの発酵時間

ダージリンファーストフラッシュは揉捻のあとには発酵が行われます。発酵は部屋の中に茶葉を静置し、比較的短い時間で行われます。もし長めの発酵を行ったとしても長時間の萎凋により水分量が少ないために、あまり発酵は進みません。

低い温度

ダージリン1stフラッシュが緑色をしているもっとも重要な理由は、環境の温度が低い点です。春摘みのファーストフラッシュが摘まれる2月や3月のダージリンは極めて寒く、朝夕などは10℃以下にもなります。このような低温環境下では、発酵は進みにくく、茶葉を深く発酵するには発酵室の温度や湿度管理をする必要があります。温度や湿度を上げることで、深く発酵することはやろうと思えば出来ることですが、ダージリンでは、環境と市場の需要に合わせ、発酵を深く行わないことで緑の紅茶に仕上げているのです。

 

ダージリンファーストフラッシュの萎凋工程は烏龍茶で言う発酵

萎凋を行う最大の目的は脱水ストレスにより茶葉に含まれる酵素を活性化し、花のような香りを生成することです。烏龍茶の香りが作られるのも萎凋工程です。「ダージリンファーストフラッシュは烏龍茶」と言うエステートマネージャーもいるほどです。確かに、ダージリンファーストフラッシュは烏龍茶と同じ半発酵茶で、紅茶と言うには緑過ぎます。ただ、烏龍茶との違いは製造工程の順番です。

 

烏龍茶の加工の順番

萎凋(発酵) → 加熱(酵素失活)  →揉捻(茶もみ)→ 乾燥

 

紅茶の加工の順番

萎凋 → 揉捻 → 発酵 → 加熱(酵素失活)→ 乾燥

 

萎凋の後、加熱して酵素の働きを止めてから揉まれる烏龍茶に対し、ダージリンファーストフラッシュの場合、萎凋の後に揉捻が行われ、更に、静置による発酵がおこなわれます。

ダージリンティの揉捻

ダージリンティの揉捻(ローリング)

台湾の烏龍茶などは緑の爽やかな香りがしますが、これは萎凋により目的とする香りが生じた時点で即、加熱し、酵素を失活させることで、その香りを維持管理しているためです。逆に、ダージリンファーストフラッシュの場合、萎凋の後に、茶葉は非加熱のまま揉まれ、更に、発酵工程が入ります。これにより、緑色はしているものの、発酵が更に進み、よりマイルドでダージリンファーストフラッシュらしい香りを形成します。

 

ダージリンファーストフラッシュの今後の進化形

ダージリンファーストフラッシュはしっかりと長時間萎凋を行った後に作られるため、萎凋の過程で茶葉が発酵を開始し、花のような香りが生じます。そこで烏龍茶のように、萎凋の後、そく茶葉を加熱して酵素を失活し、そのあと通常通りに揉捻を行った場合、烏龍茶と緑茶のハイブリット茶ができます。現在、ダージリンでは台湾の烏龍茶の生産技術が積極的に取り入れられているため、良い悪いは別として、今後、その様な製法のお茶も登場するかもしれません。

日本茶(緑茶)、中国紅茶、白茶、プーアル熟茶、プーアル生茶、ジャスミン茶、烏龍茶という厳選された茶葉7種のお試しセット

関連記事 RELATED ARTICLES

お茶に関する最新情報を確実にキャッチするには? SOCIAL NETWORK

1,Twitterをフォローする。2,FaceBookで「いいね!」を押す。3,メールマガジンに登録する。という3つの方法で、お茶に関する最新情報をキャッチすることができます。今すぐ下のツイッターフォローボタンや「いいね!」をクリック!

メールマガジン登録で無料サンプルをもらおう!
メールマガジンにご登録いただくと無料のサンプル茶葉のプレゼントや希少商品の先行購入など様々な特典がございます。ソーシャルメディアの購読だけでなく、メールマガジンへのご登録もお忘れなく!

HOJO TEAオンラインショップNEWS一覧を見る

佐渡島、渡辺陶三氏の新シリーズ野坂粗土炭化還元を発売
佐渡島の渡辺陶三氏から、新しい商品:野坂粗土 炭化還元焼成の急須、茶壺、宝瓶を発売しました。 https://hojotea.com/item/tozo_nosaka_carbonized.htm 野坂粗土炭化還元とは …
月ヶ瀬在来煎茶の新茶など3種類のお茶を発売
新茶2種を含む、3種類のお茶を発売しました。 – 月ヶ瀬在来煎茶 2022 – 月ヶ瀬萎凋煎茶 2022 – 茯磚茶 2021 月ヶ瀬在来煎茶 https://hojotea.com/ …

最新の記事 NEW ARTICLES

佐渡島、渡辺陶三氏の新シリーズ野坂粗土炭化還元を発売
佐渡島の渡辺陶三氏から、新しい商品:野坂粗土 炭化還元焼成の急須、茶壺、宝瓶を発売しました。 https://hojotea.com/item/tozo_nosaka_carbonized.htm 野坂粗土炭化還元とは …
月ヶ瀬在来煎茶の新茶など3種類のお茶を発売
新茶2種を含む、3種類のお茶を発売しました。 – 月ヶ瀬在来煎茶 2022 – 月ヶ瀬萎凋煎茶 2022 – 茯磚茶 2021 月ヶ瀬在来煎茶 https://hojotea.com/ …
渡辺陶三氏作の急須・茶壺・宝瓶各種が多数入荷
渡辺陶三氏の急須・茶壺・宝瓶が多数入荷しました。 https://hojotea.com/categ/teaware.htm 今回入荷したのは、以下の種類です。 – 秋津無名異酸化焼成 – 秋津無 …
鳳凰単叢単株茶2種を含む、6種類のお茶を発売
6種類のお茶を新しく発売しました。 東山生茶 2015年 マレーシア熟成 无量山古樹熟茶 散茶 2020年 宮廷金毫 散茶 2020年 茶頭磚 普洱熟茶 2017年 マレーシア熟成 鳳凰単叢老欉杏仁香 単株 2021年 …
2022年の中国茶の生育状況、品質、価格に関する現地情報
2022年における、中国のお茶の生育状況、価格相場について現在分かっている状況をシェアしたいと思います。 2022年のお茶の生育状況について 今年はお茶の収穫シーズン前の2月-3月に十分な雨量があったため、お茶の生育が良 …
高山紫茶2021 餅茶(プーアル生茶)を3種類発売
  高山紫茶 2021を発売しました。このお茶は紫茶と呼ばれるお茶から作られた、プーアル生茶です。 紫絹茶とは異なる臨滄の紫茶 紫茶は中国雲南省臨滄の南西部の標高2000m付近の茶山にてごく少数栽培されている非 …
野生茶や鳳凰単叢など8種類のお茶を発売
プーアル生茶、白茶餅茶、鳳凰単叢烏龍茶など、合計8種類のお茶を発売しました。 大雪山野生生茶 2021 餅茶 357g https://hojotea.com/item/d27.htm 散茶バージョンは昨年の春に販売しま …
マレーシアで熟成した生茶2種、熟茶1種を含む4種のプーアル茶を発売
プーアル生茶2種、熟茶2種の4種類のプーアル茶を発売しました。 烏木龍古樹生茶2019 https://hojotea.com/item/d78.htm 烏木龍古樹生茶は低い温度で殺青を行っており、私が現地で生産管理をし …
マレーシアの倉庫で熟成した3種類のプーアル生茶を発売
3種類のプーアル生茶を発売しました。 何れも、マレーシアの倉庫で暫く熟成した後に、日本へ転送したお茶です。 熱帯地方の高い温度下で熟成したことで、新茶では決して味わうことの出来ない、甘い香りが形成されております。 劉家古 …
メンソール香を伴う華やかな香りの自然栽培紅茶、高山紫紅茶2021が入荷
高山紫紅茶2021を発売しました。 高山紫紅茶はHOJOの紅茶の中でも特に人気のあるお茶です。 暫く品切れが続いていたため、多くのお客様から入荷予定についてお問い合わせをいただいておりました。 特注で作られた現地でも入手 …

PAGETOP