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耿馬古樹生茶2017(中国語読みGeng Ma)を発売しました。このお茶は2017年に仕入れたお茶の中でも、とりわけ野生に近い状態の茶園で収穫されたお茶です。野生茶ではありませんが、植えられてから今日に至るまで肥料や農薬は勿論、一切、管理が行われずに、自然のままに放置されておりました。農業と言えない状態で生育したお茶は、味にその性格が鮮明に表れております。野放茶ならではの透明感のある味わいは飲み続けることで、後戻りできなくなるほどに癖になります。HOJOの数あるラインアップの中でも特に自信を持ってお勧めするプーアル生茶です。
中国では自然栽培茶の中でも究極の野生状態の茶園を野放茶園と呼びます。野放茶園とは肥料や農薬はもちろん草も全く刈らず、放置した結果、野生化した茶園を指します。野生茶を例えるならゴリラですが、野放茶園はターザンに相当します。
一見、藪のような外観ですが、茶園です。
茶園は少数民族の村2000m-2100mの標高に位置します。耿馬は正確には臨滄市耿馬タイ族ワ族自治県という地域で、雲南省の臨滄にある県の1つです。今回特に時間をかけて探したのは、自然栽培茶の中でもお茶の木が野生化した茶園、野放茶園です。日本でも農業の高齢化に伴い近年では放棄茶園を良く目にしますが、日本の放棄茶園は雲南省における野放茶園とは根本的に異なります。雲南省の野放茶園の場合、種をまいた時点から一切人の手がかかっておりません。また、放置栽培を前提としているため、お茶の木は疎らで栽培密度が濃くありません。一度も肥料を与えてないため、お茶の木は長期にわたり自然の植物と同じように育っており、病気や虫にも強く、お茶の木は今もこの先も人の手を借りる必要がありません。また、お茶の木が日本の茶園のように高密度ではなく、お茶の木の周りには大量の草木が茂っております。お茶が主役ではなく、お茶は数ある他の植物の中で共存していると言える状態です。お茶の葉は黄緑色をしており、お茶の木はサイズの割に少ない茶葉しか付けません。お茶がより時間をかけて成長するため一般のお茶よりも収穫時期が遅く、その結果、茶葉と茶葉の間(節間)が非常に短い茶葉になります。野生化したお茶の味は春の山菜と同じで、味と香りに雑味がありません。また、口にいれた際に、口蓋部分に不思議な甘味がじわりと残るのが特徴的です。 また、味の特徴としてはボディが強く非常に広がりの強いお茶であり、同時に極めて後味がコク味香りの余韻が長く続きます。
お茶の素材の香りをより活かすため、腕のよい茶師にお願いし、緑茶の釜炒りに準じた方法で生産を行って貰いました。通常よりも少量の茶葉を投入し、高温に設定、そして、攪拌を頻繁に行うことで蒸気を出来るだけ拡散するようにしました。攪拌を頻繁に行うことで、茎部分をしっかりと殺青しつつも葉が蒸気の結露で茹だらないように注意しました。この作り方は高い温度を用いるため、焦がさないように仕上げるのが非常に難しく、高い技術力が求められます。色々なお茶で実験してみたところ、この方法だと素材の味香りが温存されるため、一般的な茶園産の茶葉(1芯3-4葉)を用いた場合、むしろ苦味や渋味が強く出て、また、青臭さが非常に気になるお茶になります。生の茶葉の質が飛び抜けて良いために、良くも悪くもお茶の変質がダイレクトに反映される作り方を採用しました。春に耿馬古樹生茶の毛茶を予約販売しましたが、残りは餅茶に緊圧しました。毛茶は独特の清涼感有る香りがし、非常に個性的で美味しいお茶でしたが、餅茶に緊圧し半年寝かせたことで、全く異なる性格のお茶に生まれ変わりました。良くも悪くも尖った部分が緩和され、非常に優しい香りへと変化しました。清涼感があり、非常にクリーンな飲み心地ゆえに一瞬、白茶のようにも感じられ、マレーシアの店舗では非常に人気のお茶となっております。
毛茶(緊圧前)の写真です。自然栽培茶ゆえに黄色身かかった茶葉を原料として用いているのですが、特殊な釜炒り方法ゆえに、お茶をいれたときに、茶殻の色合いが一般的なプーアル茶よりも鮮明な緑色をしております。
写真は毛茶を入れた様子
過去10年程中国では老木から作られたプーアル茶のブームが続いておりました。猫も杓子も老木を求め、生産者も何かというと老木という点を強調してお茶を販売しており、老樹や古樹という言葉がプーアル茶の代名詞のように用いられておりました。ただし、ここ数年、自然栽培茶の需要が急速に伸びつつあることを感じます。今まで余り注目されていなかった、自然栽培茶園ですが、ここ数年原料の値段が上昇しており、特に野放茶園のような野生化した茶園については、原料の確保が他のバイヤーとの間で競争になる事もまちまちです。
身近な水と言うことで、水道水をお薦めいたします。水道水を使用される場合は、消毒用の塩素を取り除くため3~5分沸騰させてください。但し、例え沸騰しても塩素を完全に除去することは出来ません。可能な限り、活性炭フィルター付きの浄水器を用い、水中の塩素を除去してください。そうしないと、お茶の香り成分と塩素が共に反応し合い、本来の香りが楽しめません。また、塩素は微生物を殺菌するためにいれられております。殺すのは健康に害のある微生物だけでなく、私達の腸にすむ善玉菌も同様に殺菌してしまいます。また、細胞レベルでも様々な害が報告されており、アレルギーの原因にも成り得ます。
蒸留水や逆浸透膜水の場合、ミネラルを全く含まないために、お茶の味がフラットになりがちです。出来るだけ水道水等、ミネラル水をご使用ください。
尚、ヤカンに付着した水垢(スケール)は決して除去しないでください。クエン酸洗浄などを行うことで、従来のお茶の味が得られなくなってしまいます。
一端使用される水の種類を決められたら、今後、水の種類を変えないように同じ種類の水を使用し続けてください。水の種類が変わった場合、スケールからミネラルが大量に溶出し、暫く使っていると、お茶の味が劇的にまずくなります。同じ水を使用し続けることが、お茶を美味しくいれるための秘訣です。
40mlに対し1gの茶葉をご使用ください。
つまり、急須の容量が200mlの場合、200ml ÷40 =5gの茶葉が必要です。
沸騰している湯を急須に入れてください。
そのまま、10秒間静置してください。これにより、茶器が暖まります。
私達の実験によると、沸騰水を茶器に入れるだけで20℃温度が下がります。
つまり、熱水で暖めているつもりでも、実は80℃になっているだけです。
より美味しくいれたい場合、2回この動作を繰り返されることをお勧めいたします。2回熱水を注ぐことで、急須の温度は95℃ぐらいまで上昇します。
折角茶器を温めても、即お茶をいれた場合、茶葉により湯の温度が下がってしまいます。「茶葉ごときでそんな?」と思われるかもしれませんが、茶葉は表面積が非常に大きいため、熱交換率が高く、私達の実験では20℃温度が低下します。つまり、茶器を温めたとしても、再び20℃下がってしまうわけです。
そこで、再び沸騰水を茶葉に注いでください。注ぐときは、出来るだけ低い位置から素早く注ぎ入れます。チョロチョロとのんびり注いだ場合、その過程で温度が下がってしまいます。高い位置から注ぐと、同じく、温度が下がります。
湯を注いだら、即湯を注ぎだしてください。このときにノンビリとしていると、折角のお茶の味が失われてしまいます。
更に、この動作をもう一度繰り返してください。つまり、茶葉は合計で2度湯通してください。茶葉に湯通し(洗茶)する際ですが、1回目は10秒、2回目は5秒くらい待ってから湯を注ぎだしてください。冬場は寒いので2回目も10秒くらい必要です。
お茶をいれる時間は、以下の通りです。
1煎目:10-20秒(1煎目はやや薄いくらいで丁度良いです。長く蒸らしすぎると2煎目以降が濃くなり過ぎます。
2煎目以降:湯を通すだけ(蒸らす必要はありません。)
プーアル茶の場合、2煎目以降は湯を通すだけで、蒸らす必要がありません。この方法だと、20煎目位までお茶がいれられ、大変経済的です。
飲みきれないお茶は、冷蔵庫に保存してください。プーアル茶の場合、冷蔵保存しても品質は顕著には劣化しません。或いは、いれかけの茶葉をそのまま冷蔵庫に保存するのも問題有りません。緑茶や烏龍茶の場合、いれかけの茶葉を保存した場合、直ぐに茶葉は劣化してしまいます。その点、しっかりと発酵しているプーアル茶の場合、途中で中断しても、冷蔵庫に入れておけば1日後に継続することも可能です。
常温にて保管されることをお薦めいたします。
お茶は湿度に弱く、水分を少しでも吸収した場合、即劣化が開始されます。
水分は以下のような状況で意図せず吸収されますのでご注意ください。
実際、茶葉が劣化する最大の原因は4と5のようです。
冷蔵庫に保管した場合、袋の内部は冷えており、テープなどでしっかりとシールしていても、かなりの率で外気が中に進入し、結露を起こします。茶葉を結露してしまった場合、2-3日で香りが劇的に変化します。
出来る限り、常温で保管し、しっかりと乾燥した部屋でシールをすることで湿度を避けて保管してください。開封したら数ヶ月内に消費してしまうのが理想です。
未開封で真空包装されている商品につきましては、1年以上の保管が可能です。更に熟成を進めたい場合、常温にて、未開封のまま(真空包装のまま)保管してください。尚、購入直後のままの品質を維持されたい方は冷蔵庫にて保管してください。冷蔵庫に保管された場合は、必ず、24時間かけ常温に戻してから開封するようにしてください。半日もおけば大丈夫と思われがちですが、茶葉は大変表面積が大きく、天然の断熱材と言っても過言ではありません。手で触ってみると、既に常温に戻っているように感じられますが、内部は冷えており、十分に温度を常温に戻すには24時間必要です。尚、一端冷蔵庫からだし、開封された後は、常温にて保管してください。秋~春は外気の温度が低いため、常温保存をしても数ヶ月以上美味しい状態を維持することが出来ます。
市販の商品で、真空状態を作り出すことの出来るタッパーがございます。普及品ではありませんが、お茶の保存には最適ですので、それらの特殊容器を求められるのも良いかと思います。
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