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徳川家康公への献上茶としても名高い静岡本山煎茶は、本格指向の日本茶愛好家に最適な銘柄です。
静岡市安倍川の支流、藁科川の上流域から発生する「霧」が、隣接する山の斜面の茶畑への「天然の覆い」として機能することで、豊かなアミノ酸や葉緑素を作りだし、その結果、「甘み」と「旨味」が極めて強く感じられる緑茶になりました。
日本刀の如くシャープな形状に成形された茶葉はフレッシュな新芽のみの使用を反映しており、職人の念入りな揉捻により、深緑で良く締まった茶葉に仕上げられております。
HOJOでは、本山煎茶オリジナルの味にこだわり、ブレンドを行わず純粋な本山茶のみを使用しました。本山茶の凄さは、見えない所にもあります。どのお茶が、どの農家で作られ、どの農薬が、どれだけの量を、いつ散布されたかを、全て追跡できるようになっております。
伝統と最新の農薬管理システムの共存は、本山茶を飲む安心を提供してくれます。
安倍川は日本でも有数の急流・清流であり、その流域には、急斜地が多く点在します。ここでは霧が多く発生し、平地と比較して日照時間も少ないため、上質なお茶を作る条件が揃っています。「茶説集成」によれば、鎌倉時代、自生茶が安倍川流域に生育していたという記録があり、元々、この安倍川流域がお茶の生育に適した土地であったと思われます。
本山茶の起源は、「国師の駿河足窪(現 足久保)の茶植え(東福寺誌)」とあるように、鎌倉時代の聖一国師(安倍川支流の藁科川にある栃沢出身の禅僧)が、寛元二年( 1244年)、上野国の長楽寺を訪ねた後、故郷の栃沢に帰り、その際、山を隔てた足窪村に宋より持ち帰ったお茶の種を播いたとこの地では伝えられています。日本茶の祖と呼ばれる栄西が「喫茶養生記」を書き上げたのが 1211年のことですから、まさに日本茶の黎明と時同じくして、本山茶が始まったと言えます。
これ以降、様々な書物に茶の産地として、駿河国の記述が出てきます。そして、本山茶の地位を高めたのが、かの徳川家康です。家康は茶会に用いるお茶の品質保持のため、安倍川上流の大日峠に茶蔵を建設し、多数の茶壺を保存したそうです。以後、本山茶を江戸城への御用茶として献上したという記録が残っています。
本山茶の名付け親は、藁科川の清沢村(現在の清沢相俣)出身の「築地光太郎」。明治時代にお茶の輸出が盛んになり、日本各地でお茶が生産される中、自分の故郷の伝統あるお茶を他の産地と区別するために「本山茶(本家本元の茶)」と命名しました。
現在、静岡県はお茶の生産量日本一をほこり、安倍川のほとりの静岡市茶町は、お茶の集積場として、日本全国のお茶が集まります。そのお膝元で生産される本山茶は、絶えず厳しい目で選別され、上質な茶を提供しています。
高品質な日本の緑茶の定義の一つに「甘み」と「旨味」が挙げられます。
この味の正体はテアニンと呼ばれるアミノ酸です。
テアニンは、「若い芽」に豊富に含まれておりますが、茶葉が日光を吸収することで、カテキンをはじめとするポリフェノールに生合成されます。安倍川流域に分布する本山茶の茶畑は、川の両側にそって立つ山の斜面の中腹から上部にかけて広がっており、川からは自然の濃い霧が発生するため、山の斜面に位置している茶畑はすっぽりと霧に覆われます。そのため、霧によって日光が遮られることにより、茶葉中に含まれるテアニンが、ポリフェノールへ変換しにくくなり、本山茶はテアニン含有量の高い茶葉となります。
ポリフェノールは苦味や渋味を呈する成分です。苦いお茶が、より好まれて喫茶される地域もありますが、日本の高級緑茶に限っては、苦みよりも甘みの割合が多い方が「高級」と評価されます。
従って、本山と呼ばれる安倍川流域は、このような地理的要因によって、テアニン量が多い高品質の日本茶を生産しています。HOJOでは特に安倍川支流、藁科川流域に点在する山間の茶畑で生産される茶葉を使用しております。
本山煎茶は「藪北」という品種を使用して作られます。
4月の終わりから5月の上旬に一番茶として、一芯二葉の茶葉が摘採されます。HOJOでは一番茶のみを使用しており、更にその中でも八十八夜前後に摘採された茶葉を厳選して使用しております。なぜなら、雨の時期になると、茶葉の成長速度が増すため、味の薄いお茶になってしまうからです。
茶葉は朝露を避けるために、日が昇った後に摘み取られます。
朝露が混入した場合、蒸し工程中に朝露の部分だけが熱水になることから、茶葉の細胞組織が過度に破壊され、良質の煎茶を作ることが出来ません。従って、上質の煎茶は晴れた日に収穫された茶葉から作られます。
集荷された茶葉は、各農家単位で製茶工場へと運び入れます。各生産単位をロット管理することで他の農家の茶葉の混合を避け、明確なトレーサビリティーが確立されております。
煎茶の品質的特徴は蒸し工程で決まると言っても過言ではありません。本山茶特有の味を出すため、数十秒間の蒸気加熱が行われます。
高温の蒸気を短時間で万遍なく与える事で、茶葉はさらっとした感じに仕上がり、結露水により濡れることがありません。これが美味しいお茶を作る上での重要なポイントです。
蒸すことで熱を持った茶葉を、冷却し同時に茶葉に含まれる水分を飛ばします。敏速に湿熱を除去することで、二次的な熱劣化を防ぎます。
熱風中で茶葉を攪拌することで能率よく乾燥し、揉みながら茶葉に形をつけていきます。
唯一熱を用いない工程です。茶葉に荷重を加えながら円形運動をし、茶葉の水分を均一に分散させます。茶葉を揉むことで摩擦熱が発生するため、定期的に茶葉をもみほぐすことで、熱を発散させます。
回転式の乾燥機を用い、茶葉を軽く揉みながら乾燥を進め、水分を均一にしつつ、茶葉をよりながら細かくしていきます。
直線的な前後の動きと円を描く様な横の動きにより煎茶特有の針のような、「より」を作り上げます。一本一本が黒光りし、硬く良くしまっていることが重要です。
精揉を終えた茶葉はまだ水分を含んでいるため、乾燥することで水分を5%程度まで落とします。こうして乾燥が終わった茶を「荒茶」と呼びます。
荒茶は仕上げの「火入れ」が行われていないため、仕上げ茶と比べると生の葉の香りと苦みが強いのが特徴です。
各製茶会社は通常荒茶を原料茶葉として購入し、この荒茶を各社独自の方法で火を入れることで、オリジナルの香り・味に仕上げます。こうして出来上がったオリジナルの火入れ茶を複数ブレンドすることにより、製茶会社オリジナルの「仕上げ茶」が完成するわけです。
HOJOの本山茶の場合、本山の伝統的な味香りを重視するため、本山茶に最適と考えられる方法にて火入れを行いました。火入れは本山茶栽培地域に長年暮らし、本山茶らしさを良く理解されている技術者に委託しました。
特に加熱時間を短めに設定することにより、煎茶らしさ、つまり、緑茶の「緑の香り」が特徴的な仕上がりになっております。
煎茶の味は苦味・渋み・旨味(甘み)のバランスによって構成されます。これらの味はそれぞれ異なる成分の味であり、入れ方によってこれらのバランスが容易に変わり、全く違う味になってしまうこともしばしばです。従って、まずスタンダードな入れ方でお茶本来の味を知っていただき、その後で自分の好みにあった入れ方に変えていき、様々な味を楽しまれたらいかがでしょうか?
水道水を使用される場合は、消毒用の塩素を取り除くため3~5分沸騰させてください。但し、例え沸騰しても塩素を完全に除去することは出来ません。可能な限り、浄水器を用い、水中の塩素を除去してください。そうしないと、お茶の香り成分と塩素が共に反応し合い、本来の香りが楽しめません。市販されている水を使用する場合は、硬水よりも軟水が適しています。硬水ですと、味が淡白になったり、白く濁ったりしてしまいます。
通常、50mlの湯に対し1gの茶葉を用います。つまり、200mlの湯が入る急須の場合、200÷50=4gとなります。同様に300mlの場合6gの茶葉を用いてください。
先ほど準備したお湯を湯冷ましに取り、人数分用意した茶碗(約100cc)に8分目ほど入れます。この操作は火傷に注意してゆっくり行ってください。茶碗を手のひらで持っていただいて、持ち続けられる程度(約60℃)が入れ頃だと思います。僅かに苦みがあった方が好みという方は、湯の温度を70℃に設定して下さい。ここで注意していただきたいのは、熱湯をそのまま急須にいれないということです。
侵出時間の基本は、温度が高いほど短く、逆に温度が低いほど長く浸す事です。湯の温度が60-70℃の範囲であれば1分間が適切な侵出時間です。
1煎目をいれ終わった後は、必ず蓋を取ってください。蓋を置いたままの状態ですと、茶葉が余熱で煮えてしまい、2煎目以降茶葉が急激に酸化します。酸化した茶葉は、黄色っぽく変色し、味も香りも落ちます。茶器内に湯を残さないように注ぎきり、蓋を外しておくことで、出来るだけ早く茶葉を冷却する効果があります。茶器内に湯を残したままにしておくと、2煎目以降の味が台無しになりますので、面倒でも毎回注ぎきるようにしてください。
煎茶を入れる際に一番難しいのが2煎目です。2煎目の時間管理を誤った場合、お茶を楽しむことの出来る回数が激減します。2煎目の侵出時間は10秒以内としてください。10秒では味が出ないのでは?と心配されるお客様がおられますが、湯を含んだ2戦目の茶葉からは即味が出ます。
3煎目以降は、10秒ずつ侵出時間を増やしてください。つまり、3煎目の侵出時間は20秒、4煎目は30秒となります。
味を均一にするためそれぞれの茶碗に少しずつ数回に分けて注ぎます。これを廻し注ぎといいます。また、急須にお湯を残さないよう最後の一滴まで注いでください。これは、旨味のあるお茶を最後まで注ぐという目的と二煎目を美味しくするためという目的があります。また、注ぎ終わったら急須の蓋を開けて、お茶が蒸れることを防止しましょう。
HOJOの本山煎茶は火が殆ど入っていないため、玉露と並び水出し茶がとても美味しいのが特徴です。 水出し煎茶を作ると以下のメリットがあります。
茶葉は5-8g(お好みに応じて調整してください。)に対し、1リットルの水を準備してください。水の水質には気を遣いましょう。浄水器を通していない水道水の場合塩素が入っており、体にも悪いし、お茶の味を破壊します。必ず、塩素がないことを確認しましょう。
水を先に入れてから、次に茶葉を投入します。30分から1時間おけばできあがり。飲みきってしまったら、再び水を足してください。簡単で美味しく飲めるのが水出し茶の特徴です。
この方法の場合、お茶を淹れる時間が数秒と短いために、茶葉が殆ど劣化せず、何煎も淹れ続けても鮮度の高い香りを楽しんで頂く事が出来ます。
お茶の苦味・渋みは高い温度でたくさん溶出して、高級茶の特徴である旨味を消してしまいます。従って低い湯温で時間をかけて浸出することが美味しさの秘訣です。
ただ、熱いお茶を飲みたいという方は、高い湯温+短時間(90℃ 30秒ぐらいが目安です)でも美味しく飲めます。ただし、タイミングが難しいので何度が挑戦していただき、自分なりのレシピを作られたらいかがでしょうか。
常温にて保管されることをお薦めいたします。
お茶は湿度に弱く、水分を少しでも吸収した場合、即劣化が開始されます。
水分は以下のような状況で意図せず吸収されますのでご注意ください。
実際、茶葉が劣化する最大の原因は4と5のようです。
冷蔵庫に保管した場合、袋の内部は冷えており、テープなどでしっかりとシールしていても、かなりの率で外気が中に進入し、結露を起こします。茶葉を結露してしまった場合、2-3日で香りが劇的に変化します。
出来る限り、常温で保管し、しっかりと乾燥した部屋でシールをすることで湿度を避けて保管してください。開封したら数ヶ月内に消費してしまうのが理想です。
未開封で真空包装されている商品につきましては、1年以上の保管が可能です。更に熟成を進めたい場合、常温にて、未開封のまま(真空包装のまま)保管してください。尚、購入直後のままの品質を維持されたい方は冷蔵庫にて保管してください。冷蔵庫に保管された場合は、必ず、24時間かけ常温に戻してから開封するようにしてください。半日もおけば大丈夫と思われがちですが、茶葉は大変表面積が大きく、天然の断熱材と言っても過言ではありません。手で触ってみると、既に常温に戻っているように感じられますが、内部は冷えており、十分に温度を常温に戻すには24時間必要です。尚、一端冷蔵庫からだし、開封された後は、常温にて保管してください。秋~春は外気の温度が低いため、常温保存をしても数ヶ月以上美味しい状態を維持することが出来ます。
市販の商品で、真空状態を作り出すことの出来るタッパーがございます。普及品ではありませんが、お茶の保存には最適ですので、それらの特殊容器を求められるのも良いかと思います。
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