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このお茶は在来種、自然栽培、荒茶に近い仕上げで作られた特殊なお茶ゆえ、普通の日本茶の淹れ方では香りがやや弱めになります。90℃〜沸騰水を用い、多めの茶葉を用いて短めにサッと淹れる方法が最も適しております。
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日本茶では非常に珍しいフルボディのお茶です。口に含んだときに頬に広がる甘味が感じられます。
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朝宮煎茶は滋賀県の甲賀市信楽町で収穫されたお茶です。朝宮のお茶には日本茶の中でも極めて珍しい特徴があります。それはお茶の味がとてもふくよかなで豊かな点です。
朝宮茶には極めて強いボディがあり、お茶を口にいれると、香りが横に広がり、香りがとても華やかに感じられます。美味しいものを食べるとほっぺたが落ちるという表現がありますが、私はこれはボディを表現している言葉だと考えております。ボディの強いお茶を飲むとちょうど頬の裏辺りで甘味が感じられ、唾液腺がゆるむ感覚を感じます。ボディの強い食品の代表格と言えば、貝の味噌汁があります。貝の味噌汁は貝殻と一緒に煮ることで、貝殻に含まれるカルシウムが水に影響することでふくよかな味わいが感じられます。同じ事はひれ酒などでも言える事ですが、貝の味噌汁をむき身の貝で作ると全く異なる味わいの味噌汁へと変貌します。
朝宮茶はなぜふくよかな味わいがするのかという点ですが、それは信楽の土壌が深く関係しております。信楽は数百万年前は琵琶湖の底でした。この影響で信楽の土壌にはカルシウムやカリウムなどのアルカリ性のミネラルが豊富に含まれており、それがふくよかな味わいに影響しているものと思われます。同様に良質の信楽土を用いて茶器を作った場合、その茶器でお茶をいれると同じような味わいになります。HOJOで販売している古琵琶湖土も信楽周辺で採掘された土です。
現在の日本茶業界では、ふくよかさは品質評価を行う上であまり重視されておりません。一般的な日本茶の殆どは茶葉の見た目を重要視するために、色彩選別機などにより茎を除去しております。茎を除くことで、茶葉の外観が深緑色の単一色となり、それを「美しい見た目」と定義しております。しかしながら、お茶における茎の存在は想像以上に大切です。「雁が音」或いは「棒茶」というお茶はご存じでしょうか?茎だけから作られたお茶です。はじめて飲まれた人はその甘さに驚かれると思います。ここで言う甘みとは、砂糖の甘みではなく、強いボディが生み出すミネラルによる甘みです。ボディに寄与するミネラルは茶葉には少なく、茎に多く含まれるため、茎を除去したお茶はボディを劇的に失います。長野県の名産品に「野沢菜茶漬け」という漬け物があります。この漬け物ですが、茎と葉では茎の方が甘く感じられます。ネギやセロリなどでも同じで、白い茎部分の方が緑色の葉の部分よりも甘く感じられます。HOJOではお茶を仕上げる際に意図的に茎を除去しておりません。茎をいれることで、ふくよかな甘み(ボディ)がしっかりとし、昔から伝統的に飲まれていた煎茶のように「茶柱」が立つお茶を理想としております。
HOJOで紹介する朝宮茶は、自然栽培によって作られたお茶です。在来種とは種から撒かれた実生のお茶を指します。(一般に藪北などの品種名を持つお茶の場合、挿し木から作られます。)種から撒かれたお茶は、直根と言って根が真っ直ぐに地中へ入ります。この根の特徴ゆえに実生のお茶は地中のミネラルを吸いやすい特性があります。その結果、お茶には深い後味があり、しっかりとしたコクが感じられます。
お茶の産地で老人から偶に聞く言い伝えがあります。
「その昔、金色の茶園を見たことがある」と、、、金色の茶園で採れたお茶はたいそう美味しく、未だにその味が忘れられないと言う話を聞いたことがあります。私は年間2ヶ月を中国の産地で過ごし、国内の産地も頻繁に足を運んでおります。勿論、金色の茶園は何度も見たことがあります。日本では非常に希ですが、自然農法、良質の赤土と最適な環境が重なったとき、黄色の茶葉の茶園は生まれます。
上の写真は、中国雲南省の少数民族が完全自然栽培で育てたお茶の木。正に金色の茶園という言葉のとおりの見事な風景でした。
本来、自然に生えている山野草は日常的に窒素不足です。自然界にはそれほど多くの窒素があるわけではなく、ゆえに、山野草はゆっくりと時間をかけて成長し、ミネラルと生体防御物質であるポリフェノールが豊富な、健康な植物になります。以下の写真は、夏に自然の木を撮影した物です。日当たりの良いところにある山野草は全体に黄緑色をしているんですね!
現代農業でのお茶作りでにおいては、硝酸塩などの窒素肥料が多用されます。窒素肥料が入ると、お茶は自らが成長する事に集中します。茶葉の色は深い緑色へと変わり、お茶の葉もまるでワックスでも塗ったかのようにギラギラと光っております。
ある意味、肉料理ばかり食べ、メタボ気味の人間と同じような状況だと思います。 反面、自然の植物とほぼ同じように育てられたお茶の葉は、小さく、色は黄色、そしてお茶の木は白っぽくなります。
機会があれば、自然に出て植物の色を観察してみてください。自然に生育している植物は、黄緑色をしております。
逆に肥料の入った畑に生えている植物は、濃い緑色をしております。
窒素肥料で育ったお茶
茶葉が非常に大きく、ひだがあり、暗い緑色をしている。 |
世の中一般的な茶園
様な育て方をすると翌年の収穫量が増える。葉の色は全体に濃い緑色。上↑の山野草の写真とは対照的。 |
自然栽培のお茶:秋に高さを揃えるが、先端を僅かに落とす程度。茶ばはどれも小さく黄色みを帯びており、弾力がある。写真の様な成長した茶葉を口に入れても渋味が殆ど無く、喉に甘みが感じられる。
上2つの茶葉の写真をご覧ください。普通は左側のお茶の方が良い品質だと思いませんか?窒素肥料を一切与えずに育てたお茶は黄色い茶葉をしており、お茶の色自体が黄緑色をしております。一見すると酸化したお茶のようですが、作りたての状態からこの様に黄色をしているのです。このお茶の甘いこと、それはまるで野生のタラの芽を食べたときのあの甘さと同じです。
左は一般的に良いとされるお茶、そして右側がHOJOの選ぶ、自然栽培のお茶です。自然の植物と同じ黄色い色が特徴です。
世の中、有機栽培だから健康に良い、有機栽培だから美味しいという考えが蔓延しております。
確かに、有機栽培は農薬の点では安心ですが、だからといって「美味しい」と「体に良い」とは全く関係ありません。
本来美味しい野菜、果物、お茶を作り上げようと思った場合、植物に時間をかけて成長させ、高い細胞密度の葉を作り上げることで、ポリフェノールとミネラルが豊富に含まれ、味わい深く、コクのある甘みを作り出すことが大切です。
私も多くの有機栽培茶を飲んだことがありますが、多くは言われなければ有機と分からないほど、普通のお茶と大差のない品質でした。
それには、使用する肥料とお茶の育て方が大きく関係しております。有機肥料でも、堆肥のような窒素肥料を与えた場合、結果的に植物が受ける影響は、硝酸塩のような化学肥料を与えるのと同じです。
窒素が与えられると、植物は勢い良く成長します。窒素が入ることで成長のスイッチが入るためです。
勢い良く生長している植物ですが、実は細胞自体が大きく成長する事で大きくなっております。
成長過程にある茶葉は、ポリフェノールを作らないため、それに伴いミネラル分も少ないお茶になります。自身の成長のために必要な細胞壁の合成などに忙しく、ポリフェノールの合成をしている暇がないのでしょう。
大きな細胞から成る茶葉は、折れやすく、粉が出やすくなります。
私の実家はリンゴ農家ですが、窒素肥料を与えると、リンゴの葉は深い緑色になり、葉のサイズも肥大し、リンゴも大きくなります。但し、リンゴを食べると一目瞭然。味に濃さが無く、水っぽくて美味しくありません。
私は有機・無機に関係無く、お茶を自然の山野草に近い形で、時間をかけてゆっくりとお茶を育て上げることが重要だと考えております。厳しい環境下で時間をかけて育ったお茶は、そのお茶の苦労が品質として感じられるものです。
動物の堆肥の脇にあるお茶の木。お茶の木とは思えないほどの巨大で濃い緑色の葉が付いている。このようなお茶の木から採れたお茶は味も薄く、喉越しが殆ど無いお茶になる。
お茶の木は深く刈れば刈るほど、翌年には勢い良く茶葉を出します。
「勢い良く」とは、とどのつまり茶葉を構成する細胞が大きくなり、ミネラルの薄いお茶になる事を意味します。
日本茶に限らず、刈り込まれたお茶は量産向き、質を求めるお茶は殆ど刈らずに時間をかけてゆっくりと成長させるのが一般的です。
上記2つは静岡や鹿児島のような有名なお茶生産地ではごく当たり前に行われている取り組みです。
窒素を与え、深刈りをすることで、成長を早め、茶葉のサイズを大きくし、生産量を増やします。
品質が高い=生産量が少なく稀少というのが普通だと思いませんか?
生産量が多くて、品質も高くて、というのは余りに都合の良い話です。
繰り返しになりますが、高原野菜にしても、美味しいリンゴにしても、高級なメロンにしても、美味しさを求めた場合、ゆっくりと時間をかけて成長させること、それにより生産量は落ちる物の、野菜や果物を構成する細胞数は高密度になり、味の濃い食品が出来ます。
これは野菜に限った事ではなく、短期間で成長する養殖の魚と時間をかけてゆっくりと成長する天然の魚を比べても同様の事が言えます。
刈り込まれた茶葉は若い枝を勢い良く生み出し、大きく緑色の茶葉を大量に生産する。
身近な水と言うことで、水道水をお薦めいたします。水道水を使用される場合は、消毒用の塩素を取り除くため3~5分沸騰させてください。但し、例え沸騰しても塩素を完全に除去することは出来ません。可能な限り、活性炭フィルター付きの浄水器を用い、水中の塩素を除去してください。そうしないと、お茶の香り成分と塩素が共に反応し合い、本来の香りが楽しめません。また、塩素は微生物を殺菌するためにいれられております。殺すのは健康に害のある微生物だけでなく、私達の腸にすむ善玉菌も同様に殺菌してしまいます。また、細胞レベルでも様々な害が報告されており、アレルギーの原因にも成り得ます。
蒸留水や逆浸透膜水の場合、ミネラルを全く含まないために、お茶の味がフラットになりがちです。出来るだけ水道水等、ミネラル水をご使用ください。
尚、ヤカンに付着した水垢(スケール)は決して除去しないでください。クエン酸洗浄などを行うことで、従来のお茶の味が得られなくなってしまいます。
一端使用される水の種類を決められたら、今後、水の種類を変えないように同じ種類の水を使用し続けてください。水の種類が変わった場合、スケールからミネラルが大量に溶出し、暫く使っていると、お茶の味が劇的にまずくなります。同じ水を使用し続けることが、お茶を美味しくいれるための秘訣です。
自然栽培で作られたお茶はポリフェノールが多く、お茶を淹れるときは熱い温度を推奨します。
本来は沸騰水でも良いのですが、沸騰水だと2煎目以降茶葉が痛むため、90℃位の湯をご使用ください。
熱い温度で淹れるため、浸出時間は極力短めにすることで2煎目以降に茶葉が劣化することを防止してください。目安としては、1煎目は20秒以内くらいです。
2煎目は、お湯を通すだけにしてください。つまり、1秒以上待つ必要すらありません。コーヒーのようにフィルターに茶葉を乗せておき、湯を通すだけでも問題有りません。
3-6煎目以降も2煎目と同じ方法にていれてください。
注ぎ方ですが、味と色を均一にするため、注ぐ前に急須を軽く廻し、それぞれの茶碗に少しずつ数回に分けて注ぎます。これを廻し注ぎといいます。また、急須にお湯を残さないよう、最後の一滴まで注いでください。これは、旨味のあるお茶を最後まで注ぐという目的と二煎目を美味しくするためという目的があります。また、注ぎ終わったら急須の蓋を開けて、お茶が蒸れることを防止しましょう。
重要なので繰り返しますが、上記の時間だけいれたら、必ずお茶(湯)を全て注ぎだしてください。
湯が急須に残った状態で放置しておくと、茶葉は熱水により抽出され続け、2煎目以降非常に味が濃くなってしまい、また、茶葉が酸化してしまいます。
更に、湯を注ぎだしたら、必ず、蓋を外し、茶葉を冷却しましょう。この動作は非常に重要なのですが、意外に知られておりません。冷却することで、酸化を防止し、茶葉を新鮮な状態に保つのです。
この方法の場合、お茶を淹れる時間が数秒と短いために、茶葉が殆ど劣化せず、何煎も淹れ続けても鮮度の高い香りを楽しんで頂く事が出来ます。
常温にて保管されることをお薦めいたします。
お茶は湿度に弱く、水分を少しでも吸収した場合、即劣化が開始されます。
水分は以下のような状況で意図せず吸収されますのでご注意ください。
実際、茶葉が劣化する最大の原因は4と5のようです。
冷蔵庫に保管した場合、袋の内部は冷えており、テープなどでしっかりとシールしていても、かなりの率で外気が中に進入し、結露を起こします。茶葉を結露してしまった場合、2-3日で香りが劇的に変化します。
出来る限り、常温で保管し、しっかりと乾燥した部屋でシールをすることで湿度を避けて保管してください。開封したら数ヶ月内に消費してしまうのが理想です。
未開封で真空包装されている商品につきましては、1年以上の保管が可能です。更に熟成を進めたい場合、常温にて、未開封のまま(真空包装のまま)保管してください。尚、購入直後のままの品質を維持されたい方は冷蔵庫にて保管してください。冷蔵庫に保管された場合は、必ず、24時間かけ常温に戻してから開封するようにしてください。半日もおけば大丈夫と思われがちですが、茶葉は大変表面積が大きく、天然の断熱材と言っても過言ではありません。手で触ってみると、既に常温に戻っているように感じられますが、内部は冷えており、十分に温度を常温に戻すには24時間必要です。尚、一端冷蔵庫からだし、開封された後は、常温にて保管してください。秋~春は外気の温度が低いため、常温保存をしても数ヶ月以上美味しい状態を維持することが出来ます。
市販の商品で、真空状態を作り出すことの出来るタッパーがございます。普及品ではありませんが、お茶の保存には最適ですので、それらの特殊容器を求められるのも良いかと思います。
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