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紅茶やプーアル生茶で胃が痛くなる本当の理由
- [2017.02.16] Written By 北城 彰(Akira Hojo)
プーアル生茶や紅茶を空きっ腹で飲むとお腹が苦しく・痛くなると感じている人が相当数おられるのではないでしょうか。実は私もその昔、紅茶やプーアル生茶を飲んではお腹が苦しくなり、幾度となく辛い経験をしたことがあります。しかしながら、正しいお茶を選びさえすれば、空きっ腹で、大量の紅茶やプーアル生茶をストレートで飲んでも決してお腹が痛くなることはありません。
渋味や胃の不快感の原因は原料にあり
お茶を飲んでお腹が痛くなる原因ですが、これは夏場になると現れる特定の成分が関係しており、紅茶・プーアル生茶等、お茶の種類は関係有りません。つまり、原因は、使用されている原料にあります。特定の原料から作られたお茶は、紅茶・プーアル生茶に関係無く、強い渋味を呈し、同時にお腹を痛くします。
1番茶は何に加工しようと渋味が無く、胃に対しても全く不快感を与えません。2番茶は多少渋味がありますが、それなりに美味しく飲めます。ただ、それ以降に収穫されたお茶になると、渋味が増し、ストレートでは飲みにくいお茶になります。夏場に摘まれるダージリンセカンドフラッシュが非常に渋いのも同様の理由からです。これは例えるなら山菜と同じです。タラの芽、ウドやフキは春は美味しいですが、夏に同じものを食べたら、えぐみ、渋味、苦味が強くとても食べられたものではありません。紅茶やプーアル生茶は1番茶だけのみならず、春の終わり〜夏にかけて摘まれたお茶が原料として使われます。
中国の場合、1番茶と2番茶以降では値段が大分異なります。春の1番茶は非常に限られており、値段も高く入手も困難です。季節が進むにつれて、気候が暖かくなり、お茶の成長が早く大きくなるため、一本の木あたりの収穫量も増えます。プーアル生茶や紅茶の場合、有名産地に関しては年間に6〜10回くらい収穫が行われます。つまり、現実的に世の中に流通しているお茶の9割以上はは、春の2番茶〜秋摘み茶で構成されております。つまり、紅茶やプーアル生茶が渋いと感じる理由は、普通に手に入るお茶の殆どが夏場に摘まれたお茶だからです。1番茶から作られた紅茶やプーアル茶は、品質の善し悪しはあっても、全く渋味を呈すことはなく、また、胃にも優しいと断言できます。
渋味の原因
夏場に摘まれたお茶を飲むと胃が痛くなるということは、「夏場にのみ含有量が増す成分」が犯人と仮定することが出来ます。
夏に特徴的に増加するお茶の成分を調べました。山西貞著、裳華房出版「お茶の科学」P22によると、夏に向かうにしたがってエピガロカテキンガレート(EGCg)の含有量が急激に上昇することが記されております。
B Schwarz, T Hofmann – European Food Research and Technology, October 2008, 227(英語論文)によるとエピガロカテキンガレートというポリフェノールの一種は突出して強くタンパク質と結合する性質を有しており、それが渋味や胃の不快感の原因として考察されております。
また、Susanne Scharbert , Nadine Holzmann , and Thomas Hofmann, J. Agric. Food Chem., 2004, 52 (11), pp 3498–3508(英語論文)ではセンサリーテストによって渋味の原因となる物質の同定を行っております。以下の表の数字が小さいほど、少量でも味に対する影響が大きいことを意味しております。渋味(astringency)に関しては、エピガロカテキンガレート(上から6番目)が最も低い数字を示しており、この事からエピガロカテキンガレートが渋味の原因と考察することが出来ます。
渋味や胃の不快感を示すメカニズム
人の口腔内や胃の内面はタンパク質で作られております。エピガロカテキンガレートが多く含まれるお茶を飲むと、口腔内や胃のタンパク質と結合します。その結果、口では不快な渋味、同時に胃が収斂するような苦しい症状が現れるのです。
ミルクをいれると、胃に多少優しくなるのは、エピガロカテキンガレートが乳タンパクと結合することで胃や口腔と反応しなくなるためです。
結論として、紅茶やプーアル生茶が渋いのはその製法とは全く関係無く、使われている原料に起因します。春の1番茶で作られたお茶を探すことで、渋味や胃痛などの不快な経験から卒業することが出来ます。HOJOの紅茶やプーアル茶のラインアップのうち「オータムティ」「2nd フラッシュ]の記載がない物は全て春の1番茶から作られております。これらのお茶は空きっ腹でもぜんぜん平気な上、どのような淹れ方をしても、渋くなったり胃が深いに感じられることはありません。
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