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知れば納得!お茶摘み時期と品質の関係
お茶のシーズンが始まると、春一番最初に市場に出てくるお茶は非常に高値で取引されます。
日本に限らず、中国緑茶やダージリンでも同じような傾向が観察されます。
お茶愛好家や茶商の中には早摘み=正義と捉える「早摘み原理主義」の人々がおります。
実際のところ、早くに摘まれるお茶は質が優れているのでしょうか?
春は標高の低い茶園から訪れる
基本、標高と春の到来は、反比例関係にあります。
標高が高い程、春が訪れるのは遅く、逆に、標高が低い土地は春の到来が早いのです。
桜の花を想像してみてください。同じ地域でも、標高が低い地域から桜は咲き始め、標高が高い地域での開花はかなり後です。
山菜なども全く同じで、同じタラの芽やコシアブラでも、標高の低い地域から収穫が始まります。
私が現在いる長野県では、標高500m位と標高800mでは、山菜の収穫期に1ヶ月近くの開きがあります。
お茶も全く同じで、先にお茶摘み時期を迎えるのは、標高の低い茶園です。
標高が高いと、昼夜の寒暖差が大きいため、お茶がゆっくりと成長し、細胞密度の高いお茶になります。
標高と品質の関係について、詳しくは以下のコラムをお読みください。
https://hojotea.com/jp/posts-1172/
標高以外の成長に影響する要素
また、お茶は肥料を多く与えたほうが成長が早く、収穫期も早くなります。
例えば、無肥料栽培の茶園は、肥料栽培の茶園よりも2週間くらい収穫が遅くなる傾向があります。
樹齢に感しても、お茶の成長に影響をします。茶樹が若いほど成長が早く、樹齢が高くなるほど成長は遅く、茶摘み時期は遅くなります。
早く成長したお茶は、旨味成分が多い反面、後味、余韻と言う点で軽くなります。
果物も野菜も同じですが、ゆっくりと時間をかけて成長するほど、味が良く、香りも濃厚になります。
ダージリンティのDJ番号と標高の関係
ダージリンの大手茶園では、収穫ロットごとにDJ番号という通しのロット番号が付与されます。この番号はインドのTea Boardでも管理されており、お茶を仕入れる際は、DJ番号を見れば、作られた順番が分かります。
一般的に、DJ1〜DJ5位の番号のお茶は、早摘みと言うことでプレミア価格が付き、非常に高い値段で取引される傾向があります。(DJ1〜DJ5とは、つまり、春のお茶シーズンが始まってから1番から5番目に作られたロットという意味です。)
早く摘まれたお茶=良い品質と考えるお茶会社は高い値段を出してでも若いDJ番号のお茶を仕入れたがります。
近年、ファーストフラッシュにおけるDJ番号はマーケティングツールと化している傾向があり、一部では、DJ番号がブランドと化しているのが実情です。
DJ番号が若いという事は、春の最初に摘まれたお茶ということで、プレミア価格が付いているわけですが、上でも説明したように、シーズン早くに摘まれたお茶は、当然、標高の低い茶園産です。
ダージリンの場合、各有名茶園は、巨大な山であるため、同じ茶園でも標高数百メートルから、標高2000mに至るまで茶園が広がっております。
このため、若いDJ番号は同じ茶園でも基本低地のセクションのお茶となります。
当然、高い標高で作られたお茶はかなり後のDJ番号になります。
早摘みが大人気の龍井茶
中国茶で、早摘みに高値が付くお茶と言えば、緑茶であり、その代表格が龍井茶です。
龍井茶は中国に春を告げるお茶として、杭州や上海で非常に人気があるお茶です。
中国であっても、早摘み=高品質と考える人々は多く、早期に摘まれたお茶は非常に高値で取引されます。
しかし、龍井茶の場合も、早い時期のお茶は基本標高の低い茶園産です。
更に、早摘みの龍井茶の多くは龍井43号という品種から作られております。
この品種は品種改良により、成長が早く、春の早い時期に収穫が行われます。つまり、日本で言うところの早生品種です。
龍井43号から作られた龍井茶は、香りこそ良いものの、味が軽い点が特徴です。いわゆる、あっさり、サッパリ系の味です。
一般に高品質の龍井は、日本で言う在来種、つまり、種から撒かれた「実生のお茶」から作られます。
更に、樹齢が高く、無肥料、標高の高い茶園ほど、ゆっくり成長することで素材の質が良いとされております。
因みに、龍井茶は明前茶が良いとされますが、実はこれはマーケティングに過ぎません。実際、標高が高い茶園産の実生のお茶は、清明節ちょい後くらいに収穫されます。明前茶の多くは龍井43号や低地のお茶です。
早摘みのお茶は同じ1芽2葉でも芽の比率が高い
春の早い時期は、お茶の葉が小さく、その結果、同じ1芽3葉の一番茶を比較しても、芽の比率が高いという特徴があります。
芽の比率が高いと、滑らかでクリーミーな口当たりとなり、また、テアニンというアミノ酸(旨味成分)の含有量が増えます。
旨味=美味しさと言うことではなく、昆布出汁のようなアミノ酸の味を指します。
お茶の造詣が深くなるにつれ、お茶の美味しさは、後味、コク、余韻などに代表される素材の味と体感的に理解するようになります。この為、中国における紅茶や烏龍茶、プーアル茶の値段は、後味(余韻)の強さに比例して高くなります。
しかし、後味の強弱ではなく、芽由来のクリーミーな舌触りと旨味に価値を感じる人達もおり、それが早摘み茶の需要を高めている理由です。
例えるなら、タラの芽のような山菜の品質を語るとき
① 味の濃さを求め、標高、木の樹齢にこだわる
② クリーミーな味わいを求め、葉が芽吹く前の小さい芽を摘む
以上の2つは全く「品質のものさし」が異なっております。
HOJOでは、後味や余韻の長さなど、素材の味に重きを置いているため、①に重点を置いてお茶選びをしております。
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