中国茶器市場に突如現れた日本風の茶器

[2017.10.03] Written By

過去数年間、各種メデイアで中国人観光客の爆買いが盛んに報道されておりましたが、時同じくして日本の茶器、特に鉄瓶や手作り急須を中国に持ち帰った観光客の影響もあってか、中国は日本の茶器が売れに売れておりました。しかし、1年位前から、中国の茶器市場では急速に変化が起きております。中国で日本の茶器風の手作り茶器が製作され販売され始めました。しかも、デザインも質も非常に洗練されており、商品によっては日本より高い値段で売られており、もはや模倣の域を脱してると率直に感じました。

数年間の中国茶器特需

中国における茶器のブームは南部鉄瓶から始まり、その後、常滑焼、萬古焼、更には新潟の槌起銅器なども中国に輸出されておりました。日本の手作り急須や鉄瓶は中国で数倍の値段で売られており、それが頻繁に話題に上りました。まさに茶器バブルに沸いたここ数年でした。しかし、私の観察、急須の卸関係者の話しを聞く限り、昨年くらいから、中国における日本の茶器特需は収束しつつあるようです。

中国の茶器卸市場で見た銀瓶を初め、槌器銅器。産地は不明ですが、流通に乗っているところを見ると、おそらく中国製ではないかと思います。

流行の変化が非常に速い中国茶器市場

私はマレーシアの直営店舗で販売するための商品の仕入れと視察を兼ねて、中国の茶器卸市場を毎年訪問しております。日本の茶器売り場は1年間訪問しなくても、売られている商品の内容、売れ筋商品などはそう大きく変化がないのに対し、中国の茶器市場は一年訪問しないだけで、商品のトレンドや売れ筋などが劇的に変化します。例えば、昨年仕入れ、店で非常に人気があった場合、仕入れをリピートしたいと思うわけですが、同じモデルが翌年まで継続されることは殆ど無く、毎年同じものを仕入れることはほぼ不可能です。中国の場合、流行・嗜好の変化に非常に敏感で、まるでファッション業界のような速さで流行が変化します。台湾の茶芸トレンドも中国茶器業界では積極的に取り入れており、過去数年は台湾茶芸スタイルを模倣した商品も多く見られました。

天目茶碗:最初は台湾で流行しておりましたが近年では中国でも作られるようになりました。

中国では日本のスタイルを踏襲しつつ非常に質の高い茶器が流通

今年、中国茶器卸市場を訪問したところ、日本の茶器のスタイルを踏襲した茶器が大量に並んでおり驚きました。去年までも日本風の茶器はありましたが、明らかに中国製と分かる質の低い鉄瓶がある程度でした。しかし、今年になると状況が変わっておりました。中国の売り場には日本の茶器のスタイルを踏襲する多種類の急須、槌器の茶筒、槌器銅器や銀器が並んでおりました。更に、その内容に驚きました。急須などは、非常に形がよく、また、作りも非常に丁寧で精巧でした。更に、商品によっては、日本円で数万円で売られているものもあり、もはや模倣の域を超越していると感じました。宜興の茶壺製作で鍛えられた陶芸家が作っているだけに、デザインはシンプル且つ、魅力があり、また、お客さんの好みを良くとられていると思いました。

銀製の茶筒:極めて精巧に作られており蓋がゆっくりとおりてゆく様に感嘆しました。

茶器のグローバル化

前述したように、中国では売れている商品のトレンドを掴み、それを自分たちの商売に反映させるスパンが非常に速いです。これは茶器だけでなく、お茶に関しても言えることで、数年スパンで新しいお茶が開発され、作られるお茶も急速に変化しております。中国というと安かろう悪かろうというイメージがあるかもしれませんが、このイメージを全てに当てはめるのは間違いです。中国茶や景徳鎮の磁器、宜興の茶壺に代表されるように、中国製の商品でも質の高い物は非常に高く、それを作る為の労力を惜しみません。特に近年は、経済的に豊になったことで、同国内でも質を求める人が増え、日本風の茶器も中途半端に安物を作るのではなく、明らかに品質勝負の質の高い商品を作ろうとしています。今後、中国製の「急須」を初め、日本風の茶器が更に増えてくる事が予想され、同時に 中国における日本製の茶器バブルは終焉を迎えると予想されます。今後茶器に関してもグローバル化が起ころうとしていることを予感させられました。私も日本製の茶器を世界に紹介している1人として、Made in Japanという事実だけではなく、道具としての高い機能と、独自性を追求し続ける事の大切さをあらためて認識しました。

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