急須のサイズと湯の温度の関係

[2017.11.22] Written By

急須のサイズは色々有りますが、大きさによって冷える速度が違うことをご存じでしょうか?

急須の体積が小さくなるにつれて温度は下がりやすくなる

これは体積に対する表面積の割合(比表面積)は体積が大きくなるほど小さくなるという法則がゆえです。急須のサイズが小さくなるほどに急須内面の表面積比が増えるため、その結果、より水が急須の内面と接地する面積が増え、それによって温度が下がりやすくなります。つまり、小さな容積の急須は湯の温度が下がりやすく、逆に大きな急須になればなるほど、お湯の温度が下がりにくくなります。

初心者には大型の急須がお勧め

慣行栽培の日本茶は苦味が強いため、苦味の原因であるカフェインが抽出されにくいとされる80℃以下まで湯の温度を冷やしてからいれる方法が一般的に紹介されております。但し、烏龍茶茶、紅茶を初め、低肥料、無肥料栽培のお茶は、もともと苦味が少なく、温度を下げてお茶をいれる必要がありません。逆に、お茶の味香りを安定化させ、茶葉内に多く含まれるポリフェノールや香気成分をより効率的に抽出するために、出来るだけ高い温度でいれることが重要になります。高い温度でいれると言っても、意外に簡単ではなく、茶器を加熱したり、茶葉に湯通しして加熱するなど様々な淹れ方のテクニックが求められます。このような事情から、初心者には大型の急須がお勧めです。前述したとおり、大型の急須は湯の温度が下がりにくいため、お茶をいれるのに不慣れでも湯の温度が高く維持され、無意識にお茶が美味しくはいります。もちろん、小さな急須も適切な技術を習得すれば非常に簡便な道具です。
https://hojotea.com/jp/posts-1029/

急須のサイズと温度低下の関係を実験

上のビデオは同じ素材(佐渡島の秋津無名異急須 酸化焼成)の異なる容積の急須に沸騰水を注ぎ入れ、1分間静置した後の温度を比較した実験です。右から体積が100ml, 140ml, 300mlの順番です。小型の急須と大型の急須では6℃の開きがありました。
沸騰した湯をそれぞれの急須に注ぎ、一分後に温度を計測しました。注ぎ出す瞬間に一瞬温度が冷えるため、最初、少量の湯を捨ててから注ぎ始めました。尚、実験に用いた急須は予熱しておりません。

100ml 79℃
140ml 83℃
300ml 85℃

実験を行った部屋は暖房が効いており非常に暖かい環境でした。寒い室内で同じ実験を行った場合、温度は更に10℃以上下がると思われます。急須や茶葉の予熱を行わない場合、思っている以上に温度が下がりやすい事を理解しておく必要があります。

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