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緑の濃いお茶は品質が良い!は先入観
- [2017.11.30] Written By 北城 彰(Akira Hojo)
お茶や野菜に関して、緑色が濃い方が健康に良いというイメージがあります。
しかしながら、緑=高品質というのは先入観であり、必ずしもそうではない事を説明したいと思います。
自然の草木は緑ではなく黄緑色
春の自然の草原や土手草を観察すると、天然の植物は意外に黄緑色をしていることに気がつきます。反面、畑の野菜は濃厚な緑色をしており、遠くから見ても畑の輪郭がはっきりとしております。野原の草に肥料を投下するとそれまで黄緑色だった草木は、濃い緑色へと変化し、肥料が撒かれた部分のみ突出して大きく成長します。観葉植物なども肥料を与えないと黄緑色へと変化し、逆に肥料を与えると濃い緑色へと変化します。
無肥料栽培のお茶は茶葉が小さく黄緑色
お茶についても同じ現象を観察することができます。雲南省僻地の山村へ行くと、未だに昔ながらの方法でお茶の木が維持されております。彼ら小数民にとって、お茶は手をかけるものではなく、山で自然に生育しているもので、お茶の摘みの季節のみ下草を刈りお茶摘みをします。一年中、農薬は勿論、肥料も与えず、草も刈らず、ただ放置しておくだけの農法(農業と言えるのかどうかは微妙)が採られております。このような農法を日本では自然栽培茶、中国では野放茶や生態茶と呼びます。このような農法で作られたお茶は、茶葉が小さく、黄緑色をしております。雲南省で数百年前からこのような農業のスタイルが採られておりますが、最近ではこのような茶園は非常に減りつつ有ります。産地が有名になると、観光客の増加に伴いお茶の値段が高騰し、その結果、農家では生産量を高めて収入を増やすために、肥料を施肥するようになります。肥料が入ると、茶葉は深い緑色へと変化し、同時に茶葉のサイズは大きくなり、成長速度が速くなることから収穫量も数倍に増加します。
肥料を使わず、手入れすらしない自然放置方式の茶園
自然栽培のホウレン草は黄緑色
自然栽培のホウレン草を見た事は有りますでしょうか?ホウレン草というと、深い緑色が印象深いですが、窒素肥料を用いずに栽培されたホウレン草は、意外にも黄緑色をしております。勿論、肥料の使用をやめてから7-8年以上経過し、肥料が完全に抜けきった畑で作られたホウレン草をさしております。自然栽培のホウレン草に関しては紹介できる写真はありませんが、Googleなどで「ホウレン草」+「自然栽培」、或いは「ホウレン草」+「無肥料」で検索するといろんなイメージが出てきます。自然栽培のホウレン草は見た目が黄色っぽいために敬遠されやすいそうですが、食べると味がとても濃く、余韻が甘く、一度食べたら忘れられません。
生長している植物は濃い緑色
自然界の植物は基本窒素が慢性的に不足しているため、窒素肥料が加えられると、急速に窒素を吸収しようとします。植物は窒素を吸収すると急速に成長しようとします。その結果、葉緑素(クロロフィル)を合成し、植物工場である光合成を活発に行います。こうして、窒素を吸った植物は非常に濃い緑色へと変化し、また、より効率的に光を吸収するために葉の面積が広くなります。
下の写真は数年前まで自然栽培茶園だったところが、産地の知名度の上昇に伴い、急激に肥料栽培に変わった栽培地の写真です。上の自然栽培茶園と比べると、お茶の葉が大きく、色が濃く、表面に凹凸が沢山見られます。植物は葉の凹凸を設けることで表面積を増やし、光を吸収しやすくしていると考えております。
早い成長は味を薄くする
成長が早い農作物の場合、当然味については薄くなります。短期間で成長する養殖の魚と同じで、早く成長したお茶の味は薄くなります。時間をかけてゆっくりと成長したお茶は茶葉もしっかりしており、また、非常に濃厚な味わいがします。高山のお茶や老木のお茶が美味しいのも、この成長速度と関係しております。私はお茶を探す際、可能な限りゆっくり成長しているお茶を求めます。無肥料、無剪定、高山、老木、緯度がより北、土壌が粘土質などの成長が遅くなる条件が重なると、お茶の品質は感動するほどに良い物になります。
肥料を用いずに作られたお茶は、全体に黄色の傾向があります。
葉緑素に含まれるマグネシウムは渋味に影響する
緑色の色素である葉緑素(クロロフィル)は窒素の他にマグネシウムを分子内に含有しております。マグネシウムは非常に渋苦い金属です。例えば、素材にマグネシウムを多く含む急須でいれたお茶は美味しくありません。また、マグネシウムが水に触れると、水は渋苦く、極めて不快な味へと変化します。前述したように、肥料栽培によって、作られたお茶は葉緑素を多く含みます。加工工程でお茶の葉緑素が酸化すると、分子が壊れ、内部に含まれていたマグネシウムが離脱します。これは私の仮説ですが、微妙に酸化した慣行栽培(肥料栽培)の緑茶が非常に渋苦いのは、葉緑素が酸化分解することで、離脱したマグネシウムイオンが味に影響しているためと思われます。
まとめると、緑色は勢いよく生長している植物の証です。後味(余韻・味の濃さ・コク)を求めた場合、緑ではなく、むしろ茶葉が黄緑色であることが重要になります。ただ、例外もあり、日陰で栽培されるお茶は仮に自然栽培茶でも非常に濃い緑色へと変化します。もともと太陽光が少ない環境ゆえに、植物はより多くの葉緑素を合成し、通常よりも効率的に日光を吸収しようとするためです。上の写真は自然栽培ですが日陰に植えられたお茶です。
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