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- お茶の品質を決める各種要素
日当たりの優劣とお茶の味香りの関係
- [2018.06.30] Written By 北城 彰(Akira Hojo)
同じ無肥料の自然栽培茶であっても、日陰や森の中で作られたお茶と日が良くあたる場所で作られたお茶は香りや味に大きな違い出ます。ただし、お茶の栽培環境による特徴を引き出すには製法も非常に重要だと言う点をあわせて説明したいと思います。
栽培環境毎の違いを理解するためには産地でのバッチ管理が必要
お茶の栽培環境毎の特徴を出したいと思った場合、お茶を茶園毎、木毎等のくくりで厳密にバッチ管理をする必要があります。
普通に生産者からお茶を仕入れた場合、その多くが複数の茶園から構成されております。一般にお茶を作るときには、必要とするお茶の重量の4倍の生茶葉が必要とされます。例えば、100kgのお茶を作るためには400kgの原料茶葉が必要になります。仮に100kgのお茶を作る場合、1つの茶園ではまかなえないことが大半です。お茶は一斉に成長するため、2-3日で400kgを集める必要があり、その為には同時進行で複数の茶園のお茶を摘む必要があります。
このような状況から、多くの商品は地域は同じでも複数の茶園産のお茶が混合されております。
それに対して、私達はここ数年、特定の茶園単位、特定の木単位でお茶を分類し、製茶を行ってきました。この結果、お茶の生育環境がどう味香りに影響するのか明確に理解できるようになりました。
加える熱が少ないほどお茶は個性的に
お茶は収穫したての生茶葉の段階で香りを嗅ぐと、それぞれのバッチ毎の個性が非常に顕著に現れており、特徴をはっきりと感じ取ることが出来ます。ただし、その後の製茶工程で高い温度が加わると、お茶の香気成分が蒸発または酸化し、それぞれの特徴が出にくくなります。例えば、プーアル茶を作る際に、釜炒り温度が高すぎた場合、香りが弱く、透明感が出る反面、どのお茶の香りも同じようになります。逆に、低い温度で釜炒りをするとプーアル茶であってもそれぞれ特徴のある香りに仕上がります。紅茶の場合、酵素発酵を止めるために、発酵後に100℃以上の温度で加熱します。しかしながら、水分が蒸発した後も加熱し続けると過度に熱がかかり、甘露飴のような甘い香りになる反面、花の香りや、蜜香などの特徴が失われます。同様に、緑茶は殺青を行う際に非常に高い温度で蒸青または釜炒りされるため、各種お茶の中では最もお茶の個性が出にくいお茶と言えます。
日陰と日向のお茶の違いを比較する上では、、熱を使わないか、熱の使用を最小限に抑えた製茶方法が適しております。私の経験上最も適しているのが白茶と紅茶です。

ただし、紅茶に関しては前述したとおり、発酵止めのための加熱条件を慎重に管理する必要があります。熱を加えすぎた紅茶は、特徴のない甘いだけの香りになります。
華やかな香りの日向のお茶と後味が強く穏やかな香りの日陰のお茶
日が良く当たる場所で作られたお茶は、非常に香りが華やかで、特に自然栽培茶を白茶や紅茶に加工した場合、マスカットを連想するような強い蜜香を初め、花やフルーツの香りがし、非常に甘い香りのインパクトが強いお茶になります。
それに対して、日陰のお茶から作られた白茶は、木の樹齢や品種に関係無く、香りが穏やかで、どちらかというと新芽、草木、花系、柑橘系の香りがし、マスカットのような華やかな香りは全くしません。これは何処の茶園産のお茶でも共通して見られる特徴で、香りに華やかさを求めた場合、日当たりの良い場所のお茶の木が適しております。逆に、日当たりの悪い土地のお茶の木は、香りが弱くなりがちゆえ、白茶の場合、萎凋を長めに行ったり、紅茶の場合、発酵を強めに行う等、加工における香りを高める工夫が必要になります。同じ樹齢で、同じ地域、同じ標高、同じ栽培方法のお茶の木で、日陰と日向で味を比較した場合、余韻が長く、後味が濃いのは日陰のお茶です。日陰のお茶は成長が遅く、日向のお茶よりも2週間くらい遅れて茶摘み時期を迎えます。余韻が長く味が濃くなるのは、時間をかけてゆっくりと成長するためかと思われます。
日当たりが良い場所のお茶も悪い場所のお茶もそれぞれに特徴があり、優劣付けがたいように思います。
日陰の茶園(上)と日陰の茶葉(下)
日向の茶園(下)
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