ゴールデンチップを多く含む紅茶は本当に美味しい?プロおすすめの紅茶の選び方

[2018.04.06] Written By

紅茶に含まれる金色の芽のことをゴールデンチップと呼びます。「ゴールデンチップが多いから稀少」、「ゴールデンチップが多いから質が良い」という話しを聞いたことがあると思いますが、果たしてそれは本当でしょうか?ゴールデンチップについてのノウハウを少し掘り下げて説明したいと思います。

ゴールデンチップは芽に付着したテアフラビンの色

ゴールデンチップはお茶の芽の部分です。お茶の芽は白い産毛に覆われております。紅茶の場合、お茶を揉んだ際に、この白い産毛にお茶の液が付着し、それが発酵することで黄(金)色に変色します。紅茶の発酵は茶葉に含まれる酵素が媒介することで、お茶のポリフェノールが酸化され、テアフラビンと言う黄色の物質に変化します。紅茶の色は一見赤や茶色に見えますが、テアフラビンは黄色の色素です。黄色は濃縮すると紅茶の様な濃い色になります。
但し、製茶に失敗した紅茶は茶色をしております。テアフラビンが更に酸化してテアルビジンと呼ばれるタンニンが形成されるためです。

お茶の芽は強く揉まずに白茶や緑茶に加工すると上の写真の様に白い産毛に覆われたお茶に仕上がります。

ゴールデンチップの割合は茶摘み規準と収穫シーズンが影響

ゴールデンチップの割合はお茶の摘み方とお茶摘みのシーズンで決まります。

紅茶の摘み方は色々あり、単芽、1芯1葉、1芯2葉, 1芯3-4葉と様々です。

全体に占める芽の比率が高いほど、紅茶に加工した際、金色のゴールデンチップが多く見えます。例えば、芽のみを収穫する単芽の場合、茶葉全体が金色に見えます。逆に葉の比率が増えると、黒い色の比率が増えます。

1芯1葉の生茶(上)、下は上の原料から作られた紅茶(雲南古樹紅茶)

 

同じ茶園産の場合ゴールデンチップが多いほど値段は高い

海外産の紅茶の殆どは手で摘まれるため、お茶の値段はお茶摘みの効率で決まります。単芽は非常に小さく1日摘んでも500g程度しか集められません。(500gを製茶したら水分が減少することで1/4になります。)逆に葉の比率が多いほど、お茶摘み効率は上がるため、生茶原料の価格は安くなります。つまり、同じ産地の同じ生産者によって作られたお茶の場合、ゴールデンチップが多いほど値段が高くなります。但し、お茶の価値は茶摘み規準だけでは決まりません。例えば、低地で肥料栽培されたようなお茶の場合、仮にゴールデンチップが多く含まれていても比較的安価になります。逆に、標高の高い茶園の良質な原料になると、ゴールデンチップが殆ど含まれて無くても高い値段が付きます。ゴールデンチップが多い方が高いという法則はあくまで同じ条件のお茶を比較した場合です。

単芽の茶葉原料(上)とそれから作られた紅茶(金芽)

ゴールデンチップが多いほど品質が良いとは限らない

ゴールデンチップが多く含まれるお茶は値段が高いという話しをしましたが、ゴールデンチップが多いほど品質が良いとは一概に言えません。ゴールデンチップ(芽)にはアミノ酸が多く含まれ、味が滑らかに感じられます。逆に香りに寄与するポリフェノールは葉に多く含まれます。烏龍茶などのような香りを求めるお茶が1芯3-4葉で摘まれるのはこの為です。つまり、同じ茶園で摘まれた1番茶を比較した場合、ゴールデンチップの多いお茶ほど口に含んだときにお茶が滑らかで優しく感じられ、逆にゴールデンチップの割合が低いお茶の方が強い香りがします。私の経験上、ゴールデンチップが多いほどミルクティに向くように思います。その点、単芽から作られた金芽紅茶や1芯1葉のお茶はミルクとの相性がよいです。香りもあり、滑らかさも欲しい場合、1芯2葉が両方を満たします。紅茶の場合、1芯2葉の茶摘み規準が一般的なのはその為です。

1芯2葉の茶葉(上)と紅茶(下)

ゴールデンチップが多い方が質が良い例外

尚、1つ例外があります。海外のお茶の場合、春に1度摘まれるだけではなく、有名産地になると年間10回くらい摘まれます。春や秋の終わりの寒い時期はお茶の成長が遅く、同じ1芯2葉でも、葉が小さく、茎が短くなり、結果的に芽の比率が高くなるのに対し、夏に近づくにつれて、温度が上がり、雨が豊富になるため、お茶は勢いよく成長し、芽の比率が小さくなります。この場合、同じように1芯2葉で摘まれたお茶でも、春の一番茶が最もゴールデンチップの割合が高く、遅摘みになるほどにゴールデンチップの割合が少なくなります。例えば春の1番茶の方が2番茶よりも顕著にゴールデンチップを多く含んでおります。このようにお茶摘みのタイミングの違いによって生じるゴールデンチップの量の差に関しては、品質に影響します。

日本茶(緑茶)、中国紅茶、白茶、プーアル熟茶、プーアル生茶、ジャスミン茶、烏龍茶という厳選された茶葉7種のお試しセット

この記事に関連するHOJO Teaの商品


関連記事 RELATED ARTICLES

お茶に関する最新情報を確実にキャッチするには? SOCIAL NETWORK

1,Twitterをフォローする。2,FaceBookで「いいね!」を押す。3,メールマガジンに登録する。という3つの方法で、お茶に関する最新情報をキャッチすることができます。今すぐ下のツイッターフォローボタンや「いいね!」をクリック!

メールマガジン登録で無料サンプルをもらおう!
メールマガジンにご登録いただくと無料のサンプル茶葉のプレゼントや希少商品の先行購入など様々な特典がございます。ソーシャルメディアの購読だけでなく、メールマガジンへのご登録もお忘れなく!

HOJO TEAオンラインショップNEWS一覧を見る

東洞庭山産、無農薬無肥料の碧螺春を発売
碧螺春(Biluochun)は中国を代表する緑茶の一つで、その優れた品質と独特の風味で有名です。HOJOでは、無肥料無農薬栽培による、余韻の長い碧螺春をお届けします。 https://hojotea.com/item/g …
マレーシアで8年熟成の白鶯山古樹白茶2017を発売:トロピカルフルーツの香り
白鶯山古樹白茶2017を再度発売しました。同じ名称の商品をこれまでも販売しておりましたが、以前販売していたロットの商品は日本で熟成したお茶でした。今回発売する商品は8年間マレーシアで熟成をしたお茶になります。マレーシアの …

最新の記事 NEW ARTICLES

単株茶を含む2022年産の鳳凰単叢老欉を3種類発売
単株を含む、鳳凰単叢の老欉を3種発売しました。今回発売したお茶は以下の三種類です。何れも標高1200mの茶園産の茶葉原料から作られており、濃厚な香りと深い後味がする素晴らしいお茶です。 鳳凰単叢老欉夜来香 2022 鳳凰 …
東洞庭山産、無農薬無肥料の碧螺春を発売
碧螺春(Biluochun)は中国を代表する緑茶の一つで、その優れた品質と独特の風味で有名です。HOJOでは、無肥料無農薬栽培による、余韻の長い碧螺春をお届けします。 https://hojotea.com/item/g …
マレーシアで8年熟成の白鶯山古樹白茶2017を発売:トロピカルフルーツの香り
白鶯山古樹白茶2017を再度発売しました。同じ名称の商品をこれまでも販売しておりましたが、以前販売していたロットの商品は日本で熟成したお茶でした。今回発売する商品は8年間マレーシアで熟成をしたお茶になります。マレーシアの …
雲南省の稀少茶、大雪山野生白茶2024を発売
大雪山野生白茶2024の散茶を発売しました。 このお茶は、私達が実際に現地雲南省の産地に滞在し、現地で生産管理しながら作り上げたお茶です。 雲南省における野生茶の定義 これまで何度も説明しておりますが、雲南省 の人々は例 …
HOJO独自の新製法で実現した香り高い紅茶:雲南での挑戦
雲南省に1.5ヶ月滞在した期間中、良質な白茶やプーアル茶の生産はもちろん重要な課題でしたが、今回の大きな目標は、小ロット生産にも対応した新しい紅茶の生産方法を開発することでした。 一般的に雲南紅茶といえば、当店のラインア …
2024年の雲南省お茶シーズン:予想外の気温と収穫の混乱
長い雲南省の仕入れを終え、現在マレーシアのクアラルンプールに滞在しております。輸入したお茶の評価や海外用のお茶の発送など細かな手配が必要なため、クアラルンプールの会社に来月まで滞在予定です。 今年はシーズンの最初である3 …
2024年の白茶:理想的な天気と現地滞在で品質は上々
私たちが雲南省で力を入れているお茶の一つは白茶です。白茶は昔から、福建省と雲南省で作られてきました。 福建省の白茶は製茶はよく管理されている反面、慣行農園方式で肥料を用いた農業をしているため、原料の質に関して、私は満足で …
雲南のおもてなし文化:食事に込められた思い
中国では、挨拶代わりに「你吃饭了吗?」、つまり、「ご飯食べた?」と言うのが一般的ですが、雲南省にいると、色んな局面で、「吃饭」「吃饭」、ご飯食べていきなさいと言われます。ただ、長く雲南省に携わると、これらのご飯への誘いは …
野生茶を求め雲南省臨滄市南西部の山村へ
現在、雲南省臨滄市の南西部にてお茶の仕入を行っております。 当店にとって重要な商品の1つに野生茶があります。野生茶は製茶はもちろんですが、原料確保が一番大きな課題です。 今回、新たに野生茶が有る場所があるらしいと言う情報 …
雲南省のお茶産地にてプーアル茶、白茶、紅茶の生産
3月24日から中国の雲南省臨滄市の南西部、永德、鎮康県にてお茶の仕入れ、生産を行っております。 雲南省は世界一と言っても過言で無い極上の原料がある反面、生産に対する管理が甘いため、出来合のお茶を仕入れたのでは、理想とする …

PAGETOP