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知ってますか?同じお茶の木でも摘む部位により味が異なる事
- [2020.08.28] Written By 北城 彰(Akira Hojo)
お茶の葉の味は同じ木ならどれも同じだと思いますか?お茶の味は、同じ木から収穫しても、部位によって味が全く異なると言う話をしたいと思います。
同じお茶の木でも摘む部位の違いによる味の違い
日本の茶園は、枝刈りをすることで盆栽のように枝を短く刈り込んでいるため、また、機械を使っで一定の高さで刈り込むため、収穫部位の違いによる味の違いに気がつきにくいのが実情です。
しかし、中国の場合、手で摘むことが殆どであり、この為、茶園の木は日本の様に綺麗に刈り込まれていることはありません。
特に、鳳凰単叢やプーアル茶の産地へ行くと、お茶の木の枝刈りをせず、リンゴの木や柿の木のように1本の灌木スタイルでお茶が作られております。このような仕立て方のお茶を中国語では喬木と呼びます。(以下写真参照)
このような木の場合、同じ木であっても、お茶の葉は摘む場所によって味が異なります。決して、プロにしか分からないような僅かな違いではありません。実際に比較してみると誰でも分かるレベルの劇的な違いがあります。
お茶だけでなく果物においても、1本の木でも、収穫部位が異なると味が異なります。例えばリンゴの木でも、木の上の方からリンゴを摘むのと、下枝の方からリンゴを摘むのでは味が異なります。
日当たり条件が同じだったとしても、枝の尖端と付け根では味が異なります。
尖端の頂芽と脇の側芽の味の違い
お茶の場合、最も味が良いのは枝の尖端に生えてくる茶葉です。
植物には頂芽といって枝の尖端の芽と、側芽と言って、枝の側部に生えてくる芽があります。
植物の場合、全部の芽が一斉に生長するのでは無く、頂芽優勢という仕組みがあり、頂芽の方が早くに成長し、1-2週間遅れて側芽がゆっくりと生えてきます。この頂芽優勢にはオーキシンという植物ホルモンが関わっております。
したがって、シーズン始めに茶園を訪れると、枝の尖端の茶葉は既に1芽2葉や1芽3葉に成長しているにもかかわらず、枝脇にある側芽は未だ小さな芽のままだったりします。
先端の芽は非常に味が濃く、甘みも強く、滑らかで、質が高いのに対して、側芽は味の濃さもやや薄くなり、味もさっぱりしております。
日本の茶園の場合、機械刈りを前提とした栽培方法がとられております。機械で刈るためには、お茶の芽が同じ速度で成長することが前提となります。このため、秋に枝を刈り込むことで、本来真っ先にすくすくと伸びる頂芽を刈り込み、それによって、側芽の枝の成長を促進させます。こうすることで、お茶の芽の成長速度をそろえております。
反面、頂芽が刈り込まれているお茶は、側芽のみで構成されており、喬木方式のお茶と比べると、どうしても味が軽くなります。
最初の一週間は頂芽から作られたお茶
頂芽の味がとても良いと言う事実を知ってしまうと、頂芽だけで作られたお茶を飲みたいと思いませんか?
実はHOJOでは多くのお茶(日本茶以外)に関して、頂芽を中心にお茶を仕入れております。その方法は実は単純で、シーズンの最初1週間に摘まれたお茶は基本頂芽のみです。なぜなら、頂芽優勢の仕組みにより、最初に成長するのは頂芽だからです。HOJOではお茶を仕入れる茶園が決まっております。したがって、茶園の茶摘み開始から一週間内に収穫されたお茶を購入すれば、その殆どは頂芽で構成されており、品質も突出しております。
最初のお茶摘みが完了して、更に一週間位すると、再び、同じ茶園でお茶摘みが行われます。この頃には頂芽の収穫は完全に終了し、代わり成長した側芽が摘まれます。ちなみに、この側芽は2番茶ではありません。頂芽も側芽も一番茶なのです。どちらも同じ一番茶ですが、頂芽と側芽では品質が変わってしまうという点が重要です。一番茶(頂芽および側芽)を摘み終わった後、1ヶ月ちょっとすると、再度お茶が芽を形成しますが。これを2番茶と呼びます。
茶摘み開始1週目、頂芽が一斉に成長しているお茶の木
雲南省の場合、同じ茶園産のお茶であれば、頂芽だろうと、側芽だろうと、同じような値段で取引されます。尚、生産者の方針によっては、お茶に加工後、頂芽中心のロットと、後から摘んだ側芽中心のロットをブレンドすることで品質を均質化する場合もあります。
一方、緑茶や烏龍茶などの生産地になると、地理的に市場との距離も近いことから、よりお茶の価値評価がシビアに行われ、頂芽から構成される最初のロットは、その後に摘まれる側芽よりも高値で販売される傾向があります。
お茶摘みが早ければ良いというわけではない
ここまで読まれた方は、早く摘まれたお茶ほど質が良いと思われるかと思います。しかしながら、そう単純な話でもありません。
お茶の場合、標高が高い茶園はお茶の成長が遅くなります。また、お茶の木の樹齢が高くなると成長が遅くなります。更に、無肥料の自然栽培茶も成長が遅くなります。これら3条件を有するお茶は非常に成長が遅く、最後の最後まで芽を出しません。ゆっくりと成長したお茶は、ミネラルが濃厚に含まれ、濃い後味と長い余韻の非常に高い品質を形成します。逆に、低標高、肥料大量施肥、樹齢の若いお茶は、成長速度が非常に速く、春の非常に早い時期にお茶が成長します。このため、発芽時期だけに着目した場合、遅くに発芽する茶園の方が品質は上です。
ただし、特定の茶園内での品質に着目した場合、発芽が始まってから、最初の一週間に摘まれたお茶は頂芽で構成されており、品質はより優れております。
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