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近年、多くの人々にとって、お茶を飲むということはペットボトル入りのお茶を飲むことが普通な今日この頃ですが、本コラムでは、ペットボトル入りお茶の特徴的な味に焦点を当ててみたいと思います。

酸化防止目的のビタミンCの添加

コンビニやスーパー、ドラッグストアなどを訪れると、さまざまな種類のペットボトル入りお茶が販売されています。一度、これらのお茶の添加物表示を一度ご覧ください。ごく僅かに例外の商品はありますが、殆どの商品にビタミンCが添加されています。ビタミンCを添加する目的ですが、メーカーのウェブサイトなどを見ると、「ペットボトル入り緑茶のビタミンCは、加熱によって失われたビタミンCを補うために添加されている」という説明がされています。

もちろん上記説明は間違いではありませんが、昔食品メーカーで食品開発に携わっていた私の経験上、実際には、ビタミンCの添加は酸化防止が主目的であると推測されます。ビタミンCはアスコルビン酸として知られ、強力な酸化防止剤です。お茶飲料は窒素充填を行ったとしても、色の褐変やポリフェノールの酸化による渋味の形成など、品質の劣化が進行します。酸化防止剤であるビタミンCは、酸化速度を劇的に遅らせることができるため、ビタミンCは緑茶飲料には必需品です。実際に、店頭で観察してみると、緑茶はもちろん、紅茶、麦茶、烏龍茶、そしてミルクティに至るまで、ビタミンCが添加されています。以下の資料には、市販の緑茶飲料のビタミンC含有量の測定値が掲載されていますので、興味がある方はご覧ください。

https://hijiyama-u.repo.nii.ac.jp/record/80/files/16.pdf

ビタミンC添加によって影響を受けるお茶の味

ビタミンCの添加が良いか悪いかという議論はさておき、注目すべき点は、多くの人が慣れているペットボトル入りお茶の味は、お茶の味にビタミンCの味が加わったものであるという点です。

上記のリンクの資料によれば、市販のペットボトル飲料の場合、平均して500mlの水に100〜150mgのビタミンCが含まれています。1gが1000mgなので、100mgはほんのわずかだと思われますか? しかし、実際にビタミンCを口にしてみればわかりますが、わずかな舐めただけでも非常に酸っぱい物質です。

実際、この量のビタミンCが味にどの程度影響するのかを実験するために、500mlの水に100mgのビタミンCを溶解してみました。興味深いことに、この量の添加でも水はわずかながら酸味を帯びます。それは僅かなものですが、酸味存在が認識できるレベルでした。

肥料の施肥をはじめとした、現代農業に準拠して栽培される慣行栽培の緑茶は、アミノ酸が多く、ポリフェノールが少ないため、まったりとした味わいが特徴であり、正直、ペットボトルの緑茶とは異なる味わいです。

しかし、ビタミンCを添加してみると、市販のペットボトル緑茶のような爽快で、すっきりとした味に変化します。ビタミンCが加わると、飲み終わった後に爽やかな酸味が口に残り、これがお茶の味をよりすっきりと爽やかなものに変えます。

ある意味、レモンティーに通じる味わいであり、この特徴によって一般的に好まれる側面もあります。おそらく、メーカー側もビタミンCによる味の変化をプラス要素として捉えているのでは無いでしょうか?

すっきりとした味がする肥料無施肥の自然栽培茶

興味深いのは、無肥料かつ無農薬で作られたお茶は、素材そのものが非常にすっきりとした味わいを持つという点です。無肥料栽培のお茶の成分を定量分析すると、ポリフェノールが慣行栽培のお茶よりも数倍多く含まれております。

私は、無肥料栽培のお茶がすっきりとした味わいを持つのは、高濃度のポリフェノールに由来すると考えていました。ただ、もしかすると、ポリフェノールを多く含むお茶は、ビタミンCの含有量も多いのかもしれません。実際、煎茶と玉露を比較すると、煎茶のポリフェノール含有量は玉露よりよりも多く、ビタミンCについても、煎茶は玉露の倍以上含有しています。

もちろん、これまで慣行栽培のお茶と無肥料の自然栽培茶の間でビタミンCの分析比較をしたことはないため、あくまで仮説です。非常に興味深いテーマゆえ、今後、機会があれば、定量分析してみたいと思います。

以下は市販の各種緑茶のビタミンC(アスコルビン酸)とポリフェノールの分析値の参考資料(日本語の論文)です。

栽培条件の違いや加工による変化を考慮していませんが、興味のある方は参考にしてください。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/vso/19/0/19_KJ00002901055/_pdf

https://web.archive.org/web/20150906062007id_/https://www.jstage.jst.go.jp/article/cha1953/1994/80/1994_80_23/_pdf

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