- ホーム >
- お茶の品質を決める各種要素
ペットボトル入りのお茶の味に大きく影響するビタミンCの存在
- [2024.02.19] Written By 北城 彰(Akira Hojo)
近年、多くの人々にとって、お茶を飲むということはペットボトル入りのお茶を飲むことが普通な今日この頃ですが、本コラムでは、ペットボトル入りお茶の特徴的な味に焦点を当ててみたいと思います。
酸化防止目的のビタミンCの添加
コンビニやスーパー、ドラッグストアなどを訪れると、さまざまな種類のペットボトル入りお茶が販売されています。一度、これらのお茶の添加物表示を一度ご覧ください。ごく僅かに例外の商品はありますが、殆どの商品にビタミンCが添加されています。ビタミンCを添加する目的ですが、メーカーのウェブサイトなどを見ると、「ペットボトル入り緑茶のビタミンCは、加熱によって失われたビタミンCを補うために添加されている」という説明がされています。
もちろん上記説明は間違いではありませんが、昔食品メーカーで食品開発に携わっていた私の経験上、実際には、ビタミンCの添加は酸化防止が主目的であると推測されます。ビタミンCはアスコルビン酸として知られ、強力な酸化防止剤です。お茶飲料は窒素充填を行ったとしても、色の褐変やポリフェノールの酸化による渋味の形成など、品質の劣化が進行します。酸化防止剤であるビタミンCは、酸化速度を劇的に遅らせることができるため、ビタミンCは緑茶飲料には必需品です。実際に、店頭で観察してみると、緑茶はもちろん、紅茶、麦茶、烏龍茶、そしてミルクティに至るまで、ビタミンCが添加されています。以下の資料には、市販の緑茶飲料のビタミンC含有量の測定値が掲載されていますので、興味がある方はご覧ください。
https://hijiyama-u.repo.nii.ac.jp/record/80/files/16.pdf
ビタミンC添加によって影響を受けるお茶の味
ビタミンCの添加が良いか悪いかという議論はさておき、注目すべき点は、多くの人が慣れているペットボトル入りお茶の味は、お茶の味にビタミンCの味が加わったものであるという点です。
上記のリンクの資料によれば、市販のペットボトル飲料の場合、平均して500mlの水に100〜150mgのビタミンCが含まれています。1gが1000mgなので、100mgはほんのわずかだと思われますか? しかし、実際にビタミンCを口にしてみればわかりますが、わずかな舐めただけでも非常に酸っぱい物質です。
実際、この量のビタミンCが味にどの程度影響するのかを実験するために、500mlの水に100mgのビタミンCを溶解してみました。興味深いことに、この量の添加でも水はわずかながら酸味を帯びます。それは僅かなものですが、酸味存在が認識できるレベルでした。
肥料の施肥をはじめとした、現代農業に準拠して栽培される慣行栽培の緑茶は、アミノ酸が多く、ポリフェノールが少ないため、まったりとした味わいが特徴であり、正直、ペットボトルの緑茶とは異なる味わいです。
しかし、ビタミンCを添加してみると、市販のペットボトル緑茶のような爽快で、すっきりとした味に変化します。ビタミンCが加わると、飲み終わった後に爽やかな酸味が口に残り、これがお茶の味をよりすっきりと爽やかなものに変えます。
ある意味、レモンティーに通じる味わいであり、この特徴によって一般的に好まれる側面もあります。おそらく、メーカー側もビタミンCによる味の変化をプラス要素として捉えているのでは無いでしょうか?
すっきりとした味がする肥料無施肥の自然栽培茶
興味深いのは、無肥料かつ無農薬で作られたお茶は、素材そのものが非常にすっきりとした味わいを持つという点です。無肥料栽培のお茶の成分を定量分析すると、ポリフェノールが慣行栽培のお茶よりも数倍多く含まれております。
私は、無肥料栽培のお茶がすっきりとした味わいを持つのは、高濃度のポリフェノールに由来すると考えていました。ただ、もしかすると、ポリフェノールを多く含むお茶は、ビタミンCの含有量も多いのかもしれません。実際、煎茶と玉露を比較すると、煎茶のポリフェノール含有量は玉露よりよりも多く、ビタミンCについても、煎茶は玉露の倍以上含有しています。
もちろん、これまで慣行栽培のお茶と無肥料の自然栽培茶の間でビタミンCの分析比較をしたことはないため、あくまで仮説です。非常に興味深いテーマゆえ、今後、機会があれば、定量分析してみたいと思います。
以下は市販の各種緑茶のビタミンC(アスコルビン酸)とポリフェノールの分析値の参考資料(日本語の論文)です。
栽培条件の違いや加工による変化を考慮していませんが、興味のある方は参考にしてください。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/vso/19/0/19_KJ00002901055/_pdf
1,Twitterをフォローする。2,FaceBookで「いいね!」を押す。3,メールマガジンに登録する。という3つの方法で、お茶に関する最新情報をキャッチすることができます。今すぐ下のツイッターフォローボタンや「いいね!」をクリック!
- メールマガジン登録で無料サンプルをもらおう!
- メールマガジンにご登録いただくと無料のサンプル茶葉のプレゼントや希少商品の先行購入など様々な特典がございます。ソーシャルメディアの購読だけでなく、メールマガジンへのご登録もお忘れなく!
- 大雪山野生茶(生茶)2023年・2024年産 同時発売
- 大雪山野生生茶の2023年産と2024年産を発売しました。 2023年産については、マレーシアの倉庫で1年間熟成しております。 https://hojotea.com/item/d27.htm 雲南省でも入 …
- 佐渡無名異焼作家の渡辺陶三作:野坂粗土還元急須が入荷
- 野坂粗土還元焼成の茶器を発売しました。 今回入荷したモデルは、茶壺(後手急須)、フリーカップ、マグカップの3点です。 https://hojotea.com/item/tozo_nosaka_reduction.htm …
最新の記事 NEW ARTICLES
- 大雪山野生茶(生茶)2023年・2024年産 同時発売
- 大雪山野生生茶の2023年産と2024年産を発売しました。 2023年産については、マレーシアの倉庫で1年間熟成しております。 https://hojotea.com/item/d27.htm 雲南省でも入 …
- 佐渡無名異焼作家の渡辺陶三作:野坂粗土還元急須が入荷
- 野坂粗土還元焼成の茶器を発売しました。 今回入荷したモデルは、茶壺(後手急須)、フリーカップ、マグカップの3点です。 https://hojotea.com/item/tozo_nosaka_reduction.htm …
- 佐渡島の渡辺陶三製作:野坂粗土酸化焼成の茶器が入荷
- 佐渡島の陶芸家、渡辺陶三氏による「野坂粗土酸化焼成」の茶器を発売いたしました。 https://hojotea.com/item/tozo_nosaka.htm 野坂は佐渡島の沢根にある地区名で、相川金山に …
- 2300mの野放茶園産、高山白茶を発売
- 高山白茶を発売しました。 このお茶の茶園には、次の2つの特徴があります。 1. 標高2200-2300mに位置する茶園 2. 完全に野生化したお茶の木で構成される野放茶園 非常に理想的な環境ゆえに、お茶の品質も素晴らしく …
- 標高2100mの無農薬・無肥料茶園産の高山紫茶2024
- 2024年産の高山紫茶を2種類発売しました。 https://hojotea.com/item/d53.htm 2種類とも、同じ生産者が同じ地域内に保有する茶園の茶葉ですが、茶園の位置が異なり、また、生産日も異なります。 …
- 大雪山野生茶(普洱生茶)2024の散茶を限定発売
- 大雪山野生茶は、雲南省臨滄市永徳県の大雪山に自生する野生のカメリアタリエンシスから作られたプーアル生茶です。 野生茶とは 野生茶とは、樹齢が高いお茶や野生化したお茶ではなく、山に自生している天然のお茶を指します。 過去に …
- 鳳凰単叢烏龍茶の産地、潮州市鳳凰鎮を訪問(2024)
- 先月、鳳凰単叢烏龍茶の産地である潮州市鳳凰鎮へ、仕入れと生産者との打ち合わせを兼ねて出張しました。ちょうど台風の時期と重なり、山から潮州に戻れなくなるなどのハプニングもありましたが、無事に仕入れを終えました。鳳凰鎮にはこ …
- 前川淳蔵作の伊賀天然朱泥急須、宝瓶各種入荷
- 前川淳蔵作の伊賀天然朱泥の茶器が入荷しました。 今回入荷したのは、丸型宝瓶、急須、絞り出し、茶海です。 https://hojotea.com/item/maekawa_iga.htm 数百年前に古琵琶湖の湖底に沈殿した …
- 佐渡島:渡辺陶三作、無名異上赤茶壺と宝瓶が入荷
- 渡辺陶三氏作の無名異常赤急須および宝瓶が入荷しました。今回の入荷品は、後手タイプが中心です。 https://hojotea.com/item/tozo_joaka.htm 非常に稀少な上赤 「上赤」は、佐渡島の相川金山 …
- 非常に稀少な野生茶、永徳野生白茶2024を発売
- 永徳野生白茶を発売しました。このお茶は2021年に一度発売されましたが、瞬く間に売り切れ、その後の入荷はありませんでした。質が高く、個性的な香りで当店でも非常に人気の高いお茶です。 永徳野生茶は、雲南省臨滄市永徳県で、牛 …
- HOJO通販新着
- 特集
- メールマガジンバックナンバー
- お茶の種類
- お茶の産地
- 茶器・急須
- お茶のコラム-雑学-歴史-文化
- お茶を楽しむ
- お茶の作り方-製法
- お茶の品質を決める各種要素
- お茶の成分と効能
- お茶の安心と安全
- 食品
- お茶ビジネスの運営・記録
- 趣味活動
- お茶のランキング-おすすめ
- お茶に関する動画
- お茶に関するQ&A
- メディア掲載
- an anにてジャスミンパールが紹介されました。
- an an 「マガジンハウス出版」 No.1865、2013年7月24日号「夏のお取り寄せ」特集で弊社のジャスミンパールが紹介されました。
- マレーシアの全国紙 “Star Newspaper”に掲載して貰いました。
- 先日、マレーシアの全国紙「Star Newspaper」でHOJOの特集をしてくれました。 Starはマレーシアで最も購読数の多い新聞で、マレーシアのメディアでは最も影響力の大きな新聞です。 新聞の内容は、茶器によりお茶 …
住所:Lot No. T-215, 3rd Floor, Mid Valley City, Lingkaran Syed Putra 59200 Kuala Lumpur