磁器茶器の選定について:三希牙白と徳化磁器

[2026.01.07] Written By


これまで当社では、磁器の茶器として台湾三希の製品を取り扱ってきました。三希の牙白シリーズは、お茶や水に対して優れた特性を備えており、実際にお茶の味や香りが明確に引き出されることから、当社としても高く評価し、約10年にわたり継続して販売してきた実績があります。 一方で、コロナ禍以降、製造環境や供給体制を取り巻く状況が大きく変化しました。2020年以降に生産された三希の牙白シリーズについては、当社の検証において、お茶の味や香りに関して、以前のロットと同一の結果が得られなくなりました。使用原料の調達先や委託工場の変更など、背景には複数の要因が考えられますが、当社としては、以前と同じ条件ではなくなったという事実を踏まえ、以下の対応を検討する必要があると判断しました。

2019年以前に生産された三希 牙白シリーズの確保

まず、2019年以前に生産された三希の牙白シリーズについては、これまでどおりの素材であることを確認しているため、在庫として残っていた旧ロットを可能な限り仕入れました。ただし、デザインの選択肢が限られている点と、蓋碗についてはすでに新ロットへ移行しており入手できなかった点は事実です。2019年以前に生産された商品は、本日よりサイトに掲載しております。これらの商品は在庫がなくなり次第完売となり、再入荷はできません。詳しくは以下のページをご覧ください。ここで販売している商品は全て2019年以前のロットです。

https://hojotea.com/item/taiwan_teaware.htm



徳化磁器の現地視察と新たな仕入

次に、三希に代わる磁器を求め、中国福建省泉州市徳化県にて現地視察および仕入を行いました。現在、台湾国内で磁器を一貫して生産しているメーカーはほとんど存在せず、台湾ブランドであっても中国の工場に委託生産しているケースが大半です。その一方で、中国における磁器の製造技術と品質は大きく向上しており、中国産磁器を検討することは合理的であると判断しました。
中国の茶器産地としては宜興や景徳鎮が広く知られていますが、白磁に関しては徳化県が中国最大であるだけでなく、世界最大の磁器生産地です。こうした背景を踏まえ、当社では徳化県の磁器を新たな選択肢として検討しました。

昨年の10月、私達は徳化県に1週間滞在し、現地で様々な生産者を訪ね、片っ端から味の評価を行いスクリーニングを行いました。
その結果、これまで扱ってきた三希の磁器に相当する性能の、磁器の生産者を見つける事が出来ました。日本にお茶用の磁器を輸入する場合、輸入検査が必要となります。これをパスしないことには、正式な輸入が出来ないため、そのための検査等々を12月に行い、検査には合格しました。従って、今月からまとまった数量の輸入の手続きを進める予定です。

登窯作家との出会いと登窯の仕組み

徳化県でのもう一つの大きな収穫は、登窯を現在も実用している作家と出会えたことです。

登窯は中国では龍窯と呼ばれ、山の斜面などの傾斜地に沿って築かれる、細長い構造の窯です。窯全体がスロープ状になっており、下から上へと連なる構造を持っています。登窯では複数の焚口が設けられており、下部から順に薪を投入しながら焼成を進めていきます。これにより、火と熱が段階的に上方へ移動し、窯全体の温度をコントロールします。

焼成は、下部の焚口から火を入れて始まり、焼成の進行に合わせて上部の焚口へと順次薪をくべていきます。この過程で、熱い空気と炎は自然に上へと流れ、窯の上部ほど高温になります。その結果、登窯の内部には明確な温度勾配が生じます。

この温度差を利用し、比較的低温で焼成する陶器は登窯の下部に、高温を必要とする磁器は上部に配置されるのが一般的です。一つの窯の中で異なる温度帯を使い分けられる点は、登窯ならではの特徴です。

日本や宜興にも登窯は存在しますが、現在も継続して稼働している例は多くありません。さらに、登窯を用いて磁器を焼成している作家は極めて稀であり、徳化県においてそのような作家と出会えたことは、今回の視察における重要な成果の一つです。

 

登窯による白磁作品と今後の展開

今回見つけた登窯作家ですが、白磁の作品も製作していました。また、蓋碗や茶杯、茶海をはじめ、特注で私たちが希望する茶器も製作してくれることになりました。

登窯で作られた磁器は、お茶の味が非常に良くなります。登窯で焼成した白磁でお茶を飲むと、秋晴れの空のようにすっきりとした味わいに変化し、余韻も非常に長くなります。

今後は、白磁の蓋碗、茶杯、茶海に加え、青磁のシリーズについても味が良いことを確認できているため、製作を依頼する予定です。登窯作家の作品は、今年の半ば前までに販売を開始する予定です。

登窯で焼いた磁器

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