- ホーム >
- お茶の作り方-製法
意外に知られてない台湾烏龍茶の形状の秘密
- [2006.12.13] Written By 北城 彰(Akira Hojo)
烏龍茶はどうやって粒状の形に加工されかご存じでしょうか?烏龍茶の揉捻は独特の方法により行われます。写真を交えて詳細を解説したいと思います。
熱を加えることで発酵を止める
発酵工程が終わった茶葉からは「花のような」香りが立ち上っております。発酵室に入ると、そこはまるでお花畑のようです。私はこれまで色んなお茶の工場に入りましたが、烏龍茶工場が一番良い香りがすると思いました。発酵後の茶葉は加熱処理が行われ、それ以上発酵(酸化)しないようにするために熱処理が行われます。これ以上発酵が進んだ場合、茶葉は限りなく紅茶に近づいていきます。
揉捻:お茶をもむ目的
加熱処理の終わった茶葉は、まだ温かい内に、揉捻工程へと送られます。揉捻とは、お茶を揉むことです。何故、揉捻が必要なのでしょう?揉捻をしないと、お茶を淹れたときに、香りや味が茶葉に閉じこめられたままになっており、外に出てきません。つまり、茶葉に微少な傷を付けてあげることで、お茶を淹れたときに味と香りが出るようにします。
烏龍茶の場合、日本茶や紅茶のような激しい揉み方はしません。揉みすぎると、アクや雑味までもが水に溶け出し、味を損なってしまうのです。つまり、茶葉の細胞が破壊されてしまい、ありとあらゆる成分が水に溶け出すため、水色も透明でなく、濁った色になります。
但し、良く揉んだ方が、味は出やすくなります。そこで、求める味と香りだけを効率よく抽出し、不要な雑味を出さないために考案されたのが、包揉(中国語でパオロウ)と呼ばれる揉捻方法です。
烏龍茶の揉捻は茶葉をねじったり、クラッシュするのではなく、強烈に圧縮し、揉むことで、雑巾を絞るように、茶葉の細胞に微少な傷を付けます。雑巾が絞られると、水がじわじわと表面に出てきますが、茶葉にも同じ現象が起こります。圧縮された茶葉からは汁が染み出します。染み出した汁は茶葉表面に付着し、再び乾燥して固まることで茶葉表面を深緑の層が覆います。ゆえに烏龍茶の茶葉は硬く、黒っぽい緑色をしているのです。
台湾茶の揉捻のしかた
具体的にはどうするかというと、まず、茶葉が熱くて柔らかい内に、茶葉を袋に包みます。
包んだ袋を「ねじり機」にかけることで、どんどん締め上げます。この作業は猛烈に力のいる仕事で、職人は主に若者により構成されます。彼らの手を見せてもらいましたが、皮が厚ぼったくなっており、まるでグローブのような手をしておりました。袋を締め上げる際は、全身の体重をかけ、腰を入れて踏ん張ります。絞り上げられた袋の口は縛られ、袋は取り出されます。
茶葉は10kg位ずつ袋に詰められます。
袋の表面を見て下さい。染みのようになっているのは、茶葉から染み出したエキスによる斑点です。
ねじり機でグルグルと捻り、茶葉を締め上げます。
「ねじり」の作業は猛烈な力作業です。
袋の部分が高速で回転します。
左が私の手、右が職人の手です。袋は茶葉がギューギューに詰まっており、バスケットボール大で10kg以上の重さがあります。触わってみたところ、まるで石のように硬くなっておりました。
加圧された茶葉は袋ごと、揉捻機にかけられます。揉捻機には上下2枚の円盤があります。これら円盤の間に袋を挟み込み、下の円盤だけを回転させます。これにより、茶葉は更に加圧され、まるで圧縮された雑巾のようにシワシワで小さなサイズへと成形されていきます。
ある程度、揉み続けると、茶葉の温度が下がってきます。それ以上、揉み続けると茶葉は壊れやすくなり、割れてしまいます。そのため、茶葉は取り出され、再びドラムにて加熱が行われます。加熱により、茶葉は多少水分を失い、また再び柔らかくなります。柔らかくなった茶葉は、再び「ねじり機」→「揉捻」と繰り替えされます。
温度が下がった、茶葉は再びドラムで加熱され、柔らかくします。
これら一連の作業は、茶葉の状態を見極めつつ、何度も行われます。最終的に茶葉の形状はお馴染みの半休型へと成形されていくのです。この揉捻方法で作られる烏龍茶の代表は、鉄観音と台湾の高山烏龍茶・凍頂烏龍茶です。揉捻が上手に行われた茶葉は、形が整っており、また、硬く、表面に艶があります。その形状はカエルの足や、トンボの胴体に例えられます。
完成が近づいた茶葉です。艶があり、非常に良い形をしておりました。
揉捻作業が機械化される前は手作業
昔は「ねじり機」や「揉捻機」がなく、そのため、全てが手作業により行われました。昔に作られた烏龍茶は非常に緩く、良くしまった半球ではありません。私の製品の一つに30年物の陳年老茶がありますが、やはり現代の烏龍茶と比べると完全な半球状に成形されておりません。
1,Twitterをフォローする。2,FaceBookで「いいね!」を押す。3,メールマガジンに登録する。という3つの方法で、お茶に関する最新情報をキャッチすることができます。今すぐ下のツイッターフォローボタンや「いいね!」をクリック!
- メールマガジン登録で無料サンプルをもらおう!
- メールマガジンにご登録いただくと無料のサンプル茶葉のプレゼントや希少商品の先行購入など様々な特典がございます。ソーシャルメディアの購読だけでなく、メールマガジンへのご登録もお忘れなく!
- 東山生茶・白毫銀針・茉莉銀針の3種類のお茶を発売
- 東山生茶2023、白毫銀針、茉莉銀針の3種類のお茶を発売しました。 東山生茶2023 https://hojotea.com/item/d63.htm 東山生茶2023を発売しました。東山生茶は当店でも非常に人気の高いお …
- 大雪山野生茶(生茶)2023年・2024年産 同時発売
- 大雪山野生生茶の2023年産と2024年産を発売しました。 2023年産については、マレーシアの倉庫で1年間熟成しております。 https://hojotea.com/item/d27.htm 雲南省でも入 …
最新の記事 NEW ARTICLES
- 東山生茶・白毫銀針・茉莉銀針の3種類のお茶を発売
- 東山生茶2023、白毫銀針、茉莉銀針の3種類のお茶を発売しました。 東山生茶2023 https://hojotea.com/item/d63.htm 東山生茶2023を発売しました。東山生茶は当店でも非常に人気の高いお …
- 大雪山野生茶(生茶)2023年・2024年産 同時発売
- 大雪山野生生茶の2023年産と2024年産を発売しました。 2023年産については、マレーシアの倉庫で1年間熟成しております。 https://hojotea.com/item/d27.htm 雲南省でも入 …
- 佐渡無名異焼作家の渡辺陶三作:野坂粗土還元急須が入荷
- 野坂粗土還元焼成の茶器を発売しました。 今回入荷したモデルは、茶壺(後手急須)、フリーカップ、マグカップの3点です。 https://hojotea.com/item/tozo_nosaka_reduction.htm …
- 佐渡島の渡辺陶三製作:野坂粗土酸化焼成の茶器が入荷
- 佐渡島の陶芸家、渡辺陶三氏による「野坂粗土酸化焼成」の茶器を発売いたしました。 https://hojotea.com/item/tozo_nosaka.htm 野坂は佐渡島の沢根にある地区名で、相川金山に …
- 2300mの野放茶園産、高山白茶を発売
- 高山白茶を発売しました。 このお茶の茶園には、次の2つの特徴があります。 1. 標高2200-2300mに位置する茶園 2. 完全に野生化したお茶の木で構成される野放茶園 非常に理想的な環境ゆえに、お茶の品質も素晴らしく …
- 標高2100mの無農薬・無肥料茶園産の高山紫茶2024
- 2024年産の高山紫茶を2種類発売しました。 https://hojotea.com/item/d53.htm 2種類とも、同じ生産者が同じ地域内に保有する茶園の茶葉ですが、茶園の位置が異なり、また、生産日も異なります。 …
- 大雪山野生茶(普洱生茶)2024の散茶を限定発売
- 大雪山野生茶は、雲南省臨滄市永徳県の大雪山に自生する野生のカメリアタリエンシスから作られたプーアル生茶です。 野生茶とは 野生茶とは、樹齢が高いお茶や野生化したお茶ではなく、山に自生している天然のお茶を指します。 過去に …
- 鳳凰単叢烏龍茶の産地、潮州市鳳凰鎮を訪問(2024)
- 先月、鳳凰単叢烏龍茶の産地である潮州市鳳凰鎮へ、仕入れと生産者との打ち合わせを兼ねて出張しました。ちょうど台風の時期と重なり、山から潮州に戻れなくなるなどのハプニングもありましたが、無事に仕入れを終えました。鳳凰鎮にはこ …
- 前川淳蔵作の伊賀天然朱泥急須、宝瓶各種入荷
- 前川淳蔵作の伊賀天然朱泥の茶器が入荷しました。 今回入荷したのは、丸型宝瓶、急須、絞り出し、茶海です。 https://hojotea.com/item/maekawa_iga.htm 数百年前に古琵琶湖の湖底に沈殿した …
- 佐渡島:渡辺陶三作、無名異上赤茶壺と宝瓶が入荷
- 渡辺陶三氏作の無名異常赤急須および宝瓶が入荷しました。今回の入荷品は、後手タイプが中心です。 https://hojotea.com/item/tozo_joaka.htm 非常に稀少な上赤 「上赤」は、佐渡島の相川金山 …
- HOJO通販新着
- 特集
- メールマガジンバックナンバー
- お茶の種類
- お茶の産地
- 茶器・急須
- お茶のコラム-雑学-歴史-文化
- お茶を楽しむ
- お茶の作り方-製法
- お茶の品質を決める各種要素
- お茶の成分と効能
- お茶の安心と安全
- 食品
- お茶ビジネスの運営・記録
- 趣味活動
- お茶のランキング-おすすめ
- お茶に関する動画
- お茶に関するQ&A
- メディア掲載
- an anにてジャスミンパールが紹介されました。
- an an 「マガジンハウス出版」 No.1865、2013年7月24日号「夏のお取り寄せ」特集で弊社のジャスミンパールが紹介されました。
- マレーシアの全国紙 “Star Newspaper”に掲載して貰いました。
- 先日、マレーシアの全国紙「Star Newspaper」でHOJOの特集をしてくれました。 Starはマレーシアで最も購読数の多い新聞で、マレーシアのメディアでは最も影響力の大きな新聞です。 新聞の内容は、茶器によりお茶 …
住所:Lot No. T-215, 3rd Floor, Mid Valley City, Lingkaran Syed Putra 59200 Kuala Lumpur