
- ホーム >
- お茶の産地
台湾烏龍茶の発酵現場潜入!花のような香りはこうして作られる
- [2006.11.14] Written By 北城 彰(Akira Hojo)
烏龍茶の部分発酵(半発酵)について解説します。まず、烏龍茶とその他のお茶の違いを、発酵と言う切り口で説明します。
お茶による加工法の違い
- 緑茶:酸化に関与する酵素を熱で失活するため、ポリフェノールがそのまま残っています。ポリフェノールは、分子量(サイズ)が大きいため空気中に揮発しません。そのため、香りはあまり感じられません。(揮発しないと言うことは、香りが感じられないと言うことです。)その代わりにポリフェノール特有の苦い味がします。
- 紅茶:ポリフェノールが酵素により深く酸化されます。酸化されたポリ-フェノールは、一部は小さなサイズに分解されます。小さくなった分子は、簡単に揮発するため、「香り」が感じられるのです。更にお互いにくっつき(重合し)、大きな分子になったものは、タンニンと呼ばれ紅茶特有の味に寄与します。
- 烏龍茶:ポリフェノールを軽度に酸化し、ポリフェノールがお互いにくっつき合う(重合する)前に発酵を止めてしまいます。烏龍茶には香りに関係する物質が多く含まれ、逆に渋みに関与するタンニンが殆ど含まれません。
理解しやすい紅茶の発酵
紅茶の発酵は実に分かり易く、茶葉→茶葉を磨り潰す→発酵→乾燥です。リンゴを磨り潰すと、やはりポリフェノールが酸化され、褐変(お互いにくっつきタンニンを形成)します。紅茶の発酵はこれと全く同じ現象です。リンゴの場合、レモンや塩を塗ることで酸化が止まりますが、紅茶の場合熱をかけることで酸化を止めるのです。レモンでも酸化は止まりますが、レモンティーになってしまいます。
制御が難しい烏龍茶の発酵
烏龍茶の発酵には微妙に調整された「中途半端さ」が大切なのです。中途半端という言葉は変ですが、全く酸化しない緑茶、全て酸化させる紅茶の中間に位置するのが烏龍茶です。言い換えるならば、職人次第で味も香りも全く異なる物に仕上がります。烏龍茶の一連の発酵は揺青と呼ばれます。まず、萎凋が終了した茶葉は職人により竹で出来た笊を斜めにしたところに、バラバラと落とされます。本当にバラバラと落とすだけなのです。ただ、ムラが生じないよう、均一に落とすことが大切であり、よく見るとかなり技術のいる作業です。この落下すると時に、茶葉が笊と擦れ合い、或いは、笊にぶつかり、茶葉の縁にごく僅かな傷が付くのです。傷が付いた場所は空気中の酸素に触れることで発酵が開始されます。笊には一回だけバラバラと落とした後、茶葉を笊一面に広げ、棚にて一定時間発酵をさせます。この工程は数回繰り返され、茶葉からは何とも言えない花のような、果物のような香りが出てくるのです。
バラバラと落としつつ、同時に笊に茶葉をまんべんなく広げます。これらの作業を、正確にてきぱきとこなしておりました。
発酵棚に入れる前に、茶葉の状態をチェックします。
作業員は違うのですが、同じ監督のもと、皆同じ動きをしておりました。
最後に茶葉を竹製のドラムに入れ、グルグルと回します。
驚くべき事に、それぞれの笊からは異なる香りが感じられます。実は、同じ茶園の茶葉でも木が異なると香りも微妙に異なるのです。但し、最終的にブレンドされることで一定の香りに標準化されます。笊による発酵が終了したところで、茶葉は竹で出来たドラムに入れられグルグルと回転されます。この段階では更に効率的に茶葉に傷を付けます。回転処理の時間・回数により発酵の度合いが変わります。台湾の高山茶とことなり、中国の伝統的な鉄観音や岩茶、広東烏龍の場合、何度も処理され、昨日の写真でも示しましたが、縁の赤い部分がより厚くなっております。
既に数回の揺青を経過した茶葉は、縁の部分から徐々に赤変するのです。
この写真の茶葉はやや発酵しすぎです。また、茶葉の縁が黒くなっているのは、品質的に良くありません。発酵の最後には、加熱処理を行い、発酵を止めます。ここで加熱を行わないと、発酵が進み続け、出来の悪い紅茶になってしまいます。
発酵は烏龍茶の味と香りを決めるうえで非常に重要な工程です。職人の腕の見せ所であり、同じ台湾でも会社によってやり方は随分異なります。
1,Twitterをフォローする。2,FaceBookで「いいね!」を押す。3,メールマガジンに登録する。という3つの方法で、お茶に関する最新情報をキャッチすることができます。今すぐ下のツイッターフォローボタンや「いいね!」をクリック!
メールマガジン登録で無料サンプルをもらおう!
- メールマガジンにご登録いただくと無料のサンプル茶葉のプレゼントや希少商品の先行購入など様々な特典がございます。ソーシャルメディアの購読だけでなく、メールマガジンへのご登録もお忘れなく!
- 佐渡島の渡辺陶三作の無名異焼急須類が入荷
- 佐渡島の渡辺陶三氏製作の4種類の急須が入荷しました。 今回入荷したのは以下のラインアップです。 秋津無名異酸化焼成 秋津無名異還元焼成 秋津無名異炭化還元焼成 無名異常赤(酸化焼成) 以下茶器販売のページをご覧ください。 …
- マレーシアで長期間熟成した鳳凰単叢烏龍茶3種を発売
- 当社マレーシア倉庫にて長期間熟成した鳳凰単叢3種類を発売しました。長期間お茶を熟成したことで、新茶では味わえない、非常に濃厚な香りをお楽しみ戴けます。 https://hojotea.com/item/houou.htm …
最新の記事 NEW ARTICLES
佐渡島の渡辺陶三作の無名異焼急須類が入荷
- 佐渡島の渡辺陶三氏製作の4種類の急須が入荷しました。 今回入荷したのは以下のラインアップです。 秋津無名異酸化焼成 秋津無名異還元焼成 秋津無名異炭化還元焼成 無名異常赤(酸化焼成) 以下茶器販売のページをご覧ください。 …
マレーシアで長期間熟成した鳳凰単叢烏龍茶3種を発売
- 当社マレーシア倉庫にて長期間熟成した鳳凰単叢3種類を発売しました。長期間お茶を熟成したことで、新茶では味わえない、非常に濃厚な香りをお楽しみ戴けます。 https://hojotea.com/item/houou.htm …
舘正規作の萬古焼急須が多数入荷
- 舘正規氏作の、萬古焼急須と湯飲みが多数入荷しました。 https://hojotea.com/item/banko.htm 産地物の土としては優秀な萬古焼の土 HOJOで販売している他の土の茶器は、すべて特注することで、 …
蘭の花のような香り!安渓産の蘭韻鉄観音を発売
- 安渓産の高級鉄観音、蘭韻鉄観音が入荷しました。 久しぶりに品質の良い蘭韻鉄観音を仕入れることができ、現物を手にしてほっとしています。 https://hojotea.com/item/o26.htm 中国三大烏龍茶の産地 …
鳳凰単叢老欉貢香22と獅頭黄枝香22を発売
- 2022年産の鳳凰単叢烏龍茶を2種類発売しました。 今回発売した商品は、鳳凰単叢老欉貢香2022と鳳凰単叢獅頭黄枝香2022です。 https://hojotea.com/item/houou.htm 鳳凰単叢烏龍茶は水 …
臨滄の名産地:鳴鳳山古樹生茶 散茶 2022を発売
- 臨滄永德県に位置する有名産地:鳴鳳山の春茶から作られたプーアル生茶の散茶を発売しました。 鳴鳳山とは 鳴鳳山村は中国雲南省の永德県に位置し、中心部の標高1,900メートル、年間降水量は1,400ミリメートル、平均気温は1 …
お茶に適した水を考える:水の硬度とミネラル組成とお茶の味香りの関係
- お茶を淹れるのに適した水について考えてみましょう。一般的には「軟水が好ましい」とされていますが、本当にそうなのでしょうか? 硬度以外にもある、水を選ぶ上での重要な注意点も併せて紹介したいと思います。 水の硬度とは 水の硬 …
5つの異なる茶園からなる古樹白茶特別限定セットを発売
- HOJOの店舗でも非常に人気の古樹白茶ですが、今年の春も生産しました。その後、香りを更に高める為に、無酸素にて数ヶ月寝かしたことで、期待通りの香りへと熟成が進み、いつでも発売できる状態に仕上がりました。 古樹白茶は、1日 …
地元でも非常に入手が困難な2つの高級鳳凰単叢を発売
- 非常に高級な鳳凰単叢を2種発売しました。 今回発売のお茶は、鳳凰単叢老欉八仙王2022と鳳凰単叢老欉郁金香 単株2022です。 https://hojotea.com/item/houou.htm 鳳凰単叢老欉八仙王20 …
初の伊賀天然朱泥急須入荷、宝瓶と絞り出しも再入荷
- 伊賀天然朱泥急須、宝瓶、絞り出し、前川淳蔵氏による作品が発表されました。これまで多くのお客様から伊賀天然朱泥急須の制作についてのリクエストをいただいており、ついに実現することが出来ました。 https://hojotea …
- HOJO通販新着
- 特集
- メールマガジンバックナンバー
- お茶の種類
- お茶の産地
- 茶器・急須
- お茶のコラム-雑学-歴史-文化
- お茶を楽しむ
- お茶の作り方-製法
- お茶の品質を決める各種要素
- お茶の成分と効能
- お茶の安心と安全
- 食品
- お茶ビジネスの運営・記録
- 趣味活動
- お茶のランキング-おすすめ
- お茶に関する動画
- お茶に関するQ&A
- メディア掲載

- an anにてジャスミンパールが紹介されました。
- an an 「マガジンハウス出版」 No.1865、2013年7月24日号「夏のお取り寄せ」特集で弊社のジャスミンパールが紹介されました。
- マレーシアの全国紙 “Star Newspaper”に掲載して貰いました。
- 先日、マレーシアの全国紙「Star Newspaper」でHOJOの特集をしてくれました。 Starはマレーシアで最も購読数の多い新聞で、マレーシアのメディアでは最も影響力の大きな新聞です。 新聞の内容は、茶器によりお茶 …

住所:Lot No. T-215, 3rd Floor, Mid Valley City, Lingkaran Syed Putra 59200 Kuala Lumpur