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お茶が美味しくはいらない?購入には注意が必要な茶器
- [2009.02.21] Written By 北城 彰(Akira Hojo)
お茶を美味しくするどころか、逆に不味くする茶器も
宜興の紫砂のなかには、お茶の味を良くするのではなく、質を落としてしまう土もあります。緑泥という土をご存じでしょうか?中国の宜興では緑泥と呼ばれる土で、字の如く緑色をしております。(本山緑泥は異なる種類の土)尚、ここで言うお茶の味とは、コク、まろやかさ、喉越し、後味などの言葉で代表される感覚をさしており、通常のこれらの感覚が強く感じられるほおお茶の価値(品質)は高いと判断されます。
宜興の緑泥を実際に評価
この度、緑色の土の急須はお茶に対しどのように作用するのか検証する機会に恵まれました。
私の友人の東洋医学の先生が中国宜興で購入した緑泥の茶壺を店に持って来てくれました。この茶壺は非常に有名な作家による手作りの作品で、10万円以上の値段のする作品です。わくわくしつつ、烏龍茶・緑茶それぞれで味への影響を確認しました。
東洋医学の先生も涙目の結果に!
緑泥の急須でいれると、どのお茶もコク(まろやかさ)が完全に消え去り、代わりに鼻に抜けるような軽い香りに変化してしまいます。
つまり、香りが口先(鼻)だけでしか感じられなくなり、後味が感じられないフラットな味に変わってしまいます。
緑泥で入れたお茶はどれも美味しくなく、まるで質の低いお茶をいれているかのような感覚でした。
複数のお客さんからも「緑泥」は色が綺麗なので収集家がコレクションの対象として集めるだけで、使用には向かないとの話を聞いたことがありますが、まさにその通りの展開でした。緑の色を発色するためにはある特定のミネラルを主成分として含んでおり、酸化焼成で製作されています。緑色から推察するに、亜鉛が多く含まれているように思われます。亜鉛は酸化すると緑色になるため、緑の釉薬や土を緑色に発色するのに使われます。
常滑焼をはじめとする国産急須にも多く用いられている緑泥
実は常滑焼にも緑の急須が多数あります。そこで、常滑焼の緑泥急須にて同様の実験を試みました。10種類以上試しましたが、宜興の緑泥と全く同じ結果となりました。お茶がフラットな味になり、アロマばかりが強く、コク(まろやかさ)が全く感じられませんでした。コレクションの対象としては問題ありませんが、お茶好きにとって緑の急須は要注意です!
佐渡には味を良くする緑泥も存在
但し、同じ緑色をした土でも、味をまろやかにする土に出会ったこともあります。佐渡島に行くと時々緑色をした石や土を見かけますが、お茶でテストをしてみたところ、意外にも味がまろやかになりました。また、天竜川でとれる緑色の石もお茶に触れると、お茶を非常にまろやかにします。したがって一概に緑=駄目とも言えません。
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