お茶の道具で選んではいけない3つの材質。おすすめしない急須の素材

[2010.07.12] Written By

新潟燕の槌器銅器:このヤカンは外側は銅だが、水と触れる内部は錫

急須や鍋、ヤカンに使用する金属ですが、金属の種類により料理やお茶の味が変化することをご存じでしょうか?もちろん、私は分析機器があるわけではないため、変化を定量化することはできません。味の変化については試飲により評価を行っております。

ヤカンや鍋の一般的な材料としては鉄、ステンレス、銅、アルミ、錫、真鍮などがありますが、銅とアルミ、真鍮は料理やお茶からコクを無くし、フラットな味・香りへと変化します。本来、質の高いお茶と言うのは、喉の奥にスッと広がるようなやわらかな味と、奥行きのある香りが特徴です。しかし、これらの2つの金属と触れた水でお茶をいれた場合、味に奥行きが無くなり、香りも鼻に抜ける軽い香りへと変化します。

 

銅鍋やアルミ、真鍮鍋は非常に一般的です。銅釜の炊飯ジャーもあります。これらの調理器具は、熱伝導率を売りとしております。しかし、比較してみれば直ぐ分かることですが、銅で調理した食品、銅を通したお茶は、味が即変化し、まろやかでコクがあったはずのお茶は味の厚みがなくなり、奥行き・味と香りの余韻が消失します。

この話をすると、皆、胡散臭そうな顔で私を見ます。そう思われた人は、実際に実験してみてください。何もしてない状態のお茶と並べて比較することでその違いを認識することができます。身近にある銅、真鍮、アルミと言えば、1円玉、5円玉、10円玉です。これらを良く煮沸して消毒した後、お茶にチョコッとだけ触れてみてみましょう。お茶を茶碗に入れ、その表面を「ちょん」と一瞬触れるだけで十分です。硬貨が汚いからいやな場合、ホームセンターに行けば簡単に銅やアルミの材料が手に入ります。触れる前と後ではお茶の味は明確に変化をします。

追記 1

ではどのような材質が良いかと言う事ですが、無難なのはステンレスやガラスのヤカン、或いは、電気湯沸かし器がお薦めです。電気湯沸かし器の内面はテフロン様のコーティングがされておりますが、私がテストした限りでは味へのマイナスな影響がありませんでした。これらの材質は水の味を殆ど変化しないため、お薦めです。鉄瓶の場合は、茶器の材質との組み合わせによって、味をフラットにすることがあるため、要注意です。

 

追記 2

錫鍍金がされている銅鍋やヤカンがあるとの指摘を頂きましたので、それについて補足させて頂きます。
私が言う銅鍋とは銅のみで作られた鍋のことです。事実、新潟燕市産の槌器銅器などは、錫が内側に張られているのが一般的です。錫鍍金が施されていた場合、銅のみで作られた鍋とは逆に、食品の味は美味しくなります。外側が銅でも、直接、食品もしくは、水、お茶に触れる内面が別の金属素材で作られている場合、接触面に用いられている素材が味に反映されます。

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