有機栽培でも全く健康に寄与しない場合も?有機栽培の盲点

[2012.08.25] Written By


世の中、有機栽培だから健康に良い、有機栽培だから美味しいという考えが蔓延しております。確かに、有機栽培は農薬の点では安全であり、安心です。だからといって「安全」と「体に良い」「美味しい」とは同一ではありません。

時間をかけてゆっくり育ってこそ美味しくなる

本来美味しい野菜、果物、お茶を作り上げようと思った場合、植物に時間をかけて成長さなければなりません。
時間をかけて生長した植物の葉は細胞密度が高く、それに伴いポリフェノールとミネラルが高密度に含まれます。その結果として、味わい深く、コクのある味が感じられるのです。

植物にとっては、有機でも無機でも、肥料には変わりなし

有機肥料でも、堆肥のような窒素肥料を与えた場合、結果的に植物が受ける影響は、硝酸塩のような化学肥料を与えるのと同じです。
野生の植物を想像してみてください。野生の植物の場合、動物の糞や堆肥のような窒素肥料が集中的に与えられることはありません。突然、窒素肥料が与えらると植物は勢い良く成長します。窒素が入ることで成長のスイッチが入るためです。その結果、細胞は大きくなり、1つの茶葉を構成する細胞の数は、ゆっくりと育った植物と比べ非常に少なくなります。細胞が大きく少ないと言うことは壊れ脆いと言うことを意味しており。お茶の場合、細胞壁が折れてしまうために、湯を加えても茶葉の戻りが遅くなります。私も多くの有機栽培茶を飲んだことがありますが、多くは言われなければ有機と分からない品質でした。
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写真のお茶の木は、「有機の堆肥」の脇に生えておりました。このお茶の木は完全有機栽培ですが、超過保護に育っており、巨大な葉が青々と光っておりました。

有機窒素肥料で成長スイッチがオンになる

有機肥料であっても窒素肥料が与えられると、植物は生長のスイッチが入ります。成長過程にある茶葉は、自身の成長のために必要な細胞壁の合成などに忙しく、ポリフェノールの合成をしている暇がないのでしょう。テアニンのようなアミノ酸は豊富に合成されるものの、その次段階であるポリフェノールが作られません。ポリフェノールとはカテキンなどの抗酸化物質の総称です。ポリフェノールが少ないお茶と言うことは、つまり、健康への影響もあまり期待できそうにありません。

私の実家はリンゴ農家ですが、窒素肥料を与えると、リンゴの葉は深い緑色になり、葉のサイズも肥大し、リンゴも大きくなります。但し、リンゴを食べると一目瞭然。味に濃さが無く、水っぽくて美味しくありません。

重要なのはできるだけ自然の状態で育つこと

私は有機・無機に関係無く、お茶を自然の山野草に近い形で、時間をかけてゆっくりとお茶を育て上げることが重要だと考えております。厳しい環境下で時間をかけて育ったお茶は、そのお茶の苦労が品質として感じられるものです。
有機栽培は非常に良い取り組みだと思いますが、それだけでは十分ではないと言うことです。

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