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現在は紛争地帯となっている、ミャンマー果敢の山村で少数民族によって作られた、プーアル生茶(2013年産)を発売しました。緬甸とは中国語でミャンマーのことです。
ミャンマーの生産者
ミャンマーの果敢自治区は中国との国境を巡り歴史的に紛争が絶えない地域です。この地域には中国系少数民族のミャンマー人が多く住んでおり、人々の多くはミャンマー人でありながらも中国語が話せます。
果敢自治区では経済面でも雲南省との結びつきが強く、果敢で作られたプーアル茶は国内消費ではなく、その殆どが雲南省へと輸出されます。輸出と言っても陸路で数十キロ程度しか離れておりません。
果敢の街中の様子:街には中国語が溢れておりました。
2015年前後果敢自治区ではミャンマー政府軍と少数民族ゲリラの間で激しい内戦が行われ、迫撃砲やロケット弾、戦闘機が飛び交う状態でしたが、2016年より一時的に停戦状態となっております。 コロナ禍の2020-21年は勿論ですが、その前から、ミャンマーの果敢と中国の国境は閉鎖され、中国人の入国は制限されております。
臨滄市の南傘という街にあるミャンマー国境
軍事的緊張非常が非常に高まっている果敢ですが、私達は、内戦が始まる直前の2013年、生産地の村を訪れました。
雲南省側の南傘鎮という街には、中国の顧客を果敢地域へ案内することを生業としているミャンマー人がおります。仕組みはよく分からないのですが、果敢出身のミャンマー人は中国とミャンマーの国境の町を相互に行き来出来るようで、 私達は、そういった現地の案内人を雇い、ミャンマーへと入国しました。
ただ、2013年は内戦勃発の直前と言うことも有り、果敢の街中にはランボーの映画さながらに、機関銃を手にした兵士達がトラックの荷台に乗っては街中を移動しており、彼らが近づく度に、案内人は、慌てて、私達に姿を隠すようにと指示してきました。
兵士達は野武士のような状態らしく、運が悪いと、お金もカメラも身ぐるみはがれるとのことでした。 今振り返ると、この果敢への出張は私のお茶人生で最も危険な旅でした。
このような雰囲気の街を定期的に機関銃を持った兵士達がトラックで移動しておりました。
お茶の生産地は果敢の街から、2時間ほど離れた、山村です。 村は非常に貧しく、お茶だけが唯一の村の産業でした。
雲南省の国境から数時間程入ったミャンマーの山村:内戦が始まる前の2013年に産地を訪問しました。
彼らにはお茶を殺青する専用設備がなく、お茶の加工には料理用の設備が流用されおりました。 料理用のフライパンと言っても、直径50cmくらいあるのですが、厚さがないため、温度管理が難しくなります。
この為、殺青時に火力の温度管理が正確にできず、部分的に火が強く入りがちとなります。
仕入れた当時は、京番茶のような、香ばしいスモーキーな香りが顕著だったため、長期間熟成することにしました。 長い時間が経過したので、今年暫くぶりに、開封し、試飲したところ、長期間熟成によって、甘い香りが形成され、同時に角が取れて、非常に飲みやすくなっておりました。 熟成により栗、黒糖、スイートポテトのような甘い香りが形成され、香ばしさが相まって、スコッチウイスキーのような、個性ある香りに感じられました。
むしろこのような香りの個性ゆえ、食事やお茶請けとの相性は良く、食後のお茶としてもお勧めです。
果敢のプーアル茶が雲南省の人々に人気がある理由は、強力なボディです。 果敢のお茶は口にいれるとふんわりとしており、口にいれた際、横に広がるようなふくよかさが感じられます。
これは果敢の土壌が起因しており、土壌に豊富に含まれる豊富なアルカリ金属が、果敢のお茶のフルボディの味を形成します。 おそらく、果敢はその昔、海の底が隆起してできた土地なのかもしれません。
2013年のお茶は、お茶が比較的若い状態1芽1葉〜1芽2葉を中心に収穫されており、一般的なプーアル茶と比べると芽の比率が非常に高いお茶ゆえに、白芽茶という名称がついております。
芽の比率が高いことから、味が滑らかに感じられ、上記のボディとも相まって、口にいれたときの感覚がとても優しく、口蓋に甘さが強く感じられます。
また、このお茶は樹齢数百歳の老木から収穫されており、無肥料で栽培されております。これにより、お茶が時間をかけてゆっくりと成長するため、後味が濃く、深みのあるコクが感じられます。
身近な水と言うことで、水道水をお薦めいたします。水道水を使用される場合は、消毒用の塩素を取り除くため3~5分沸騰させてください。但し、例え沸騰しても塩素を完全に除去することは出来ません。可能な限り、活性炭フィルター付きの浄水器を用い、水中の塩素を除去してください。そうしないと、お茶の香り成分と塩素が共に反応し合い、本来の香りが楽しめません。また、塩素は微生物を殺菌するためにいれられております。殺すのは健康に害のある微生物だけでなく、私達の腸にすむ善玉菌も同様に殺菌してしまいます。また、細胞レベルでも様々な害が報告されており、アレルギーの原因にも成り得ます。
蒸留水や逆浸透膜水の場合、ミネラルを全く含まないために、お茶の味がフラットになりがちです。出来るだけ水道水等、ミネラル水をご使用ください。
尚、ヤカンに付着した水垢(スケール)は決して除去しないでください。クエン酸洗浄などを行うことで、従来のお茶の味が得られなくなってしまいます。
一端使用される水の種類を決められたら、今後、水の種類を変えないように同じ種類の水を使用し続けてください。水の種類が変わった場合、スケールからミネラルが大量に溶出し、暫く使っていると、お茶の味が劇的にまずくなります。同じ水を使用し続けることが、お茶を美味しくいれるための秘訣です。
使用する茶葉の量は急須のサイズで決めるのでは無く、どれだけの量のお茶をいれたいかに基づいて決められることをお勧めいたします。
基本として、5gで1リットルのお茶がはいります。薄めであればその倍の2Lはいります。飲む量に応じて茶葉の量を逆算してください。
沸騰している湯を急須に入れてください。
そのまま、10秒間静置してください。これにより、茶器が暖まります。
私達の実験によると、沸騰水を茶器に入れるだけで20℃温度が下がります。
つまり、熱水で暖めているつもりでも、実は80℃まで下がります。
折角茶器を温めても、即お茶をいれた場合、茶葉により湯の温度が下がってしまいます。「茶葉ごときでそんな?」と思われるかもしれませんが、茶葉は表面積が非常に大きいため、熱交換率が高く、私達の実験では20℃温度が低下します。つまり、茶器を温めたとしても、再び20℃下がってしまうわけです。
そこで、再び沸騰水を茶葉に注いでください。注ぐときは、出来るだけ低い位置から素早く注ぎ入れます。チョロチョロとのんびり注いだ場合、その過程で温度が下がってしまいます。高い位置から注ぐと、同じく、温度が下がります。
十分に茶葉の温度を高めるためには2回沸騰水を通すことが理想です。1回目は10秒、2回目は5秒が適切です。
1煎目:数秒〜10秒(1煎目はやや薄いくらいで丁度良いです。長く蒸らしすぎると2煎目以降が濃くなり過ぎます。
2煎目以降:湯を通すだけ(決して蒸らさないでください。)
プーアル茶の場合、2煎目以降は湯を通すだけで、蒸らす必要がありません。できれば3煎目くらいまで連続的に淹れることでより茶葉の温度を高めることができ、お茶が美味しく入ります。
常温にて保管されることをお薦めいたします。
お茶は湿度に弱く、水分を少しでも吸収した場合、即劣化が開始されます。
水分は以下のような状況で意図せず吸収されますのでご注意ください。
実際、茶葉が劣化する最大の原因は4と5のようです。
冷蔵庫に保管した場合、袋の内部は冷えており、テープなどでしっかりとシールしていても、かなりの率で外気が中に進入し、結露を起こします。茶葉を結露してしまった場合、2-3日で香りが劇的に変化します。
出来る限り、常温で保管し、しっかりと乾燥した部屋でシールをすることで湿度を避けて保管してください。開封したら数ヶ月内に消費してしまうのが理想です。
未開封で真空包装されている商品につきましては、1年以上の保管が可能です。更に熟成を進めたい場合、常温にて、未開封のまま(真空包装のまま)保管してください。尚、購入直後のままの品質を維持されたい方は冷蔵庫にて保管してください。冷蔵庫に保管された場合は、必ず、24時間かけ常温に戻してから開封するようにしてください。半日もおけば大丈夫と思われがちですが、茶葉は大変表面積が大きく、天然の断熱材と言っても過言ではありません。手で触ってみると、既に常温に戻っているように感じられますが、内部は冷えており、十分に温度を常温に戻すには24時間必要です。尚、一端冷蔵庫からだし、開封された後は、常温にて保管してください。秋~春は外気の温度が低いため、常温保存をしても数ヶ月以上美味しい状態を維持することが出来ます。
市販の商品で、真空状態を作り出すことの出来るタッパーがございます。普及品ではありませんが、お茶の保存には最適ですので、それらの特殊容器を求められるのも良いかと思います。
以下のビデオでは、プーアル茶をどのように包むか、プーアル茶の生産者が解説しております。言語は中国語ですが、ビデオを見れば包み方は簡単に分かります。
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