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HOJOでは今では大変貴重となり入手が難しい、「本玉露」を紹介いたします。
本玉露と普通の玉露の違いをご存じでしょうか?
玉露は茶園を被覆することで作られます。被覆とは、茶園に黒いシートや藁などを掛けることを言います。茶園を被覆すると、日光が遮られ、また、茶園の環境が劇的に変わるために、お茶が独特の香気と味を作り出します。
ただ、被覆の方法の違いによりいろんなお茶が出来ます。
1.茶の木に直接被覆をしただけのものは「被せ茶」と呼ばれ、玉露の定義からは外れます。一般には寒冷紗が用いられ、出来上がったお茶はアミノ酸の旨味に富んだお茶になります。注:旨味=美味しいではありません。
2.次に、茶園にフレームを張り巡らせ、寒冷紗を掛けたタイプがあります。このタイプは茶の木と寒冷紗の間、つまりヘッドスペースがふんだんに確保されており、シートが黒いことから茶園の温度が高くなりがちです。
3.最後に、茶園を藁(わら)で上下左右共に囲い込んだのが、本玉露の茶園です。本玉露の場合、お茶の木と藁との隙間を極力狭くします。内部の温度は寒冷紗のタイプよりも低く、収穫時期も遅くにずれ込みます。
藁で被覆をするには、藁のシート(こも)作りに大変な手間がかかるため、今では殆どの農家が止めてしまいました。
本玉露と普通の玉露を飲み比べると、美味しさ、飲んだときの満足度共に雲泥の差があります。
決定的な違いが味と香りに生じます。
寒冷紗で被覆した玉露も、藁で被覆した玉露も、アミノ酸由来の旨味という点ではどちらもあまり差がありません。
海苔のような玉露独特の香りという点でも、どちらの玉露もその基準を満たしております。
決定的に違うのは、本玉露の味と香りの奥深さです。私が言うところの、「喉越し」、或いは、余韻の深さとでも表現するのが適切かもしれません。
中国の言葉を借りるなら、喉韻、つまり、喉に何時までも残る甘みと香りが、本玉露は抜群に強いことが特徴です。
何故、このような違いが生じるのでしょうか?
本玉露の優れた品質の秘密は、被覆している「藁」にありました。
藁で被覆した場合、雨が降ると、雨は藁をしたたり地面に落ちます。
藁には稲に送るためのミネラル分が大量に蓄積されているため、藁から落ちた水分にはミネラル分が多量に含まれます。作りたての藁をかむと甘い」のは藁に含まれる成分が豊富なためだそうです。
この論理からすると、リサイクルしている藁では目的を完全に果たすことが出来ません。
1年目の藁が最高で、2年目、3年目になるにつれてその効果は低下していくそうです。
本玉露が美味しいのは、地元ではよく知られているのですが、藁で「こも」を編むのは容易な作業ではありません。
かと言って、購入した場合非常に高く、収入を圧迫します。
生産者は自分で田んぼを作り、その田んぼから採れた藁を奥さんがこもに編み上げるそうです。
藁で作られた被覆は、黒い色の寒冷紗と異なり、被覆室内の温度が上がりません。
このため、茶葉は時間をかけてゆっくりと成長することで、甘みも香りもより濃厚な玉露へと仕上がります。
ところで、本玉露の方が圧倒的に美味しいわけですが、値段は意外にも寒冷紗で被覆した方が高く売れることがあります。これは日本の茶業界の矛盾点で、早くに収穫されたお茶ほど良い値がつく場合があるためです。中国台湾では品質に基づき値段がつく傾向にあり、この問題は日本のお茶業界の課題でもあります。
玉露は「翡翠の滴」を意味する漢字により構成されております。(玉とは翡翠を指します。)
これまで、お茶が貴重故に玉露と呼ばれるのかと思っておりましたが、どうやら、この「露」は藁からしたたり落ちる滴を指しているような気がします。
此方は寒冷紗で被覆された茶園 |
藁で被覆した伝統的な本玉露の茶園 |
静岡県志太郡岡部町は静岡市の北西に位置し、清流の朝比奈川が町の南北を流れ、その両側を山が囲んでいます。その岡部町の北部に位置する朝比奈地区は傾斜地が多く、また、山間部特有の気象条件によって、高品質のお茶を産する条件が揃っており、室町時代のころからお茶が生産されています。
朝比奈で玉露の生産が始まったのは、明治の中頃、当初は藁で茶園を覆ったといわれています。宇治の山本嘉兵衛が玉露を発明したのが1835年のことですから、朝比奈玉露の歴史は比較的新しいと言えるでしょう。しかし、農家のたゆまぬ努力により、今では、京都の宇治、福岡の八女と並び日本の玉露三大産地の一つに数えられ、香りの高さが特徴となっています。
本玉露の栽培の特徴はなんと言っても「藁」です。
藁で覆われた茶園は、一見、東南アジアの民家や縄文時代の家を連想するような外観です。
紹介の中でも説明しましたが、藁を覆いに用いた場合、雨が降ると藁をしたたるように水分が地面へ落下します。
藁と言えば「稲の茎」つまり、稲を育て上げるためのミネラル分が多く含まれております。
藁から滴り落ちた水分には大量の、しかも鉄分を中心とする理想とするミネラル分が含まれており、お茶の味は大変深みがあり、余韻の強い味へと変わります。
弊社では同地域から「寒冷紗」で被覆をした玉露も仕入れておりました。
寒冷紗とはプラスチック製の黒いシートです。
それだけに、藁の被覆で作られた本玉露を試飲したときは大変驚きました。
お茶を飲んだときに、すっと喉の奥に吸い込まれるような感覚、香りと甘みが何時までも喉に残る感覚は、本玉露ならではだと思います。
藁により被覆が行われた玉露園 |
藁は新しいい必要があります。左の黄色の藁が昨年収穫されたばかりの新鮮な藁。その隣が一昨年のもの。 |
以下詳細です。
玉露の栽培では、摘採の数十日前になると、茶園を藁(わら)で覆います。遮光率は初期の7-10日間は65-70%、それ以後は97-98%です。
アミノ酸の一種であるテアニンは、根で生合成され、茎や葉へと運ばれます。
実は葉が日光を吸収することで、テアニンの一部が分解され、カテキンへと生合成されます。従って、遮光をすることで、カテキンの合成が一部阻害されテアニンの含有量は相対的に高まります。つまり、玉露特有の円やかな味は遮光により形成されます。
また、玉露に特有の青海苔様の香りの主成分は、ジメチルスルフィドという物質ですが、このジメチルスルフィドの前駆物質であるメチルメチオニンスルフォニウムも遮光することで茶葉に蓄積します。そして、その後の玉露の製造工程で加わる熱によって、分解し、ジメチルスルフィドを生成します。
そして、玉露に特徴的な深い緑色ですが、茶園が被覆されることにより、茶葉は十分な光が吸収できなくなります。その結果、茶葉は表面積を拡大し、通常よりも更に多い量の葉緑素を作り出すことで、光合成を行おうとします。このため、玉露の葉は深い緑色へと変化していきます。
藁で被覆が行われている茶園は収穫時期が遅く、例年ですと5月の半ば頃が茶摘みの時期となります。
寒冷紗(黒いシート)で被覆した茶園の場合、茶園の温度が上昇することから、お茶の成長が早くなり収穫時期が早くなります。
日本のお茶市場では早く収穫されたお茶ほど良い値段がつきます。このことが、本来美味しいはずの、本玉露や高い山に位置する茶園を減少させる間接的要因となっております。
藁で被覆された茶園は収穫時期がやや遅く、また、手間がかかっているだけに、収穫も丁寧に手で摘まれます。
お茶摘みというと、1芯2葉と言って、一枚の芽と二枚の若芽が一般的ですが、本来この摘み方だとお茶の香り弱くなります。玉露の場合、1芯3葉にて茶摘みを行います。3枚目の葉は長い間木についているため、それだけ濃い成分を含んでおります。
この摘み方は、烏龍茶・プーアル茶と同じです。基本的に、美味しいお茶を作るには若芽だけでなく、3枚目の葉が必要なのです。
収穫直前の玉露園 |
被覆されることで色茶葉のが濃くなると言うのが通説ですが、本玉露の場合光が足らなさすぎてやや黄緑色になります。 |
玉露の製造方法は、基本的に煎茶と同じです。しかし、玉露用の茶葉は、煎茶のそれと比べて、水分量が多く、組織が柔らかいため、取り扱いには十分な注意が払われています。
集荷された茶葉は、各農家単位で製茶工場へと運び入れます。各生産単位をロット管理することで明確なトレーサビリティーが確立されております。
玉露用の生葉は、水分が多く、茶葉が非常に繊細故、蒸しは煎茶より短い時間(約20秒)となっています。
高温の蒸気を短時間で万遍なく与える事で、茶葉はさらっとした感じに仕上がり、結露水により濡れることがありません。
蒸すことで熱を持った茶葉を、冷却し同時に茶葉に含まれる水分を飛ばします。敏速に湿熱を除去することで、二次的な熱劣化を防ぎます。
熱風中で茶葉を攪拌することで能率よく乾燥し、揉みながら茶葉に形をつけていきます。粗揉以降、精揉工程まで「揉む」=圧力をかける工程が続きますが、茶葉が脆いため、煎茶製造の時よりも弱い圧力で操作を行います。
唯一熱を用いない工程です。茶葉に荷重を加えながら円形運動をし、茶葉の水分を均一に分散させます。茶葉を揉むことで摩擦熱が発生するため、定期的に茶葉をもみほぐすことで、熱を発散させます。
回転式の乾燥機を用い、茶葉を軽く揉みながら乾燥を進め、水分を均一にしつつ、茶葉をよりながら細かくしていきます。
直線的な前後の動きと円を描く様な横の動きにより針のような、「より」を作り上げます。この工程により、玉露特有の光沢を出し、香味を発揚させます。一本一本が黒光りし、硬く良くしまっていることが重要です。
精揉を終えた茶葉はまだ水分を含んでいるため、乾燥することで水分を5%程度まで落とします。こうして乾燥が終わった茶を「荒茶」と呼びます。
精揉を終えた茶葉はまだ水分を含んでいるため、乾燥することで水分を5%程度まで落とします。こうして乾燥が終わった茶を「荒茶」と呼びます。
火入れの目的は以下の2つです。
各製茶会社は通常荒茶を原料茶葉として購入し、この荒茶を各社、独自の方法で火を入れることで、オリジナルの香り味に仕上げます。
こうして出来上がったオリジナルの火入れ茶を複数ブレンドすることにより、製茶会社オリジナルの「仕上げ茶」が完成します。
ただし、玉露はその香りを殺さないために、ほとんど火入れはおこないません。
玉露の味は、深い旨味と甘みが特徴です。トロリとした濃厚感があり、口の中でまろやかなコク味が残ります。ただし、伝統的ないれかたの場合煎茶とは淹れ方がまったく違うので注意が必要です。
水道水を使用される場合は、消毒用の塩素を取り除くため3~5分沸騰させてください。但し、例え沸騰しても塩素を完全に除去することは出来ません。可能な限り、浄水器を用い、水中の塩素を除去してください。そうしないと、お茶の香り成分と塩素が共に反応し合い、本来の香りが楽しめません。尚、ヤカンに付着した水垢(スケール)は決して除去しないでください。クエン酸洗浄などを行うことで、従来のお茶の味が得られなくなってしまいます。
通常、40mlの湯に対し1gの茶葉を用います。つまり、200mlの湯が入る急須の場合、200÷40=5gとなります。同様に300mlの場合8gの茶葉を用いてください。玉露の場合、濃い目に入れることで、青のりのような旨味を楽しみますが、実際は、やや薄めにいれた方が癖が無く、毎日飲み続けても飽きません。その場合、茶葉と湯の比率を1対50にしてください。つまり、煎茶を入れる場合と同じです。
より伝統的ないれかたの場合、50℃くらいまで温度を下げ、2分くらいかけてじっくりと侵出します。
侵出時間の基本は、温度が高いほど短く、逆に温度が低いほど長く浸す事です。湯の温度が60-70℃の範囲であれば1分間が適切な侵出時間です。
1煎目をいれ終わった後は、必ず蓋を取ってください。蓋を置いたままの状態ですと、茶葉が余熱で煮えてしまい、2煎目以降茶葉が急激に酸化します。酸化した茶葉は、黄色っぽく変色し、味も香りも落ちます。茶器内に湯を残さないように注ぎきり、蓋を外しておくことで、出来るだけ早く茶葉を冷却する効果があります。茶器内に湯を残したままにしておくと、2煎目以降の味が台無しになりますので、面倒でも毎回注ぎきるようにしてください。
煎茶を入れる際に一番難しいのが2煎目です。2煎目の時間管理を誤った場合、お茶を楽しむことの出来る回数が激減します。2煎目の侵出時間は10秒以内としてください。10秒では味が出ないのでは?と心配されるお客様がおられますが、湯を含んだ2戦目の茶葉からは即味が出ます。
3煎目以降は、10秒ずつ侵出時間を増やしてください。つまり、3煎目の侵出時間は20秒、4煎目は30秒となります。
玉露の場合低い温度で長時間といういれかたが常識となっております。
但し、伝統的な玉露の味を美味しいと思う人は、案外少なく、美味しいと思うように努力をされているお客さんの方が多いと思われます。
ところが、玉露を80℃くらいの温度でいれた場合、意外に美味しく、一度この飲み方で飲むと伝統的ないれかたよりも好きになってしまうケースが多いようです。
80℃という温度は玉露の茶葉にとっては高い温度です。このため、蒸らす時間は短くする必要があります。
1煎目は30秒くらいが適切です。
2煎目以降はお湯を通すだけにしてください。つまり、数秒以上淹れないでください。
この方法の素晴らしいところは、5-6煎目までコンスタントに美味しく飲むことが出来る点です。
あまり固定観念にとらわれず、高い温度でいれてみてください。
味を均一にするためそれぞれの茶碗に少しずつ数回に分けて注ぎます。これを廻し注ぎといいます。また、急須にお湯を残さないよう最後の一滴まで注いでください。これは、旨味のあるお茶を最後まで注ぐという目的と二煎目を美味しくするためという目的があります。また、注ぎ終わったら急須の蓋を開けて、お茶が蒸れることを防止しましょう。
この方法の場合、お茶を淹れる時間が数秒と短いために、茶葉が殆ど劣化せず、何煎も淹れ続けても鮮度の高い香りを楽しんで頂く事が出来ます。
水で淹れた玉露は、玉露のイメージとはかけ離れた爽やかな味わいと、甘く、円やかな喉越しが特徴です。 以下、水出し玉露を作るメリットです。
茶葉は5-8g(お好みに応じて調整してください。)に対し、1リットルの水を準備してください。水の水質には気を遣いましょう。浄水器を通していない水道水の場合塩素が入っており、体にも悪いし、お茶の味を破壊します。必ず、塩素がないことを確認しましょう。
水を先に入れてから、次に茶葉を投入します。30分から1時間おけばできあがり。飲みきってしまったら、再び水を足してください。簡単で美味しく飲めるのが水出し茶の特徴です。
弊店のお客様で千葉県にて紅茶教室「TEA SMILE」を運営されている「みーやさん」が玉露の茶葉を使った料理を紹介してくださりました。独創的でありながら簡単に出来る調理法を説明してくださっておりますので紹介させて頂きます。玉露は、お粥などに淹れても美味しく、茶葉を捨ててしまうのは勿体ない話です。
常温にて保管されることをお薦めいたします。
お茶は湿度に弱く、水分を少しでも吸収した場合、即劣化が開始されます。
水分は以下のような状況で意図せず吸収されますのでご注意ください。
実際、茶葉が劣化する最大の原因は4と5のようです。
冷蔵庫に保管した場合、袋の内部は冷えており、テープなどでしっかりとシールしていても、かなりの率で外気が中に進入し、結露を起こします。茶葉を結露してしまった場合、2-3日で香りが劇的に変化します。
出来る限り、常温で保管し、しっかりと乾燥した部屋でシールをすることで湿度を避けて保管してください。開封したら数ヶ月内に消費してしまうのが理想です。
未開封で真空包装されている商品につきましては、1年以上の保管が可能です。更に熟成を進めたい場合、常温にて、未開封のまま(真空包装のまま)保管してください。尚、購入直後のままの品質を維持されたい方は冷蔵庫にて保管してください。冷蔵庫に保管された場合は、必ず、24時間かけ常温に戻してから開封するようにしてください。半日もおけば大丈夫と思われがちですが、茶葉は大変表面積が大きく、天然の断熱材と言っても過言ではありません。手で触ってみると、既に常温に戻っているように感じられますが、内部は冷えており、十分に温度を常温に戻すには24時間必要です。尚、一端冷蔵庫からだし、開封された後は、常温にて保管してください。秋~春は外気の温度が低いため、常温保存をしても数ヶ月以上美味しい状態を維持することが出来ます。
市販の商品で、真空状態を作り出すことの出来るタッパーがございます。普及品ではありませんが、お茶の保存には最適ですので、それらの特殊容器を求められるのも良いかと思います。
■ 送料について全国一律660円です。
■ 配送について商品はヤマト運輸でのお届けとなります。 ※日本国外の通信販売については、現時点では対応しておりません。 ■ ギフトラッピングについて2缶セット、または3缶セットのギフトラッピング(箱入り)を無料で承ります。
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