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渡辺陶三氏 |
佐渡島の相川金山周辺や大佐渡山脈・小佐渡山脈で出土する無名異と呼ばれる赤土を用いた焼き物は無名異焼と呼ばれ、佐渡島を代表する焼き物です。無名異の中でも上赤と呼ばれる「特別な」土があります。今回この土を使った急須の製作が実現しました。
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相川金山の採掘が活発であった時代は、金鉱内からも無名異土が採取されておりましたが、全ての金鉱が廃坑となった現在では佐渡島の作家は、大佐渡山脈の山中など、独自の場所から無名異を採掘し、自ら精製した上で作陶に用いております。私がお付き合いしている、清水謙氏、渡辺陶三氏もそれぞれ独自の採掘場所をもっており、自ら採掘の手配をしておりました。ただし、2年前から世界遺産申請のために相川周辺での無名異の採掘は禁止となり、相川産の無名異土は非常に稀少になりつつ有ります。
無名異と呼ばれる土の他に、佐渡の作家の間で上赤と呼ばれる土があります。この土は初代の三浦常山などが作陶に用いていたとも言われている土で、作家の間では極上の土と位置づけられています。 上赤とは、金鉱の内部から回収された土の呼称です。土自体は大佐渡山脈などで採掘された赤土(無名異土)と基本性質は同じなのですが、金鉱の壁を染み出す過程で濾過されているために、上赤は普通の無名異と比べると極めて微粒子により構成されております。つまり、無名異上赤は天然の岩によって濾過された土と言えます。 一般に、大佐渡山脈などで採掘された無名異と呼ばれる赤土は、粒子が粗いために粘性が低く、この土単一では轆轤でひくことが出来ません。この為、佐渡の無名異焼は無名異と呼ばれる赤土に、野坂と呼ばれる黄土をある一定割合ブレンドすることで作られます。 それに対し、上赤の場合、洞窟内の岩壁を通じて自然の精製が行われており、粒子系が非常に細かく、この土単一でも急須を制作が可能です。
無名異 上赤の原土
上赤と言っても、この土を定義するのは「金山の坑道内で採掘される土」という点「粒径が細かい」という点です。しかし、粒度が細かいという点は、茶器としては非常に重要な要素となります。粒度が細かいと言うことは、より低い温度で焼きしめることが可能となります。また、土を構成するミネラルの粒径が細かいことは、急須がより多孔質になるため、表面積が大きく、味への影響がより大きくなります。
現在、国の文化庁が中心となり、相川金山を世界遺産に登録しようという活動が行われております。このため、相川金山周辺での土の採掘は既に禁止されており、今後、相川産の無名異を入手するのは事実上不可能となります。まして、無名異上赤は坑道内部から掘られた土であり、今後、この土が入手出来る可能性は非常に低いと推察されます。
非常に稀少な無名異上赤ですが、渡辺陶三氏が限定量を所有しており、この土を使用して茶器を製作する事が可能となりました。過去半年の間、複数の条件のもとで急須を制作 → 味を比較、焼成温度など条件の精査を繰り返した結果、希望する条件が定まったため、上赤の茶器を商品化するに至りました。江戸・明治時代に採掘されていた無名異焼の原料と全く同じ土で茶器の制作が出来ることは非常に興味深く、また、夢のような話です。
無名異 上赤はボディを高める性質があり、お茶の香りや味わいを華やかにします。お茶の味への影響については、清水謙氏の無名異土と基本的な性質はにており、紅茶、烏龍茶等のような発酵茶に適しております。
現在、国内の多くの急須産地では、自身で土を探したり、作ったりする急須作家が急激に減少しております。実際、急須作家の多くが業者や窯業組合のようなところから土を入手します。つまり、専門の土業者がいて、そこから完成した粘土を仕入れるのです。
国内で使用されている土は、産地に関係なく、その多くが複数の土のブレンドにより作られ、ブレンド原料としては信楽や瀬戸の土をはじめ、最近では中国産の土なども多く使われます。
また、佐渡に限らず、常滑やなどの様に朱泥を伝統とする産地の場合、より赤い発色を求め、ベンガラと呼ばれる酸化鉄が極めて当たり前に添加されております。
ベンガラ自体、健康面への問題は全く心配ないのですが、酸化鉄の場合融点が600-800℃と低く、ゆえに急須のように1100-1200℃で焼成を行った場合、鉄分は完全に溶け、まるで砂糖をフライパンの上に載せたかのように液状化するため陶器の素材は多孔性を失い、お茶の味へ全く寄与しません。佐渡島や常滑の土産物屋で見かける赤い色をした急須でも、お茶の味を全く良くしない土はごく当たり前にあります。
渡辺陶三氏は山から天然の状態の土を入手し、それを自ら手作業で粘土へと精製しております。このように土作りから行っている急須作家は私が知っている限り極めて希です。
山から出土した生の状態の土には、木の根や砂利などの様々な不純物を含みます。これらの不純物を取り除き、土の粒子を揃え、粘土として使える状態にするには大変時間と手間がかかります。
因みに、同じ土を使用していても、精製方法が異なると、土の性質が変化し、お茶を淹れたときの味も異なります。これは、不純物として含まれている砂利などのミネラルとの相互作用により生じます。
以下、清水氏が実際に行っている天然土の精製作業の手順です。
私達の店舗でも後手の茶壺は常に人気があります。
もっと沢山の種類を紹介出来ればよいのですが、作家が仕上げることの出来る量には限界があります。
なぜなら、表面がツルツルの急須は全て手作業による「生磨き」が行われているからです。生磨きとは、轆轤引きが終わった急須を一定期間乾燥した後、手作業により表面を押し、土を締めてゆきます。
一度締め終わった急須は乾燥し、再び生磨きが行われます。これにより土の密度が上がり、引き締まったソリッドな仕上がりになります。生磨きゆえに、持ち手や注ぎ口が、まるで木の枝が生えているかのように自然に仕上がります。
この手作業による生磨き工程は中国の宜興から伝わりました。中国宜興の茶壺(急須)同じく生磨きで仕上げが行われます。現在、日本国内で手作業による生磨きを昔のままのやり方でやっているのは私が知る限り佐渡島だけです。
以下、渡辺陶三氏の奥さんによる生磨きの実演です。使用している土は「無名異」です。佐渡では作家とその奥さんが二人三脚で作品作りをしております。指先に長年の経験と生磨きの苦労が表れております。
HOJOではお「茶を美味しく飲む」為の茶器選びをしております。
一般的にデザインや作家の名前が先行しがちな茶器選びですが、HOJOでは、茶器のお茶に対する性能に着目し、土の選定、焼き方に至るまで、各作家とのコラボレーションにより、オリジナルの茶器を制作販売しております。HOJOの茶器は、その独特のセレクションと素材の性能ゆえに、ヨーロッパをを初め海外にも多くの利用者がおります。
良い素材から作られた茶器は、鉄イオンを初めとする、ミネラルイオンをお茶や水の中へと放出することで水の品質そのものを変えます。実際に比較すると、ガラスや白磁の急須で淹れたお茶とは比にならない厚みのある味となります。また、まろやかになる「程度」ですが、優れた陶器の場合、南部鉄器とは比にならないレベルでお茶をまろやかにします。
「美味しく感じられる」、「豊かな味」とは何かというと、「喉韻」或いは「回甘」と呼ばれる感覚を指します。
良い素材の茶器は、お茶の味や水をより豊で、奥深く、円やかな味に変えます。お茶の場合、香りがよりシャープに感じられ、お茶のボディが強まり、香りと甘みが喉の周りに何時までも残ります。
このような変化は体験されてない方にはなかなか信じられないかと思います。但し、実際に試飲をして頂くとその差は非常に顕著であり、実際に体験された多くのお客様が驚き、興奮されます。
私達の舌には味蕾細胞と行って味を感じる細胞があります。実は、舌だけではなく、味を感じることの出来る細胞は喉にもあります。
この喉に位置する細胞は、味の種類を感じ取るのではなく、味の質、つまり、味の奥深さ、ミネラルによる後味を感じ取ります。
優れた素材で作られた急須は、水をさっと通すだけで、その味を変化し、美味しくしますが、この「美味しい」とは、喉にある味覚細胞が反応することを意味します。
使いやすさですが、私が特に重要視するのは、水が流れる速度です。
早く流れれば流れる程良い急須と定義しております。但し、本ページで販売する急須は全て手作りゆえ、流速には製品による個体差があります。
水の流れ具合に関して非常に気にされるお客様、或いは、より詳細な情報が必要なお客様には追加情報や写真をメールにてお送りいたしております。遠慮無くお申し付けください。
上記の品質基準を満たすため弊店では各作家にお願いし、HOJO専用の土の選定、ブレンド方法、焼き方、デザインを指定した上で制作して頂いております。
急須づくりのプロである作家さんと頻繁に打ち合わせを行うことで、私自身も含め、お茶好きの人に喜ばれる急須、道具として優れた急須を開発出来る様に努力しております。
XTJ304 渡辺陶三 無名異 上赤急須 180ml 紙箱入り 24,750円(税込み) 売り切れ |
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XTJ325 渡辺陶三 無名異 上赤急須 180ml 紙箱入り 24,750円(税込み) 売り切れ |
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XTJ338 渡辺陶三 無名異 上赤急須 110ml 紙箱入り 21,450円(税込み) 売り切れ |
XTJ339 渡辺陶三 無名異 上赤急須 110ml 紙箱入り 21,450円(税込み) 売り切れ |
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XTJ340 渡辺陶三 無名異 上赤急須 110ml 紙箱入り 21,450円(税込み) 売り切れ |
XTJ343 渡辺陶三 無名異 上赤宝瓶 90ml 紙箱入り 21,450円(税込み) 売りきれ |
XTJ344 渡辺陶三 無名異 上赤宝瓶 120ml 紙箱入り 21,450円(税込み) 売りきれ |
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XTJ345 渡辺陶三 無名異 上赤宝瓶 120ml 紙箱入り 21,450円(税込み) 売りきれ |
XTJCUP01 渡辺陶三 無名異 上赤煎茶椀 x 4 30ml 紙箱入り 15,180円(税込み) 売りきれ |
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