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料理から見る雲南の多様性:少数民族・四川料理の交差点
- [2025.04.21] Written By 北城 彰(Akira Hojo)

雲南省に長期滞在してお茶を作っているわけですが、雨の日や生産予定の無い日は、近隣の街のホテルに滞在しております。
ホテルに滞在しているときは、外食するのですが、私達にとって、現地での食事はお茶作りと同等に興味があり、非常に楽しみな体験でもあります。
本コラムでは、雲南省臨滄市の地方における食事(外食)について、こちらでの経験をシェアしたいと思います。
雲南省における3つの料理のスタイル
雲南省における食事は、単一ではなく、数種類に分類されます。その中でもメジャーな料理スタイルは以下の3つに分類されると思います。
1. 雲南料理
2. 少数民族料理
3. 四川料理
ここで挙げる雲南料理は、四川料理や少数民族料理と大きく異なるわけではなく、どちらかというと、それぞれの良さを取り入れた中間的な料理と言えます。四川料理の香辛料や豆板醤、傣族をはじめとする少数民族料理の酸味や香草の使い方が融合し、独自のバランスを持ちながらも両者に通じる要素が多く見られます。以下に詳細を説明します。
雲南料理
雲南料理は、雲南省のどの地域に行っても比較的一般的に見られる料理であり、四川料理と少数民族、特に傣族に代表されるタイ系民族の料理が融合したスタイルです。特徴として、雲南省特有の乳酸発酵食品、雲南ハム、木瓜(マルメロの一種)が調味に用いられます。また、コリアンダーリーフ、フェンネルリーフ、ミントなどの香草に加え、唐辛子、ニンニク、生姜、ブラックカルダモン、スターアニス、山椒といった香辛料がふんだんに使用される点も大きな特徴です。

木瓜
四川料理の香辛料による刺激と、傣族をはじめとする東南アジア系民族の酸味や香草の使い方が融合しており、一定の辛さはあるものの極端に辛いわけではありません。雲南料理のスタイルを簡潔に表現するなら、四川料理とタイ料理を足して2で割ったような料理と言えるでしょう。

有名な雲南料理の1つ、火腿木瓜鶏:木瓜(マルメロ)の酸味とハムと鶏の出汁が癖になります。

ドクダミの根のサラダ

山胡椒と鶏肉の炒め物

蜂の子

ウコギ科の山菜のサラダ


山羊のモツの香草煮込み料理
少数民族料理:傣族の料理
雲南省には非常に多くの少数民族が暮らしています。中国全土に公認されている55の少数民族のうち、25の民族が雲南省に集住しており、少数民族の人口は全体の約3割を占めます。都市部・平地を中心に漢民族が多数派を形成している一方で、山間部や辺境には少数民族の集住が続いています。
少数民族というと、民族衣装をまとったり、頭に特徴的な布を巻いている姿を想像されがちですが、実際にはそうした装いは特別な行事や観光地など一部の場面に限られ、普段の生活では多くの人が漢民族と変わらない服装で生活しています。
特に標高の高い地域では、強い日差しの影響で漢民族も日焼けしており、外見だけでは少数民族かどうかを判別するのは容易ではありません。
雲南省に暮らす少数民族には、代表的なものとしてイー族(彝族)、ラフ族(拉祜族)、ワー族(佤族)、傣族(タイ族)、ミャオ族(苗族)などが挙げられますが、これ以外にも多くの民族が存在しています。それぞれが独自の文化や伝統料理を持ち、中には料理に強いこだわりを持つ民族もいれば、それほど強い食文化を持たない民族もおります。
少数民族の中でも、料理に対するこだわりが群を抜いて高いのが傣族(Dai族)です。国家としてのタイは「泰」と書きますが、中国における少数民族のタイ族は「傣」と表記され、アルファベットではDaiと書きます。雲南省の傣族料理には、タイ北部のチェンライ地方の料理と共通点があるとも言われており、民族的なつながりがうかがえます。
タイ人は料理に対する感性が非常に優れており、他国の影響を受けずに独自性の高い料理文化を築いていますが、雲南省に暮らす傣族も同様に、強いこだわりと個性を備えた食文化を持っています。タイ人も傣族も、性格は穏やかでおっとりしており、非常に友好的ですが、料理に関しては一転して驚くほどの情熱と精密さを発揮し、誰もが唸るような完成度の高い料理を生み出します。異なる国に暮らすタイ系民族でありながら、料理に対する価値観や美意識にこれほどまで共通点が見られるのは、非常に興味深いことです。
雲南省各地には傣族の料理を提供するレストランが点在しており、一般的な雲南料理に比べて価格もやや高めに設定されていることが多く見られます。傣族は標高の低い平地や川沿いの地域を好んで居住しており、主に西双版納に多く分布していますが、徳宏、臨滄、普洱など他の地域にも居住しています。こうした地域では、傣族は比較的まとまって集落を形成しております。
傣族の料理は、ライムやレモンなどの柑橘類や木瓜(ここで言う木瓜はパパイヤではなく、伝統的に酸味を持つ果実として用いられるマルメロの一種)、乳酸発酵の漬物などを使って酸味を際立たせ、さらに豊富なハーブ類を組み合わせることで、爽やかなトップノートをもつのが特徴です。一度でも優れた傣族の料理に出会えば、その味わいは一生忘れられないほど深く記憶に刻まれることでしょう。


タウナギの香草煮込み料理
雲南省に多い四川料理
雲南省には非常に多くの四川人が暮らしており、これは明代に実施された「湖広填四川」などの移民政策によるものとされています。戦乱や疫病で人口が減少した地域に、他省から漢民族を移住させた政策の一環で、四川からも多くの人々が雲南に移住しました。
その影響で、雲南省内には四川料理の店が数多く見られます。ただし、四川人の移住からすでに長い年月が経っているため、地元の気候や食材に合わせてアレンジされ、辛味はかなり抑えられ、料理のスタイルも雲南風に変化しています。現在では、「雲南風四川料理」という1つのジャンルを確立しているようにも思われます。

上の料理は、辣子鶏。ただ、四川料理における辣子鶏とは似ても似つかぬスタイルです。

↑は麻婆豆腐、四川の麻婆豆腐のことを思うと、全然辛くないです。↓は水煮魚、これも本家四川の物と比べるとだいぶ異なります。

雲南省のレストランにおける独特な注文システム
雲南省でレストランに入ると、その多くはメニューがありません。店に入ると、席に着くのではなく、まずは冷蔵庫の前に通されます。冷蔵庫には、肉類、魚類、野菜や山菜などが入っており、そこで食材を見ながら、どれを食べたいか選びます。面白い点は、料理で値段が決まるのではなく、選ぶ食材で値段が決まる点です。例えば、鶏肉を選んだ場合、スープにしても、炒め物にしても、辣子鶏のような料理にしても、値段は変わらないのです。その理由として、こちら雲南省では野菜の値段がただのように安い点が挙げられます。一束の野菜を買っても、中国元で1元、つまり、21円くらいです。つまり、コストの殆どは鶏が占めているわけで、料理法の違いによる、料理の手間代はあまり考慮されてない点が雲南省らしいです。

食材を選んだら、店の人と、どう調理するか話し合います。このため、ある程度、雲南省の料理の知識がないと、上手に注文することが出来ません。どういう調理法が美味しいかとか、この野菜はスープには向かないとか、この香辛料で食べると美味しいとか、注文をするときにいろいろ話し合えて、自分も料理に参加している気持ちになります。
私達が注文する際は、必ず、味精(グルタミン酸ナトリウム)は少量でも絶対に入れないように、また、使う調味料に入っている場合は料理を変えるので教えてほしいと、強くお願いします。また、塩と油も控え目でとお願いします。このように細かく注文することで、味を細かくカスタマイズすることが出来、非常に素晴らしいです。

一束どれも1元(21円程度)

山菜を重要視する地域性
もう一点、雲南省のレストランで面白いのは、山菜の季節になると、冷蔵庫に並ぶ野菜が劇的に減少し、代わりに大半の食材が山菜で占められる点です。日本では山菜は珍味や季節の味として特別視されることが多いですが、雲南省では山菜をあくまで日常的な食材のひとつとして扱い、特別視することなく、野菜と同様に調理して食べます。「山菜の方が美味しいのだから、わざわざ野菜を食べる必要はない」というのが、彼らの自然な感覚なのです。もちろん、雲南省のすべての地域でこのような考え方が一般的というわけではなく、あくまで山間部で山菜が豊富に採れる地域ならではの傾向とも言えます。
このように、食生活において日常的に素材の良し悪しを肌感覚で理解している地域では、そこに暮らす人々が自然と質の高い味に慣れており、その感覚はお茶の栽培方法にも反映されていると言えます。
春の季節、市場に集う人の目当ては山菜

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