• ホーム >
  • お茶のコラム-雑学-歴史-文化

r0011718
偏った食生活は味覚や好みに影響を与えると言われておりますが、調味料の偏りが実際に味覚にどう影響を与えるか私の経験をシェアしたいと思います。

東南アジアで大量に使用される旨味調味料

私は一年の半分を海外で生活しておりますが、その中でも東南アジア、特にマレーシアやシンガポール、台湾で外食をすると、グルタミンナトリウム(体表的な商品は味の素株式会社の味の素)の使用頻度や使用量が日本と比べて非常に多い点が気になります。例えば、マレーシアの首都のクアラルンプールでは基本外食した場合、殆どのレストランで味付けに旨味調味料であるグルタミン酸ナトリウムが使用されております。テイスティングのトレーニングをすれば、グルタミン酸ナトリウムの有無は香りを嗅いだだけでも分かるようになります。

グルタミン酸ナトリウムの特徴的な味

グルタミン酸ナトリウムというと旨味ばかりが注目されがちですが、実は旨味以外にも特徴的な味を示します。グルタミン酸ナトリウムが使用された場合、味に以下の様な特徴を感じ取ることが出来ます。

  1. ボディが非常に強くなり、味がふくよかでふわっとした感じが強く感じられる。
  2. 奥行き・余韻のない旨味(アミノ酸の特徴的な味)が口の中で感じられる。

おそらく、ボディ(ふくよかさ)と言う概念が分かる人にとっては、グルタミン酸ナトリウムの使用の有無を感じ取るのは非常に簡単かと思います。

グルタミン酸ナトリウムの過剰摂取でふくよかさを味の濃さと感じるようになる

グルタミン酸ナトリウムを加えると、ボディが増すために味がふくよかになり、同時に付与される旨味によって、多くの人がそれを美味しいと思います。私は個人的に人工的な旨味と妙にふくよかな旨味調味料特有の味が嫌いですが、多くの人は美味しいと思うわけで、ゆえに、レストランでは積極的に使用します。特に東南アジアの多くの国ではグルタミン酸ナトリウムを沢山使わないと売れないとまで言われており、日本では想像できない量の旨味調味料が使用されております。例えば、マレーシアで有名なチキンライスですが、店によってはご飯を炊く際にご飯茶碗一杯のグルタミン酸ナトリウムを使用しております。

r0011423
グルタミン酸ナトリウムが多用された結果、多くの人が強いボディ(ふくよかな味わい)に慣れ、あらゆる食品にボディを求める傾向が感じられます。つまり、ボディを味の濃さと勘違いしております。この為か、マレーシアではお茶に対しても、お客さんの多くが、執拗なまでにボディを求めます。余韻が強い自然栽培茶であってもボディがないと、味が薄いとコメントする人が多くいます。私はお茶を選ぶ際には余韻(コク)の深さを素材の品質と定義して重要視しておりますが、ボディの強さについてはお茶の個性と捉え、5-6年前までは、あまり強く意識して仕入をしておりませんでした。その為、当時はHOJOのラインアップ中にボディの強いお茶が比較的少なく、お客さんに味が薄いと言われる事が多くありました。このような経験から、近年ではラインアップの半分くらいはボディの強いふくよかなお茶、残りはスッキリとしたライトボディのお茶を取り揃えるようにしております。ただし、ボディの強弱に関係無く、お茶の余韻は仕入の必須条件としております。

グルタミン酸ナトリウムの使用頻度が少ない地域では余韻が重要視される

私が毎年訪れている、雲南省の山奥や潮州はグルタミン酸ナトリウムが他地域と比べて余り使用されておりません。特に、雲南省の山奥については、グルタミン酸ナトリウム自体が普及しておらず、人々は鶏ガラなどをしっかりと煮込むことで出汁を取っております。また、日本についても、刺身や天ぷらを初め比較的素材を行かした料理が多いため、外食が続かない限りグルタミン酸ナトリウムの摂取量は東南アジアと比べたら少ないと思います。これらグルタミン酸ナトリウムの摂取量が少ない地域では、人々は余韻の深さを重要視し、ボディはあまり強く求められません。

img_8952

雲南省の山村でいただいた夕食

特に、雲南省の山奥へ行くと、生産者の多くが余韻の強さを非常に重視し、より深い余韻を求めるがために樹齢の高いお茶の木から作られたお茶は高値で取引されます。お茶の素材の品質の善し悪しを反映する余韻の深さが価値・値段に反映されているというのは非常に健康的な状況です。同様の状況が潮州の鳳凰単叢烏龍でも見られます。つまり、旨味調味料を含まない食事が多い地域では人々は余韻を味の濃さととらえ、逆に旨味調味料が多く使われる地域ではボディを味の濃さと捉えているように思われます。

日本茶(緑茶)、中国紅茶、白茶、プーアル熟茶、プーアル生茶、ジャスミン茶、烏龍茶という厳選された茶葉7種のお試しセット

関連記事 RELATED ARTICLES

お茶に関する最新情報を確実にキャッチするには? SOCIAL NETWORK

1,Twitterをフォローする。2,FaceBookで「いいね!」を押す。3,メールマガジンに登録する。という3つの方法で、お茶に関する最新情報をキャッチすることができます。今すぐ下のツイッターフォローボタンや「いいね!」をクリック!

メールマガジン登録で無料サンプルをもらおう!
メールマガジンにご登録いただくと無料のサンプル茶葉のプレゼントや希少商品の先行購入など様々な特典がございます。ソーシャルメディアの購読だけでなく、メールマガジンへのご登録もお忘れなく!

HOJO TEAオンラインショップNEWS一覧を見る

渡辺陶三作:秋津無名異、野坂粗土急須他入荷
佐渡島の無名異焼作家、渡辺陶三氏の茶器が多種類入荷しました。 今回は、特に、秋津無名異酸化焼成と野坂炭化還元の急須・茶壺が多数入荷しました。 https://hojotea.com/categ/teaware.htm 秋 …
長期熟成をした緬境野生茶2014年産を再発売
緬境野生茶 2014(生茶)マレーシア熟成 緬境野生茶 2014は、マレーシアと日本で長期保存をしており、しっかりと熟成が進んだお茶です。 このお茶は数ヶ月間、有酸素で雲南省で保存し、その後無酸素にて追加熟成をしておりま …

最新の記事 NEW ARTICLES

料理から見る雲南の多様性:少数民族・四川料理の交差点
雲南省に長期滞在してお茶を作っているわけですが、雨の日や生産予定の無い日は、近隣の街のホテルに滞在しております。 ホテルに滞在しているときは、外食するのですが、私達にとって、現地での食事はお茶作りと同等に興味があり、非常 …
渡辺陶三作:秋津無名異、野坂粗土急須他入荷
佐渡島の無名異焼作家、渡辺陶三氏の茶器が多種類入荷しました。 今回は、特に、秋津無名異酸化焼成と野坂炭化還元の急須・茶壺が多数入荷しました。 https://hojotea.com/categ/teaware.htm 秋 …
雲南白茶、理想を形にする現地生産
3月25日に雲南省に入り、現在まで白茶の製造に取り組んでいます。 本コラムでは、雲南省における白茶生産の実情や、その品質、管理のあり方についてご紹介します。 何故雲南省で白茶を作るのか 白茶といえば、まず思い浮かぶのは福 …
現地からのレポート:2025年の雲南省のお茶の状況について
3月25日より雲南省に来ております。 こちらには5月まで滞在し、現地でのお茶の生産や流通・品質管理を行います。 本コラムでは、今年2025年のお茶の生育状況、相場観などについてインプレッションを述べたいと思います。 気候 …
長期熟成をした緬境野生茶2014年産を再発売
緬境野生茶 2014(生茶)マレーシア熟成 緬境野生茶 2014は、マレーシアと日本で長期保存をしており、しっかりと熟成が進んだお茶です。 このお茶は数ヶ月間、有酸素で雲南省で保存し、その後無酸素にて追加熟成をしておりま …
自社開発した新製法にて自分たちで仕上げた野生紅を発売
野生紅のロットが2024年産に切り替わりました。 通常であれば特にお知らせすることはありませんが、今回の切り替えには大きな意味があります。 2024年産の野生紅から、私たちが開発した新しい製法を用い、私たち自身の手で作っ …
ミャンマー国境隣接地域産 鎮康古樹熟茶2022 発売
鎮康古樹熟茶2023を発売しました。 普段飲みに適した価格帯のお茶を目指し、非常に僻地の産地から茶葉を仕入れています。 https://hojotea.com/item/d154.htm ミャンマーとの国境を接する鎮康県 …
祁門紅茶の再入荷
暫く品切れになっていた祁門紅茶が入荷しました。 https://hojotea.com/item/b01.htm 祁門紅茶工場産の祁門紅茶 祁門紅茶は安徽省祁門県産の紅茶で、世界的にも知られる銘茶のひとつです。祁門県には …
フルボディの高級熟茶、忙肺古樹熟茶2023 200g餅茶を発売
忙肺古樹熟茶2023を発売しました。当店の熟茶の中でもトップレベルの非常に高品質な熟茶です。 臨滄市永徳県を代表するプアール茶の名産地 忙肺(Mang Fei)は、漢字の意味だけを見ると奇妙な地名ですが、もともと当地の少 …
火地古樹生茶 2022を発売
火地古樹生茶 2022を発売しました。 数年間の熟成を経て、爽やかで透明感のある甘い香りが際立つお茶です。 高山の自然栽培茶園産 火地は私達がお付き合いしている農家が保有する、臨滄市南西部に位置する永德県の標高2100m …

PAGETOP